はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

米ニューヨーク連銀、マクロ経済がビットコインに与える影響を分析

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットコインとマクロ経済要因の関係

米ニューヨーク連邦準備銀行は、マクロ経済関連のニュースがビットコイン価格に与える影響を体系的に分析したレポートを発表。著者らの予想に反し、ビットコインとマクロ経済要因には「不可解なずれ」があることが明らかになった。

「The Bitcoin-Macro Disconnect(ビットコインとマクロの切断)」と題したレポートで、著者のGianluca Benigno博士(NY連銀国際研究部門長)とCarlo Rosa氏(伊パルマ大学助教授)は、暗号資産(仮想通貨)の価格要因について研究するため、マクロ経済に関するニュースや予期していなかった金融政策の発表などに焦点を当て、その前後におけるビットコイン価格の反応を分析した。

研究の背景として、著者らは仮想通貨を「現在の価格が将来期待される価格の割引価値に依存する資産」、つまり将来の値上がりを見込んだ投機的資産と解釈している。

投機的資産の特徴として、金利に影響を与える要因が価格に反映されると予想。現在と将来の金利に影響を与える金融政策のニュース(直接的)とマクロ経済状況に関するニュース(間接的)が、ビットコインの評価に関連するとの前提で検証を進めた。

著者らはニュースの効果を推定するために、「最新かつ包括的な日中のデータセット」を使用し、様々な発表の前後30分間の資産価格の反応を観察したという。

マクロ経済要因と資産クラス

研究では実体経済に関しては、給与、新規失業保険申請、鉱工業生産、小売売上高、失業率、貿易収支関連のニュースを収集。また、インフレに関するニュースや先行指標に関するニュースを収集した。

比較対象となる資産クラスとして、主要通貨との二国間為替レート、貴金属(金および銀)、株式(S&P500)を採用。これらの資産については2000年1月から2022年12月のデータを、ビットコインについては、市場が成熟したと思われる2017年から2022年に限定したデータを用いた。

その結果、資産とマクロ経済・金融ニュースの関連性が下表にまとめられた。色の濃淡が反応の程度を示しており、色が濃いほど、統計的に有意な効果があったことを示している。枠内の記号(+とー)は資産のリターンとニュースの相関を表す。

この表から分かるように、EUR/USD為替レート、金、S&P500は、ほとんどのマクロおよび金融ニュースに有意に反応する一方で、ビットコインの反応は鈍く、金融政策のニュースだけに絞った場合でも1%水準であり、「有意」になることはなかったとレポートは指摘した。

また、実体経済に関するニュース(2016年6月労働市場報告)と金融政策に関するニュース(2021年6月FMOC発表)に対する反応の例が以下のグラフに示された。

2016年6月の労働市場報告(左のグラフ)では、非農業部門雇用者数が予想を下回る結果となった影響で、ドルは対ユーロで直ちに約1%下落、株価は約0.5%下落し、金価格は2%上昇した。一方、ビットコインは横ばいの動きだった。

2021年6月のFRB会合で、FOMCが急速に金利を上昇させる必要があると示唆したところ、ドル、金、株価は、この発表に即座に反応したが、ビットコインは系統的な反応を示さなかった。

結論

著者らは、他の資産クラスと比較するとビットコインはマクロ経済のニュースにはあまり反応せず、金融政策の”サプライズ”的ニュースにも反応しなかったと総括。特に後者に関しては「不可解だ」との感想を述べている。

額面通りに言えば、我々の研究は、ビットコインの価格設定において、割引率の役割にいくつかの疑問を投げかけている。

レポートでは、ビットコインの分析に用いたサンプルデータの期間が短いため、ビットコインとマクロ経済のファンダメンタルズ間の断絶を評価するためには、さらなる研究が必要だとした。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/10 水曜日
11:05
「ビットコイン・アフターダークETF」申請 夜間取引時間の高パフォーマンスに着目
ニコラス・ウェルスが米国夜間取引時間のみ仮想通貨ビットコインを保有する新たなETFを申請した。夜間の高リターン傾向に注目したものだ。ヘッジ型ETFも同時申請した。
09:50
プライバシー重視のステーブルコイン「USDCx」、Aleoのテストネットでローンチ
仮想通貨のステーブルコインUSDCを発行するサークルは、プライバシー機能を持つL1ブロックチェーンAleoのテストネットでUSDCxがローンチされたことを発表。ユースケースなどを説明した。
09:48
仮想通貨市場は政策待ち姿勢 ビットコインとイーサリアムに資金集中=Wintermute分析
Wintermuteの最新市場分析によると、仮想通貨市場は米FRBや日銀の政策決定を前に様子見姿勢を強めている。資金はビットコインとイーサリアムに集中し、レバレッジ水平は低位。先週金曜の急落後も市場は底堅さを保ち、質への選別が進む。レンジ相場継続の見通し。
09:05
プライバシー重視ブロックチェーン「Octra」、30億円規模のICO実施へ
完全準同型暗号技術を採用する仮想通貨プロジェクト「Octra」が2000万ドル規模のトークンセールを実施する。これまでも分散化重視で資金調達を行ってきた。
08:40
コインチェック、NACの新規取扱いを検討 NOT A HOTELとRWA領域で協業強化へ
コインチェックがNOT A HOTEL DAOの暗号資産NACの取扱い検討とRWA領域の協業強化を発表。NACの活用や共同サービスの開発方針について解説します。
08:20
「仮想通貨市場は次の10年間で最大20倍成長する可能性」Bitwise幹部
Bitwiseの最高投資責任者は、仮想通貨市場は次の10年間で10倍から20倍まで容易に成長する可能性があるとの見方を示した。ビットコインなどを例に挙げ、根拠を説明している。
12/09 火曜日
17:40
リミックスポイント、エネルギー事業の中期経営計画を発表 3年で営業利益3.7倍目指す
リミックスポイントが2027-2029年度の中期経営計画を発表。エネルギー・蓄電事業で売上高692億円、営業利益91億円を目指す。日本蓄電池と提携し系統用蓄電所7カ所を共同運営。同社は242億円超の仮想通貨も保有し、多角的な事業展開を推進。
15:52
補正予算の国会質疑で仮想通貨税制が議題に 国民民主党が質問、高市首相は「与党税調で検討中」と答弁
補正予算の国会質疑で暗号資産(仮想通貨)税制が議題に。国民民主党は雑所得として最高税率55%が適用される現行制度を見直し、分離課税化を要求。高市首相は税制改正大綱に基づき与党税調で検討を進めていると答弁した。
13:35
米XRP現物ETF、全期間で純流入を記録 約1459億円に到達
米XRP現物ETFが上場以来全期間で純流入を記録し、約1,459億円に到達。仮想通貨ETF史上2番目の速さで8億ドルを突破し、機関投資家の継続的な買いが続いている
13:20
カナダ税務当局、仮想通貨利用者の4割が未申告と推定
カナダ歳入庁が過去3年間で仮想通貨関連監査により1億カナダドル以上を徴収したが、2020年以降刑事告発は行われていない。同庁は仮想通貨プラットフォーム利用者の40%が未申告または高リスクだと推定している。
12:50
『ガス先物市場』、ヴィタリックがイーサリアム手数料を安定させるアイデアを披露
仮想通貨イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏がガス代先物市場を提案した。将来の手数料をヘッジ可能にする構想であり、コミュニティ内で議論が活発化している。
12:00
XRPの買い方|おすすめ取引所と購入手順を図解【初心者向け】
暗号資産(仮想通貨)XRPの特徴から買い方、将来性、リップル社の最新動向や取引所の選び方も紹介します。ドナルド・トランプ次期米大統領の思惑やSECゲンスラー委員長交代による規制環境の変化、価格への影響を分析。
11:45
米大手銀行CEO、上院議員と仮想通貨市場構造法案を協議予定 ステーブルコインの利息付与に反対表明へ=報道
バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ウェルズ・ファーゴのCEOが9日、上院議員と会談し仮想通貨市場法案を協議する。銀行側はステーブルコインへの利息付与に反対し、仮想通貨分野での競争能力確保を求める姿勢だ。
11:23
テザーのUSDT、アブダビで「法定通貨参照トークン」認定範囲が拡大 9チェーン追加
テザーのUSDT、アブダビで法定通貨参照トークンの認定範囲を拡大。新たに9つのブロックチェーンで規制業務が可能に。USDC、USD1、RLUSDも承認済み。UAEがステーブルコイン規制拠点として台頭。
10:43
スイ(SUI)の買い方|元Meta開発者が手掛ける仮想通貨の将来性、おすすめ取引所
仮想通貨(暗号資産)スイ(SUI)の特徴や将来性、国内取引所での購入方法を初心者向けに詳しく解説します。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧