仮想通貨 vs 金、どちらに投資すべき?|Forkast寄稿

対立する仮想通貨と金

金(ゴールド)と仮想通貨は色々な共通点が多く、情報通の投資家たちはそのどちらにも投資しています。GoldexのSylvia Carrasco(シルヴィア・カーラスコ)氏の見解を紹介します。

仮想通貨と金の戦いは激しく、絶え間なく続いてます。お互いの長所は相反するものであるため、決着をつけるのは非常に難しい戦いです。

いままでにあった多くの戦いと同様、戦いによって浮き上がるお互いの共通点を責め合い、攻撃し続け相手の存在すらも否定する、あるいは否定していたとも言えるでしょう。

どちらかがよい、というわけではない

一部の投資家には、金を古臭く実用性のない時代遅れの代物、と見なしている人もいるようです。

これらの投資家は、世の中はすでに前へ進んでいると考えています。また、専門技術者によって中央銀行が金融システムをうまく管理されていると見ます。しかし、紙幣経済が人類にもたらした恩恵は計り知れない反面、莫大な紙幣の印刷と政府が溜めた債務は、私達にとってすっかり当たり前のこととなってしまいました。

それでもインフレは問題ではない、もしくは仮に問題だとしてもそれを解決できる手段があるという見方もあります。こういった考え方の人々にとっては、金や仮想通貨はまったく価値がありません。どちらも人類の発展には必要なく、これからも金や仮想通貨を必要とせず人類は発展していく、と捉えています。

しかし、簡単に歴史を振り返るだけでも、このような考えはあまりにも楽観的な考えであることは明白です。帝国は滅び、権力は失われ、政府は崩壊、お金は印刷され、通貨の価値は下がるものなのです。

まさに、哲学者のヘーゲルが「歴史が教えてくれるのは、歴史が何も教えてくれないことだ」と言い残した通りです。

しかし、なかには学ぶ人もいます。彼らは本を読み、勉強をし、新しいことに挑戦します。そして物事の価値は常に変動することや貨幣の印刷、ハイパーインフレの影響などを理解し、「今回は違う」と豪語する人々が間違っているということを知っています。

果たして、そう言い切れるのでしょうか?

長命の仮想通貨と金

歴史と呼ばれるものは、名前と場所は変わる一方で、同じ内容の物語が繰り返されているに過ぎません。

哲学的な概念によってのみ、仮想通貨愛好家と金の投資家は繋がっています。

極端に聞こえるかもしれませんが、そうではありません。多くの投資家たちが、近年の莫大な負債と通貨の暴落を懸念し、仮想通貨や金への投資に移行しました。

その根底にあるのは、歴史に裏付けされた人間の力への不信感と、権威への反発です。

金と仮想通貨はどちらも、伝統的な金融システムの外にあります。さらに重要なことに、これらは政治システムの外にもあります。どちらも分散型に価格が変動しており、有限であり(殆どの仮想通貨は)価値のある商品として見ることができます。(仮想通貨の場合はボラティリティ低下につれて)また仮想通貨と電子化された物理的な金は一般に浸透し、価値の交換手段となるでしょう。

このように議論はめまぐるしく変化しています。

対立から共存へ

金が仮想通貨に取って代わられることはないでしょう。また、仮想通貨が消えるということも考えにくいです。

精通した投資家たちは仮想通貨と金を互いに対立させるのではなく、お互いがもっと近い存在であるとみています。 議論はもはや仮想通貨 vs 金ではありません。どちらも、昔ながらのお金を刷るという通貨の価値を下げる行為を阻止する立役者になっているのです。

仮想通貨と金の戦いは終わりました。これからは仮想通貨と金が共存していく時代です。

伝統的な銀行はもはや役目を終えつつあり。私達はその緩やかな衰退を目撃しているのです。これからは、銀行の役目はアプリが肩代わりするでしょう。

2008年の金融危機がもたらしたもの

この分野で競争するフィンテック企業は、あらゆる分野のビジネスに対して高品質な商品の提供が求められます。長期的な顧客を確保し維持するためには仮想通貨、金どちらへもアクセスできるサービスを提供する必要があります。

近年、特に2008年に金融危機が発生する前は、金の投資はごく一握りの富裕層だけに許される特権的な部分がありました。一般人にとって金といえば、宝石としての意味合いが強かったのです。金を保有するには、金の保管場所や保険や不透明な価格設定といった煩雑な手続きなどが必要だった上、金を所有することの重要性を理解する人は限られていました。

しかし2008年以降、全てが変わりました。

中央銀行は少しずつ、しかし次第に急速に、すべての自制心、独立性、慎重さを放棄。急激なペースで資産購入プログラム、バランスシートの拡大、貨幣の大量印刷、など無数の不明瞭な金融政策を繰り返しました。

結果的に、当然のことながら資産価格の大幅なインフレが発生し、株式や不動産、家賃などが全て高騰し、今も高騰は続いています。

そしてこのような動きは、次第に金融業界以外の一般社会にも影響を及ぼし、価格のインフレや賃金停滞、そして金利の低下につながりました。銀行口座の利息はほぼ皆無となり、貯金は利息で増えなくなりました。

法定通貨だけでは足りない状況になってきたのです。この変化に若者世代も気づいており、ミレニアル世代やそれよりも若い次世代も現状の金融システムに危機感を抱いてます。

彼らは仮想通貨に対しての知識があります。インフレの存在を肌で感じ、自分の家をもつことは一生不可能で賃金は上がらないという現実を、目の当たりにしています。親世代の過ごした人生は、彼らにとってもはや夢物語になってしまったのです。

彼らが仮想通貨投資を好む理由は、金が投資対象として好まれてきた理由と一緒です。ですから、フィンテックは仮想通貨、金どちらへもアクセスできるサービスを提供しなければならないのです。

多くの機関は仕組み債や、ETF(上場投資信託)、未割り当て金として金への投資を提供しています。しかしこういったすべての金への投資を利用したとしても金へ投資するという目的を達成することは難しいです。

ETFやその他の現物以外の金を用いても、結局の所、銀行システムを利用することと同じになってしまうのです。

所有権に勝るものはない

ETFやその実物資産としての金からは金のエクスポージャーを得ることはできますが、これは所有権ではありません。実際の金を所有していないのに金を所有しているかのように錯覚させられるウェブ上のカウンターパーティーの仕組みなのです。金を所有するには、実際に現物の金を買うしか方法はありません。

経験豊富な仮想通貨勢は証明書やETF、未割り当て金や紙上に証明されている金など受け付けません。 代替品、代用品ではなく彼らが受け付けるのは本物の金だけです。

アプリが金融機関に

この10年以上の間に、スマートフォンという新技術と仮想通貨と呼ばれる新たな通貨が組み合わされ、様々な変化をもたらしてきました。

個人が簡単にアクセスできる金融・投資アプリが登場する土台が整えられ、ロボアドバイザーなどのサービスも台頭してきました。これらのアプリは、個々のニーズや財務状況、目標などに応じてサービスを提供します。

アプリはすべてのサービスを一括して提供しなければいけません。保険、支払い、予算管理、クレジットカード、ローン、住宅ローン、通貨、投資ポートフォリオなど、すべてをを1つのアプリで済ませたいのです。

ひとつのアプリですべての金融サービスが受けられるようになりました。

フェインテックが提供すべきこのサービスにはポートフォリオの一部になりえる金の現物の管理も含まれなくてはいけません。

さらにバーゼルIIIに見られるように、世界はETFのような形のない金のエクスポージャーではなく、現物資産としての金を所有する方向に進んでいます。

議論に終止符を

戦いは終わりました。敵が味方になったのです。金と仮想通貨は互いに優劣を競うものとして、別々のものとしてみられてきました。

しかし、この論争に決着がつきました。仮想通貨は今後も存在し、もちろん金も存在し続けます。

投資家は両方を求めており、金に関しては現物を求める傾向になってきています。

世界中が銀行口座を持つ、資産もフィンテックで管理される世界になりつつある中、仮想通貨と現物の金の管理を提供することがただの選択肢ではなく、最低限の基準になっていくでしょう。

著者について

シルヴィア・カーラスコ氏は、ロンドンに拠点を持つGoldex社の創業者・CEOです。金投資の販売所「Goldex」を運営しています。Credit Suisse、株式市場のエレクトロトレーディングとアルゴリズムシステムを運営するチームの一員でもあります。

2009年、Alion Partners Capital創設。機関投資家へあらゆる資産に対してのエレクトロトレーディングのアドバイスを提供していました。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します