- 仮想通貨の相互運用性
- コンセンサス2018にて、Litecoin創業者チャーリー・リー氏、リップル社Chief Cryptographerであるデイビッド・シュワルツ氏、AION財団代表のマシュー・スポーク氏がパネルディスカッションを行い、現在の仮想通貨の問題点と未来に関して、相互運用性の観点からディスカッションを行いました。
- 相互運用性とは
- 複数のシステムやプロジェクト、通貨などが相互に作用し連携できるシステムを指します。
コンセンサス2018にて、Litecoin創業者チャーリー・リー氏、リップル社Chief Cryptographerであるデイビッド・シュワルツ氏、AION財団代表のマシュー・スポーク氏がパネルディスカッションを行いました。
パネルディスカッションの題目は、仮想通貨の相互運用性。
特にこの3通貨の中でAIONは、相互運用性を掲げる通貨であり、相互運用を実現の上で分散されたビジネスを行う事ができるインフラの整備を整えることを目指しています。
コインポストの取材にて、AIONマシュー氏は、現在仮想通貨の業界で解決されていない相互運用性の問題を解決するべく、各プロジェクトのネットワークの構築や業界全体の長期的なビジョンとして真に分散化されたインターネットの時代を築く必要があると述べました。
現在では各通貨のコミュニティがお互いにドミナンスの争いなどで対立していますが、それぞれが皆、インターネットや金融システムへのアクセスをもっと民主的、公平、便利で限りなくゼロに近いコストで提供すること、それこそが最終的な目標であり、業界全体がまず目標を達成する事に注力すべきであると語っていました。
数多くのプロトコルやインフラをそれぞれ別のものとしてではなく1つのビジョンとして繋ぎあわせることの実現として、現在主要な地位につき相互運用性にも注力するLitecoinとRippleとの対談が、今回の題目の元で実現したことは素晴らしいことでしょう。
パネルディスカッション
現在では、このように各通貨のコミュニティの争いが絶えない様に分裂化が著しい仮想通貨界隈ですが、まだ希望があるという形でパネルディスカッションが始まりました。
まず相互運用性が実現する事によって、現在のコミュニティの分裂だけでなく、プライバシーやスケーラビリティ、分散化の問題を解決、促進できる可能性があります。
Q. 多くのプロジェクトが同じ目的を達成することでの利点とはなんでしょうか?
- ―AION財団マシュー・スポーク氏
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相互運用性には様々なアプローチ方法があり、ユースケースも存在します。
業界として成熟していない状況下でも多くの答えを共有することができ、結果として市場に有益な状況を生み出します。
多くの意見があれば、それぞれ議論の余地が生まれ、最善な策を取り入れることができるようになります。
- ―Ripple社デイビッド・シュワルツ氏
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私たちは”決済”における相互運用性を追求しています。
リップル社では実世界における決済の問題解決を追求しており、xRapidではパブリックブロックチェーンを利用して不換紙幣(法定通貨)と繋げることを目標にしています。
- ―Litecoinチャーリー・リー氏
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様々な仮想通貨がそれぞれ違う問題を解決するために作られています。
イーサリアムではスマートコントラクト、ライトコインでは代表的に決済や支払いと其々のソリューションは異なるため、通貨やプロジェクト間の相互運用性の実現はかなりの利益を与えるでしょう。
現金とクレジットカードの双方が共に使えることと同様に仮想通貨業界にも互換性が必要になるでしょう。
Q. ガバナンスはどのように行うのでしょうか?(ルール作りや制度の作成)
- ―AION財団マシュー・スポーク氏
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私たちには2つの選択肢があります。
完全にオンチェーンで行う方法か、オフチェーンで行うかです。
DAO事件などもあり、どちらが正しいか結論を早め選択することに関してはメリットはないと思っています。
Q. 相互運用性の今後の動きは?
- ―AION財団マシュー・スポーク氏
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またセキュリティーについて話す前にどのように市場へインセンティブを与えるかが鍵となります。
中央集権的な運用性を提供したら意味がないからです。
インセンティブが正しい事を確認するには分散化された環境内で『ルーター』を作る必要があります。
分散化されたモデルが全て同じ仕様で構築されてしまったら、全てのプロダクトが同じ間違い、欠陥を持つ可能性がでてきます。
よって同時に同じゴールに向かって開発を進める会社があるのは健全で正しい事と言えるでしょう。
現在ではどのプラットフォーム(イーサリアムでの開発か、ステラかなど)でアプリケーションを築くかによって大きな差が生じています。
これは問題であり、利用するプラットフォームの将来性を開発者が予想し、成功するかどうか未来予想しているのと同様な状況下にあります。
ユーザーにどのプラットフォームが将来的に成功するかの判断を強要し、賭けにならない状況を作ることは、相互運用性の実現の大きな意味となるでしょう。
- ―Ripple社デイビッド・シュワルツ氏
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信頼性はどこにあるのでしょうか?
仮想通貨だと分散型台帳に、実世界では銀行に、信頼が置かれています。
鍵となるのは送金側と受け取る側、双方が何を求めているか知る事です。
その為にはまずどのような変化を求めているかを模索し、次に誰・何を現在信頼しているかを探ります。
- ―Litecoinチャーリー・リー氏
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将来的な問題はUI/UXだと思います。
全ての人が技術を理解する必要はありません。
ユーザーの為にいかにシンプルにして不安要素を消し利用してもらうかがこれからの課題です。
最後にAIONマシュー氏は、世界がユーザーであり、分散化されたインターネットについて多くの言及をしていますが、現状インターネットはグーグルやバイドゥなどの大手企業に管理されてしまっています。
そして、残念ながらそれに慣れてしまっている。と付け加えました。
今回のスピーチの注目点として、AIONのマシュー氏がスピーチで話した『プラットフォーム選びの賭け』の部分でしょう。
実際、仮想通貨のプラットフォームに関するニーズのシェアはイーサリアムが大半を占めていますが、多くのプラットフォームが注目されてきており、それに付随する形で利用企業の選択肢も増えています。
実際にスケーラビリティなどの問題等を理由に他のプラットフォーム、ブロックチェーンへと移行するプロジェクトも散見されるようにもなってきています。
このようにプラットフォームの相互運用性が実現されることは、より仮想通貨事業への参入障壁を低くし、業界の発展に寄与する可能性があるでしょう。