SECの執行措置に制約か
米国の最高裁判所は27日、証券取引委員会(SEC)が組織内で決定した執行措置を行った事例を、裁判を受ける権利を侵害していると判断した。
SECはこれまで、暗号資産(仮想通貨)に関連する執行措置でも組織内で判断を行なったことがある。今回の最高裁の判断で、SECらの組織は今後、執行措置を行いづらくなるとの見方が上がった。
SECとは
「Securities and Exchange Commission」の略。株や債券など証券の取引を監督する米政府機関のこと。SECのミッションは「投資家を保護すること」「公正で秩序のある効率的な市場を維持すること」「資本形成を促進すること」である。
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この判断が対象にしているのは、投資アドバイザーのジョージ・ジャークシー氏と、同氏の企業Patriot28。SECは以前、ジャークシー氏と同社が証券法の詐欺に関する規定に違反したと主張した。
この時にSECは、行政法審判官制度に応じて、裁判所ではなく組織内で罰を決めることを選択。最終的にジャークシー氏らの行為を証券法違反と認定し、30万ドル(現レートで4,820万円)の罰金を課した。
その後にジャークシー氏らは、このSECの決定の正当性を確認するように裁判所に要請。上述した最高裁の判断は、この時のSECの決定に対して行われたものである。
今後の規制について
SECは、2010年に制定されたドッド・フランク法によって、組織内の手続きで罰を課すことができる権限を与えられていた。今回の最高裁の判断によってSECは、裁判を行うことでしか執行措置を行えないようになる可能性がある。
国際的法律事務所Mayer Brownのパートナーは「CoinDesk」に対し、以下のようにコメントした。
最高裁の今回の決定は、裁判ではなく組織内で執行措置を決定する連邦機関にとって、大きな制約になる。
今後、同様の執行措置は全て独立した裁判官や陪審員の前で審理されなくてはいけないことを、今回の判断は示唆している。
一方で、今回のような判断を巡っては、SECが悪質な行為を排除することが難しくなる可能性があると懸念する声も上がっている。
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