官民共同のWeb3タスクフォースが始動
香港政府は6月30日、Web3開発推進タスクフォースの設立を発表した。
香港政府は、以前より暗号資産(仮想通貨)をWeb3エコシステムの重要な要素と認識しており、2023~24年度予算で、ポール・チャン財務長官をリーダーとするタスクフォースを結成するとしていた。
タスクフォースとは、特定のテーマに取り組むために組織される専門グループのこと。政府のタスクフォースは特定の目標を達成するために省庁関係者を集め、専門知識やリソースの集約を目的とする。
今回は、関連する市場セクターから15人の非公式メンバー、および主要な香港の政府高官や関係金融規制当局が参加する。非公式メンバーの任期は2023年7月1日から2年間だ。
政府側の公式メンバーの中には、主に以下のような関係者が挙げられた。
- 金融サービス・財務長官
- イノベーション・技術・産業担当次官
- 政府最高情報責任者
- インベスト香港投資促進局長
- 香港金融管理局長官
- 証券先物委員会CEO
- 保険当局CEO
金融規制当局から、証券先物、保険、情報など様々な担当当局が協力してWeb3を推進していくことが窺える。
Web3とは
現状の中央集権体制のウェブをWeb2と定義し、ブロックチェーン等を用いて非中央集権型のネットワークを実現する試みを指す。代表的な特徴は、仮想通貨ウォレットを利用したdAppsへのアクセスなど、ブロックチェーンをはじめとする分散型ネットワークのユースケースがある。
▶️仮想通貨用語集
ポール・チャン財務長官は、ブロックチェーン技術は、「仲介者の排除、セキュリティ、透明性、低コスト」という点で特徴があり、金融、貿易、ビジネスで遭遇する多くの問題点を解決する可能性を秘めていると指摘した。
また、香港はイノベーションを重視する国際金融センターであり、Web3という大きなトレンドを受け入れる大都市でもあるとして、次のように続けている。
香港は、適切な規制と発展促進のバランスを前提として、革新的な探求や開発をリードし、推進し、より多くの新しい導入事例を生み出していく。
Web3分野で一流の企業や人材を集め、繁栄するエコシステムを構築することにも努める。
その上で、タスクフォースには、関連分野の業界リーダーや専門家が参加して政府に助言し、香港がWeb3のハブ(中心地)として発展するのに寄与するとも話した。
香港のWeb3・仮想通貨政策
香港政府は、Web3エコシステム開発推進のために、2023-2024年の予算で約9億円(5,000万香港ドル)を確保。この予算を、香港政府が全額出資するテクノロジー関連企業向けの起業支援事業「サイバーポート(Cyberport)」に割り当てている。
昨年11月末の時点で、約80社のブロックチェーン・仮想通貨企業がサイバーポートに拠点を構えている状況だ。
仮想通貨取引事業者向けのハンドブック
仮想通貨にも注力する香港は、6月初めに、仮想通貨取引プラットフォーム向けのハンドブックを公開したところだ。
仮想通貨取引所を運営する事業者の責任強化を目指しており、取締役、責任役員など「規制対象者」となる存在を明確にしている。こうした個人は、新たな規則に従って、適性テストに合格する必要がある。
ハンドブックは、「香港住民に積極的にマーケティングを行っている」企業も、香港規制当局の監視対象になるとも述べている。仮想通貨企業が、香港でライセンスを取得する必要があるかどうかを定めるガイドラインも盛り込んだ。