相互運用性を高める
米サークル社のYam Ki Chan戦略・政策統括責任者は、国際カンファレンスWebXで編集部のインタビューに応じ、ステーブルコイン市場における同社の強みについて語った。
競争の激しいステーブルコイン市場において、いかに自社の独自性を高めるのかとの問いに、Chan氏は、異なるブロックチェーン間の相互運用性を重視していると回答。サークル社が開発したパーミッションレスのクロスチェーン転送プロトコル(CCTP)について言及した。
CCTPは、サークル社発行の米ドル建てステーブルコインUSDCを、イーサリアムやアバランチ(AVAX)など複数のチェーン間で高速かつ安全に送信できるよう設計されている。送信側のチェーンでUSDCをバーン(焼却)し、受信側チェーンで同量をミント(鋳造)することで、異なるブロックチェーンネットワーク間でのUSDC転送を可能にした。
Chan氏は「消費者規模のWeb3アプリへの道を切り開く」ために、今後もCCTPをサポートするチェーンを追加し、プロトコルの機能とアクセスを強化するよう、進化を続けていくと述べた。
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銀行危機への対策と日本市場参入
今年3月に米国で起こった銀行危機は、 送金処理の遅延など、USDCにも影響を与えた。破綻したシリコンバレー銀行(SVB)は、USDCの準備金のうち現金保有分の約25%を管理する6つの銀行パートナーのうちの1つだった。
Chan氏は、USDCの裏付けとなる準備金の大半が、短期米国債、米国債現先取引及び現金からなるファンドに保管されており、ニューヨーク・メロン銀行が保管、ブラックロックが管理していると説明。USDCの価値の裏付けが強固なものであることを強調した。
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日本のステーブルコイン市場参入については、日本市場の進展および日本政府によるWeb3エコシステムへの支援に希望を見出しており、WebXの参加を決めた理由となったと語った。日本のような高い可能性を持った市場に注目しており、実現可能性と戦略的な整合性を評価するために、継続的に観察しているという。規制遵守のためのデューデリジェンスや、関連する規制機関との対話などが評価プロセスには含まれていると、同氏は付け加えた。
なお、同社のJeremy Allaire最高経営責任者は、先月初めに、日本での事業展開を検討していることを明らかにしており、その中には日本円に連動したステーブルコイン発行の可能性も含まれているようだ。
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現実資産のトークン化とUSDCの役割
Chan氏は、現実資産のトークン化は、24時間265日の投資アクセスを可能し、投資家にとって多大なチャンスをもたらすとの考えを明らかにした。
そして、USDCは、すでにインターネット上のデジタルドルとしての信頼を獲得しているため、「資産のトークン化をサポートするのに、有利な立場にある」と主張した。
USDCのようなステーブルコインと、その基盤であるブロックチェーンは、インターネット上の決済と商取引、資本市場のための新たな統合インフラとして機能し、類を見ないレベルの実用性を提供する。
そして、インターネット決済の革新的なコスト削減と速度に関する人々の認識が高まるにつれ、イノベーションと規制のバランスをとることが、この新たなレイヤーの信頼育成と広範な採用促進に貢献するだろうと、Chan氏は総括した。