リキッドステーキングとは
暗号資産(仮想通貨)ソラナ(SOL)のステーキングは、年利5%前後(手数料差し引き後)の収益機会を提供する運用方法として人気を集めています。
しかし、従来のステーキングには資金が一定期間ロック(預け入れ)されるという課題がありました。この問題を解決するのが、近年注目を集める「リキッドステーキング」です。
その特徴は、ステーキングしたSOLとほぼ同価値の「LST(リキッド・ステーキング・トークン)」が付与される点です。このLSTにより柔軟な運用が可能になり、追加の収益機会にアクセスできます:
- DeFiサービスでの流動性提供:取引手数料の一部を得たり、トークン報酬も期待
- 借入の担保としての利用:他のDeFiで運用可能で、エアドロップのポイント稼ぎなど、追加の収益機会を得られる
- 償還時:元のSOLとステーキング報酬の受け取り
- トークンの売却:市場変動に応じた柔軟なトレーディングが可能に
本記事では、ソラナ(SOL)リキッドステーキングで「預入総額(TVL)」トップであるJitoを中心にわかりやすく解説。Jitoトークンの買い方、JitoSOLの取得方法、JitoSOLの運用例)(Kamino Finance)、そして注意点について詳しく解説していきます。
リキッドステーキングに必要なソラナ(SOL)購入に
Jito/JitoSOLの特徴
Jitoは、約32億ドルのTVL(Total Value Locked:預かり資産総額)を誇り、ソラナエコシステムにおいてトップです。発行するリキッドステーキングは「JitoSOL」と呼ばれ、ステーキング報酬(約6-7% APY)+MEV報酬(追加で数%)を自動的に蓄積。6.53%程の金利を実現しています(2025年9月時点)。
出典:Jito
ガバナンストークン「JTO」
Jito自体も暗号資産(仮想通貨)を持ちます。「JTO」はガバナンストークンとして、プロトコルの統治とインセンティブ設計に使用されます。運営はJito Foundationが行い、DAOの決議を執行。JTO保有者はガバナンス投票への参加とステーキング報酬の獲得が可能です。
JTOの基本情報・チャート
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 通貨コード | JTO |
| 公開日 | 2023年12月 |
| 価格 | 1.59ドル(約243円) |
| 時価総額・順位 | 約6.1億ドル(115位) |
| 流通供給量 | 約3.8億枚 |
| 最大供給量 | 約10億枚 |
| 過去最高値 | 2024月4月:約4.9ドル(約740円) |
| エアドロップについて | トークン発行時に実施(現在は情報なし) |
| 取引市場 | Binance、Bybit、Orcaなど |
Jitoの注目点・将来性
Jitoは、「伝統金融 × DeFi」をつなぐ存在として存在感を高めています。具体的には、ソラナ現物型ETFへのJitoSOL組み入れが進展中です。2025年7月、REX-Osprey ETF「SSK」が担保資産にJitoSOLを採用し、その利回りを投資家に還元しました。さらに同年8月には、米投資会社VanEckも「JitoSOL ETF」の登録申請を行うなど、機関投資家から一定の支持を獲得しています。
この背景には、SECスタッフ声明(2025年5月・8月)が大きく影響しています。同声明では、プロトコルステーキングやLST(JitoSOLを含む)は「中央集権的な管理がなければ証券に該当しない」と明確化されました。これによりETF発行におけるコンプライアンス上のハードルが大きく下がっています。
また、ガバナンストークン「JTO」への投資事例も出始めています。カナダ上場企業のSOL Strategiesは「Strategic Ecosystem Reserve(戦略的エコシステム準備金)」の一環として、52,181 JTO(約15万CAD相当)を取得し、長期的なエコシステム支援を表明しました。
なぜJitoSOLの採用が進んでいるのか?
JitoSOLは、ソラナにおけるLST市場で30億ドルを超えるTVL(総ロック価値)を誇り、市場シェアも45%以上。さらに、MEV再分配による収益モデルによりDAOの年間収益は約2,274万ドルに上り、高い持続可能性を実現しています。
加えて、Jitoが提供するバリデータ向けソフトウェア「Jito-Solanaクライアント」の普及も重要です。このクライアントはMEV(最大抽出可能価値)を効率的に抽出・再分配する仕組みを備えており、バリデータの収益を平均20%向上させています。その結果、約1,800のアクティブバリデータのうち90%以上が採用し、ステークウェイトベースでも88%を占めています。

出典:Jito
こうした規模・収益・技術基盤の三拍子が揃っていることこそが、JitoSOLの採用が進む大きな理由です。
JTOの買い方
Jitoのガバナンストークンである JTO は、ソラナ上のDEXアグリゲーター「Jupiter(ジュピター)」を通じて購入することができます。購入の流れは他のソラナ系トークンやミームコインと同様で、ウォレットを接続し、交換元となるSOLやUSDCを用意したうえでJTOにスワップする手順です。
ウォレットの準備やJupiterでの基本的な購入方法については、すでにご紹介している「ミームコインの買い方」と同じ流れになりますので、そちらを参考にすればスムーズに取引が可能です。
関連:ミームコインとは?買い方・探し方|DEXで購入する方法【イーサリアム・ソラナ対応】
JitoSOLの取得方法・運用方法
ここからは、実際にリキッドステーキングトークンであるJitoSOLを取得し、Kamino Financeで運用を始めるまでの手順を解説します。
基本的な流れは他のリキッドステーキングと同様で、まずSOLを用意してウォレットに送金し、その後公式サイトを通じてJitoSOLへ変換します。続いて、取得したJitoSOLをKamino Financeに預け、利回り運用を行うまでの手順となります。
手順
- SOLの調達・送金方法
- JitoSOLの取得方法
- Kaminoでの運用方法
- 国内の仮想通貨取引所でSOLを購入する
- 購入したSOLをPhantom walletへ出金
- 受け取るJitoSOLの金額を確認する(+金額)
- 使われるSOLを確認する(-金額)
- ネットワーク料金(Network fee)を確認する
- ステーキング報酬とMEV報酬の自動的な反映(報酬は自動的にJitoSOLの価値に加算されます)。
- DeFi運用・保持・取引へ、スムーズな展開
- インパーマネントロスのリスクが低い(JitoSOLとSOLは価格が連動しているため)
- 両方の資産でフルにステーキング報酬を獲得できる
- JitoSOL – SOLスワップから追加の取引手数料を得られる
- 自動ポジション管理により、ユーザーは複雑な調整を行う必要がない
- JitoSOLやmSOLのステーキング報酬
- MEV報酬(取引順序調整から得られる利益)
- スワップ取引手数料(取引量に応じて0.5〜2%)
- 追加インセンティブ(JTOなどが配布される場合)
- 持続可能性の不確実性: 異常に高い金利は長期的に持続できない可能性があります。
- スマートコントラクトのリスク: プロトコルに脆弱性があった場合、資金損失のリスクがあります。
- 流動性リスク: 高利回りに惹かれて多くの投資家が参入し、急激な償還要求が発生した場合、流動性の問題が起こる可能性があります。
- 規制リスク: SEC(米国証券取引委員会)は8月5日に特定のリキッドステーキング活動が証券取引に該当しないとする新ガイダンスを発表しました。ただし、将来的な規制の変更により、サービスの提供が制限されるリスクがあります。
関連:米SEC、「リキッドステーキング活動は有価証券に該当せず」 - 価格変動リスク: 基礎となるSOLの価格変動により、トークン価値が大きく変動する可能性があります。
- 税務リスク:ステーキングで得た報酬や、トークン価格の上昇によって得た利益は課税対象となります。日本では雑所得として扱われ、金額によっては確定申告と納税義務が発生するため、 受け取りや売却の履歴を正確に残し、税務申告に備えることが重要です。
関連:確定申告に向けた仮想通貨の税金対策 注意点まとめ
1.SOLの調達
まずは、JitoSOLの元となるSOLを用意します。SOLは国内外の暗号資産取引所で購入可能です。
①.国内取引所でソラナ(SOL)を購入
ソラナ(SOL)は下記の国内取引所等で購入できます。
SBI VCトレード
大手上場企業SBIグループ傘下の安心・安全な取引所
OKJ
世界的な仮想通貨企業OK Groupの日本法人、迅速な出金で人気の取引所
| 特徴 | SBI VCトレード | OKJ |
|---|---|---|
| 取扱い通貨数 | 24種類 | 42種類 |
| 手数料 | 最高水準 | 0.07%~0.02%* |
| 出庫対応 | 出庫手数料無料 | 入出金は24時間365日即時対応 |
| 取引方法 | 販売所・取引所・レバレッジ | 販売所・取引所 |
| 公式 |
※ 取引量に応じて段階的に安くなるボリュームディスカウント方式
| SOL情報 | SBI VCトレード | OKJ |
|---|---|---|
| ステーキング | 可能 | – |
| 板取引 | – | 可能 |
| 最小取引単位 | 0.001 SOL(販売所) | 0.01 SOL(販売所) |
| 出庫手数料 | 無料 | 0.01~0.05 SOL |
| 公式 |
関連:ソラナ(SOL)おすすめ取引所、手数料・ステーキング・出庫機能を徹底比較
②.国内取引所からソラナ(SOL)を出庫(SBI VCトレード)
次に、購入したSOLをウォレットに送金する手順を解説します。ここでは、SBIVCトレードを例示しますが、基本的な手順は各社とも似たものです。
入庫アドレス取得(Phantomウォレット側)
①受信を選択します。

出典:Phantom
②受信するトークンのアドレスをコピーします。

出典:Phantom
出庫処理(SBI VCトレード側)
①公式アプリを開き、「資産 / 入出金」から「SOLを送る」を選択します。

出典:SBC VCトレード
②「アドレスを登録する」をタップし、Phantom WalletでコピーしたSOLの送信先を登録します。

出典:SBC VCトレード
登録が完了すると、「送信先アドレス一覧」に登録したアドレスが表示されるようになります。
③登録したアドレスをタップし、数量を入力します。
④「ソラナを送る」をタップすると、登録したメールアドレス宛に以下のような確認メールが届くため、メールに記載されているリンクをタップします。

出典:SBI VCトレード
⑤タップした後に「出庫予約の受付が完了致しました。」と書かれた画面が表示されれば、出庫予約が完了となります。
2. JitoSOLの取得方法
SOLをウォレットに送金できたら、次はJitoの公式サイトでJitoSOLを取得します。
ウォレットを接続し、ステーキングするSOLの数量を指定すると、対応するJitoSOLが発行されます。この操作によって、通常のステーキング報酬に加え、Jito特有のMEVリベート報酬を得る仕組みに参加できるようになります。
ステップ1:公式サイトでウォレット接続
公式のJitoステーキングページにアクセスし、 「Connect Wallet」ボタンからウォレットを接続します。アドレスが表示されれば準備完了です。

出典:Jito
ステップ2:ステーキング方法とSOLの入金
SOLをステークする数量を入力し、以下の2つのオプションから選択します。

出典:Jito
1.Direct Mint(ダイレクトミント):ステークプール契約経由でJitoSOLをミント(推奨、スリッページなし)
2.Via Jupiter(Jupiter経由): Jupiter DEX経由でSOLをJitoSOLに交換
希望の方法を選び、SOLの量を入力したら「Convert to JitoSOL」ボタンをクリックします。
ステップ3:トランザクションを確定
ウォレットに表示されるトランザクション内容(以下の3つ)を確認し、承認(Confirm)します。処理完了まで通常10〜30秒です。

出典:Jito
ステップ4:取得完了とその後の流れ
成功(Staked Successflly)メッセージが表示されたら、ウォレットにJitoSOLが追加されているのを確認しましょう。

出典:Jito
取得後は以下の操作が可能になります。
具体的な運用例
JitoSOLを保有することで、直近の実績では年率約6.6%の利回り(2025/9/11時点)を得ることができます(ただし利回りはネットワーク状況やMEV報酬の値により変動)。

出典:Jito
さらに高い収益を目指す場合には、DeFiでの運用が有効です。その代表例が、ソラナa上の自動化DeFiプラットフォーム「Kamino Finance(カミーノファイナンス)」を利用した流動性提供です。JitoSOLとSOLをペアで預け入れることで、利回りはおよそ8%程度に向上します。
Kamino(KMNO)では、主要戦略のひとつとして 「JitoSOL – SOL Vault」 が用意されています。このVault(ボールト)はKamino最大の規模(TVL最大)を誇り、主にRaydiumを基盤としつつ、Orcaとの統合も進められています。
両方の資産がSOLベースであるためリスクは比較的低く、報酬はステーキング報酬+スワップ手数料+インセンティブによって構成されています。
Vaultとは
Vault(ボルト)とは、暗号資産を「預けておくだけで、自動的に運用してくれる仕組み」のことです。
通常は自分で取引したり利回りを再投資したりしなければいけませんが、Vaultを使えばプロトコルが自動でポジション調整や報酬の再投資を行ってくれるので、ユーザーは手間をかけずに効率よく運用できます。
つまり、「放置で複利運用してくれる便利な金庫」のようなイメージです。
「JitoSOL – SOL Vault」利用のメリットとインセンティブ
このように、JitoSOL – SOL Vaultは安定性と収益性を兼ね備えた運用先として、SolanaのDeFi戦略の中心的な存在となっています。
インパーマネントロスとは
インパーマネントロスは市場価格の変動が大きい場合に起こりやすく、預けた2つの資産の価格比率が変化することで、そのまま保有していた場合と比べて損失が生じることを意味します。
リキッドステーキングに必要なソラナ(SOL)購入に
Kamino Financeでの流動性提供手順
では実際にKaminoでSOL-JitoSOLの流動性を提供してみましょう。
以下は、ウォレット接続から実際の流動性提供までの流れです。
①ウォレットの接続
Kamino公式サイトにアクセスし、「Connect Wallet」をクリックしてPhantom(ファントム)などのソラナ対応ウォレットを接続します。
②プールの選択
トップ画面から「Liquidity」セクションを開き、JitoSOL-SOLペアを選択します。

出典:Kamino
③流動性の追加(Deposit)
「Single Asset Deposit」のチェックを外し、預け入れるSOLの数量を入力(自動でJitoSOLの数量が入力される)→「Deposit and Stake」をクリックします。手数料などを確認し、ウォレットでトランザクションを承認します。

出典:Kamino
④完了
処理が成功すると、流動性提供のポジションが作成され、利回りが発生し始めます。
パフォーマンスと手数料
KaminoのVaultを利用する際には、いくつかの手数料が発生します。管理手数料は利回りの2〜5%程度(Vaultによって異なる)で、さらに利益の一部に対してパフォーマンスフィー(成功報酬)がかかります。出金手数料はほとんどの場合ごくわずか、あるいは無料に設定されています。
注意点として、Vaultに表示されているAPY(年利)は1〜5%と低めに見えることがあります。これは、JitoSOLやmSOLが持つ本来のステーキング報酬を含んでいないためです。
実際には、以下の収益が合算されることで、利回りはより高くなります。
つまり、表面上の数字以上にリターンを得られる可能性があり、DeFi初心者にとっても「控えめに表示されているが実際は高利回りになる」点を理解しておくと安心です。
リスクに関する注意事項
なお、ステーキングやKaminoなどでの運用には、以下のようなリスクが伴う可能性があります。
自己責任でリスクを十分に理解し、将来性や利回りの可能性も踏まえて検討したうえで、投資をしましょう。
Jitoは、ソラナのリキッドステーキングを牽引する存在として成長を続けています。JitoSOLによる利回りの獲得やDeFiでの活用、そしてガバナンストークンJTOを通じたガバナンス参加など、多彩な可能性を秘めています。仕組みやリスクを理解したうえで、自分に合った方法で活用していきましょう。
関連:DeFiの基本から実践まで|初心者向けに分かりやすく解説
リキッドステーキングに必要なソラナ(SOL)購入に
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