仮想通貨監視は今年の重要課題
スペインの税務当局が、2020年に仮想通貨の監視を強化することを発表した。
スペインの税務庁(AEAT)は新しい公式声明の中で、仮想通貨の監視を「今年もっとも要求される課題の1つ」として言及した。
AEATは、スペインの企業や市民が行う仮想通貨を巡る行動に関する情報をこれまで以上に厳密に収集し、監視体制を強化する予定だ。
スペインを拠点とするダークネットユーザーが非合法取引に使うなど、仮想通貨は違法商品の支払いに使用されているとして、「密輸、麻薬密売、マネーロンダリング」を取り締まる。
より具体的には、サービスプロバイダーやeコマースプラットフォームとのコラボレーションを強化する取り組みを促進する。
また、不審な仮想通貨取引を監視し検知するために、仮想通貨を使用した犯罪と戦うためのトレーニングプログラムを開始する。
さらに、スペイン税務庁は、財務省とも協力する予定。
財務省は、昨年、課税対象となる仮想通貨収益と取引利益に関して約1.5万人の市民に警告を出しており、仮想通貨に関する脱税の防止体制を強化しているところだ。
欧州内でも国により異なる課税方針
ヨーロッパではイギリスも脱税やサイバー犯罪対策のために、ブロックチェーン分析ツールの導入を計画している。
英国歳入関税庁(HMRC)はBTCとETHをはじめ、最低でも7つの銘柄を分析できるツールを公募中。今回のツールへのライセンスに、10万ポンド(約1430万円)の予算を用意している。
また昨年8月には、仮想通貨取引所のコインベース、eToro、CEX.IOに対し、ユーザーの氏名と取引履歴の提出を求める書簡を送付。調査対象の取引は、税金の支払いが発生する可能性があり、当局には取引所に情報提供を要求する権限があると通達している。
一方、スペインの隣国であるポルトガルでは、仮想通貨の取引や支払いに税金は課さない方針を税務当局が明確にしている。
法定通貨を使った仮想通貨取引や仮想通貨で受け取る報酬の両方に対して、付加価値税(VAT)が免除される。さらに仮想通貨の収益に対する所得税も免除される。
欧州では第5次マネーロンダリング対策指令(5AMLD)が1月10日から施行されており、KYCルールが強化され、必要な際に情報を金融当局に提供しなければならないとされた。
仮想通貨への課税については、各国で独自の方針が展開されている。