
ENAトークン一時急騰
仮想通貨(暗号資産)取引所Bybitは7日、新しいステーブルコイン「USDe」をデリバティブ取引の担保資産に追加すると発表した。トレーダーに利回りを提供することになる。
USDeは、イーサリアム上で発行され、デリバティブ市場からの利回りとステークされたETHのイールドを組み合わせて比較的に高利回りを提供する「インターネット・ボンド」と呼ばれる合成型ステーブルコインだ。
ETHの価格変動によるペッグの影響を回避し、USDeの1ドルの価値を維持するために、「デルタ・ヘッジング」という伝統金融に似た戦略をとっている。このヘッジングは、ETHの現物ロングと先物ショートのポジションを両建にすることで下落のリスクを抑えるという。
Bybitのデリバティブ取引ではUSDTやUSDCといった従来型のステーブルコインが担保として利用されているが、USDTやUSDC自体は保有者に対してネイティブな利回りを提供していない。
Ethenaは今回の発表で、「担保資産の利回りを受け取ることで、利用者はポジション(OI)の証拠金となる担保(USDe)を保有するだけで、資金調達コストを相殺することができ、資本効率が向上する」と掲げている。
Ethenaは、DragonFlyや著名トレーダーのアーサー・ヘイズ氏、バイナンスラボ、OKXベンチャーズなどから出資されており、ガバナンストークン「ENA」も発行。Bybitによる採用のニュースを受け、一時8%急騰していた。
EthenaのTVLについては、Defillamaのデータによると2月から急増し現在約23億ドルの水準を推移している。また、ステーブルコインの時価総額ランキングでは、FDUSDに次ぐ5位の規模だ。
高利回りステーブルコイン「USDe」とは?
「USDe(ユーエスディーイー)」は、米ドルと同じ価値を維持しながら、中央銀行や銀行口座を一切使わずに高利回りを生むデジタル資産。
主にUniswapやCurveなどの主要な分散型取引所でも取引可能で、2025年5月時点で時価総額は約468億ドルに達している。さらに、USDeを一定期間ロックすれば、最大27.6%の年利(APY)を得られる仕組みも搭載。単なる安定資産ではなく、「持って稼ぐ」ことができるステーブルコインとして注目が集まっている。
急成長を裏付けるデータと実績
指標 | 内容 |
---|---|
時価総額 | 約468億ドル(2025年5月時点) |
24時間取引量 | 約3,670万ドル |
利用可能な取引所 | Uniswap、Curveなど |
年利(sUSDeでの運用) | 最大27.6% |
技術基盤 | ステーキングETH+先物ヘッジ(デルタ中立戦略) |
発行プラットフォーム | ethena.fi(公式サイト) |
USDeはどう使われ、どんな価値があるのか?
- 安定資産としての利用: 暗号資産市場で価格変動リスクを回避するために利用される。
- 運用資産としての利用: USDeをロックしてsUSDeを発行する「Internet Bond」により、利回りを獲得。
- DeFi・CEXでの活用: DeFiや中央取引所での流動性が高く、幅広く活用されている。
USDeの購入・始め方【初心者向け】
- 国内取引所(SBI VCトレード、bitbankなど)でETHまたはUSDCを購入
- メタマスクなどのウォレットへ送金
- USDe/USDT、USDe/USDCペアでUSDeを購入
- 高利回りを狙う場合は、公式サイトでUSDeをロックしsUSDeを発行
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1. ウォレットの準備
まず、Baseネットワークに対応したウォレットを用意します。代表的なものとしてはメタマスクやCoinbase Walletなどがあります。
- メタマスクをインストールし、新しいウォレットを作成
- シードフレーズを安全に保管
- 不要な拡張機能と混在しないよう注意
2. ETHを国内取引所からメタマスクへ送金
- 国内取引所(例:ビットバンク)でETHを購入
- メタマスクのアドレスを送金先として登録し、ETHを出庫
- 送金手数料・ネットワークを再確認して送金を実行

出典:bitbank
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まとめ:安定と収益を両立する次世代ステーブルコイン
USDeは、法定通貨を使わずにドル価値を保ちつつ、利回りを得られる革新的なステーブルコインです。これまでのUSDTやUSDCとは異なり、DeFiにおける資産運用や高収益戦略を自動化・透明化して実現しています。
- 高利回りで「ドルを持ちながら稼ぐ」
- 銀行口座不要・検閲耐性ありの分散型マネー
- 暗号資産運用を始めたい初心者にも適した選択肢
USDe投資における主なリスク要因
1. ファンディングリスク(資金調達レートの逆転)
USDeの利回りは、デリバティブ市場(先物)での「資金調達レート(ファンディングレート)」に依存しています。これがプラスの間は収益が得られますが、市場の需給バランスが崩れるとマイナスになり、運用利回りが低下または損失に転じるリスクがあります。
2. 清算リスク(価格急落による強制精算)
USDeはステーキングETH(stETH)とショートETHポジションを組み合わせたデルタニュートラル戦略を用いています。ETH価格が急激に動いた場合、担保の価値が下がって強制清算(ロスカット)される可能性があります。
3. カストディリスク(第三者保管の信用不安)
USDeの担保やポジション管理は、FireblocksやCopper.coなどの外部カストディアンに依存しています。これらのサービスに障害・不正・倒産などが起これば、担保資産や利回りの安全性が脅かされることになります。
4. CEX依存リスク(中央集権取引所の不透明性)
デルタヘッジを行う上で、BinanceやBybitなどの中央集権型取引所(CEX)を通じた取引が不可欠です。万が一、これらの取引所で出金停止や規制制限があれば、USDeの安定性と換金性に影響を及ぼす可能性があります。
5. コラーシャルリスク(stETHとETHの乖離)
USDeはstETH(ステーキング版ETH)を担保に使っていますが、ETHとの価格乖離(ディペッグ)が起きた場合、担保価値が目減りし、ペグ維持に支障をきたす可能性があります。
6. 規制リスク(各国当局による取り締まり)
2025年3月にはドイツBaFinがUSDeの一般提供を禁止しました。これは、EUのMiCA規制に準拠していないという理由によるもので、今後他国でも同様の規制判断が下される可能性があります。これは流通や信頼性に大きな影響を与えかねません。
リスク一覧まとめ
リスクの種類 | 概要 |
---|---|
ファンディングリスク | 先物市場のレートがマイナスに転じると利回りが減少 |
清算リスク | ETH価格急変で担保が強制的に精算される恐れ |
カストディリスク | Fireblocksなどの外部保管先に依存 |
CEX依存リスク | 取引所トラブル時に安定性や換金性に悪影響 |
担保乖離リスク | stETHとETHの価格が乖離した場合の担保価値減 |
規制リスク | 国によっては流通停止や禁止命令のリスクあり |
注意点
USDeは革新的な設計と高利回りを兼ね備えていますが、その仕組みは高度で、投資には一定のリテラシーが求められます。運用を行う際は、公式情報やホワイトペーパーを読み込んだ上で、少額から慎重に始めることをおすすめします。
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