Sanctum(サンクタム)とは?
Solana(ソラナ)ブロックチェーン上で展開するDeFi(分散型金融)プロトコル、「Sanctum(サンクタム)」についてご紹介します。
暗号資産ソラナ(SOL)にはステーキングという運用方法があり、年利5%~8%程の報酬が得られます。しかし、資金がロックされるため資金効率が低下するという課題があります。
Sanctumは、この問題を解決するプロジェクトです。ステーキングしたSOLとほぼ同価値の「LST(リキッド・ステーキング・トークン)」をユーザーに付与。LSTは売却や、流動性提供、借入の担保として利用したり、いつでも元のSOLを償還することもできます。
LSTは外部のDeFiサービスでの運用で収益を得られ、償還時にはSOLのステーキング報酬を得ることもできます。
LSTは以前からある仕組みですが、の特徴は、外部プロジェクト向けにLST発行機能を提供していること。LST市場を拡大し、Binance(バイナンス)などの大手取引所からも注目を集めています。
提携プロジェクトは、各ビジネスの収益の一部をLST保有者への利回りに上乗せします。投資家にとってSOLステーキングの選択肢が広がっています。
本記事では、Sanctumの詳細な特徴や独自トークン「CLOUD」、具体的な使用方法、そして将来の展望について解説していきます。
Sanctum(サンクタム)の概要
Sanctum(サンクタム)は、ソラナ(Solana/SOL)ブロックチェーン上で開発されたDeFiプロトコルです。2023年8月から、リキッドステーキングに特化したサービスの提供を開始しました。
Sanctumの主要機能は、提携プロジェクト向けのLST(リキッド・ステーキング・トークン)発行メカニズム。各LSTは独自の報酬プログラムを設定でき、ユーザー獲得競争を促進しています。
さらに、Sanctumは各LST間の流動性ソリューションも提供し、トークンの断片化による換金性低下を防いでいます。
これらのアプローチにより、2024年10月時点でSanctumで発行されるLSTは68種類に達し、TVL(預入総額)は9.47億ドル(約1400億円)に上っています。
出典:DeFillamaSanctumの主なLST
Sanctumのアプリケーションでは、「LSTs」タブから多様なLSTを比較できます。これらのLSTの年利は約6%から19%と幅広く、ユーザーのニーズに応じた選択が可能です。以下では、特徴的な2つのLSTを紹介します:
1. bbSOL – 高金利を誇るLST
執筆時点で最高金利を提供しているのは、仮想通貨取引所Bybit初のLST「bbSOL」です。
- 年利: 20.16%
- 総ステーク: 339,241.05 SOL
- 交換レート: 1 bbSOL ≈ 1.0218 SOL
bbSOLの高金利の源は、ステーク報酬(コンセンサス参加バリデータが獲得するMEV報酬と取引手数料)です。Sanctumプロトコルを利用した安全でセキュアなLSTとされています。
2. JupSOL – 高流動性のLST
JupSOLは、現時点でステークSOLの総量が最も多いLSTの一つです。
- APY(年利): 7.88%
- 総担保額: 3.23M SOL
- 交換レート: 1 JupSOL ≈ 1.041 SOL
JupSOLはJupiterが運用するソラナのバリデーターに担保されたSOLの取り分を表します。Jupiterはスワップアグリゲーターとして、ソラナ経済圏でトップシェアを占めるプロトコルの一つ。さらに、ユーザーに対するステーキング手数料0%、高いAPYで資金を集めています。
Sanctumの使い方
それでは、投資家向けにソラナ(SOL)をSanctumに預けて、LSTを発行する手順を解説します。
- 国内の仮想通貨取引所でSOLを購入する
- 購入したSOLをPhantom walletへ出金
- Phantom walletをSanctumに接続
- 購入したSOLを用いて、LSTを発行
1.国内取引所でソラナ(SOL)を購入
ソラナ(SOL)は下記の国内取引所等で購入できます。
SBI VCトレード
大手上場企業SBIグループ傘下の安心・安全な取引所
OKJ
世界的な仮想通貨企業OK Groupの日本法人、迅速な出金で人気の取引所
特徴 | SBI VCトレード | OKJ |
---|---|---|
取扱い通貨数 | 24種類 | 42種類 |
手数料 | 最高水準 | 0.07%~0.02%* |
出庫対応 | 出庫手数料無料 | 入出金は24時間365日即時対応 |
取引方法 | 販売所・取引所・レバレッジ | 販売所・取引所 |
公式 |
※ 取引量に応じて段階的に安くなるボリュームディスカウント方式
SOL情報 | SBI VCトレード | OKJ |
---|---|---|
ステーキング | 可能 | – |
板取引 | – | 可能 |
最小取引単位 | 0.001 SOL(販売所) | 0.01 SOL(販売所) |
出庫手数料 | 無料 | 0.01~0.05 SOL |
公式 |
関連:ソラナ(SOL)おすすめ取引所、手数料・ステーキング・出庫機能を徹底比較
2.国内取引所からソラナ(SOL)を出庫(SBI VCトレード)
次に、購入したSOLをウォレットに送金する手順を解説します。ここでは、SBIVCトレードを例示しますが、基本的な手順は各社とも似たものです。
入庫アドレス取得(Phantomウォレット側)
①受信を選択します。
②受信するトークンのアドレスをコピーします。
出庫処理(SBI VCトレード側)
①公式アプリを開き、「資産 / 入出金」から「SOLを送る」を選択します。
②「アドレスを登録する」をタップし、Phantom WalletでコピーしたSOLの送信先を登録します。
登録が完了すると、「送信先アドレス一覧」に登録したアドレスが表示されるようになります。
③登録したアドレスをタップし、数量を入力します。
④「ソラナを送る」をタップすると、登録したメールアドレス宛に以下のような確認メールが届くため、メールに記載されているリンクをタップします。
⑤タップした後に「出庫予約の受付が完了致しました。」と書かれた画面が表示されれば、出庫予約が完了となります。
3. Phantom walletをSanctumに接続
Sanctumの公式サイト(@sanctumso)にアクセスし、「Launch App」を選択します。
上記のページに遷移しますので、右上の「Connect」を選択した後、「Phantom」を選択することで、Phantom walletをSanctumのサイトに接続することができます。
4. 購入したSOLを用いて、LSTを発行
ホームページの左上の「Infinity」を選択することでSanctumの発行するバスケット化されたLSTを発行することができます。上図は、「Infinity(INF)」を選択しています。使用するSOLを選択し、「Deposit into infinity Pool」をタップすることでLSTを発行できます。
Sanctum利用に必要なソラナ(SOL)購入に
LSTのバスケットトークン「INF」
3/ Our latest product Infinity is a never-done-before primitive built from scratch for liquid staking on Solana to facilitate price efficient LST-LST swaps .
— sanctum ☁️ (@sanctumso) April 3, 2024
Users can deposit SOL or any LST into Infinity to earn aggregated staking returns from LSTs in Infinity, in addition to… pic.twitter.com/XtvQ8aLQk6
INF(Infinity)は、Sanctum上で複数のLST(流動性ステーキングトークン)をバスケット化したトークンです。従来のLSTが抱えていた市場の断片化という課題を解決し、より効率的で柔軟な流動性ソリューション「サンクタム・インフィニティ・プール」に基づいています。
サンクタム・インフィニティ・プールは、INFの中核を成す多機能な流動性プールです。ホワイトリストに登録されているLSTまたはSOL間で、いつでもスワップ(交換)ができます。
「INF」トークンは、このプール内の資産のユーザーの持分を表します。INFホルダーは、プール内のLSTの平均ステーキング報酬(約7.5%)に加えて、取引手数料からの変動リターンを得られます。
INFの優位性は、その多様性と柔軟性にあります。複数のLSTの流動性が一つのトークンに集約されているため、市場の断片化を防ぎ、より効率的な取引が可能になります。また、ロック期間がないため、ユーザーは自由に取引を行うことができ、高い資本効率と流動性を実現しています。
さらに、INF自体もLSTとしての特性を持つため、他のDeFiプロトコルでも直接使用することができます。例えば、Kamino Finance、marginfi、SolendではINFのレンディングが可能であり、AramadaやMeteoraでは他のトークンとLPを組んでファーミングを行うこともできます。このような広範な互換性により、INFはSolanaエコシステム全体の流動性と利便性を向上させる重要な役割を果たしています。
リスクに関する注意事項
なお、Sanctumのような高金利には以下のようなリスクが伴う可能性があります:
- 持続可能性の不確実性: 異常に高い金利は長期的に持続できない可能性があります。
- スマートコントラクトのリスク: プロトコルに脆弱性があった場合、資金損失のリスクがあります。
- 流動性リスク: 高利回りに惹かれて多くの投資家が参入し、急激な償還要求が発生した場合、流動性の問題が起こる可能性があります。
- 規制リスク: 将来的な規制の変更により、サービスの提供が制限されるリスクがあります。
- 価格変動リスク: 基礎となるSOLの価格変動により、トークン価値が大きく変動する可能性があります。
投資を検討する際は、これらのリスクを十分に理解し、自己責任で判断することが重要です。
Sanctum利用に必要なソラナ(SOL)購入に
独自トークン「CLOUD」
Sanctumの独自トークンは、「CLOUD」です。プロジェクトの方向性や手数料変更などに投票できる、ガバナンストークンとして機能します。24年4月~6月に開催されたWonderlandの結果に基づいて、同年7月17日にエアドロップで配布されています。
CLOUDトークンの主な特徴は以下の通りです。
- Sanctumの意思決定に参加できる
- Sanctum Verified Partnerプログラムの資格を得るためには、CLOUDをステークする必要がある
- 総供給量は10億で、初期流通量は18%
- コミュニティへの貢献度に基づくエアドロップが行われる
エアドロップと流動性プールで獲得できる。
CLOUDトークンの価格動向
24年8月29日のBinance、Bybit、Bitgetによる新規LSTの発表を受けて、CLOUDの価格は0.16ドル前後から0.25ドルまで約50%急騰しました。その後も上昇傾向を維持しており、10月1日時点に約61.87円前後で推移しています。
関連:バイナンスらソラナLSTを発表 Sanctum(CLOUD)45%以上急騰Sanctum(サンクタム)の今後の展開
Sanctumは、今後の注目点について、以下のようなものが挙げられます。
- Infinityプールの機能強化(2024年Q3):バスケット化されたトークンINFの強化により、LSTの流動性の増加が見込まれます。
- 新たな種類のLSTの発行:2024年Q4には、Bybit、Bitget等の主要取引所との提携を受けて、新しいLSTの発行が計画されています。
- モバイルアプリのリリース(2025年Q1):スマートフォンからでも簡単にSanctumのLSTサービスにアクセス可能に。
特に大手取引所との協力は、Sanctumの成長を大きく後押しすると考えられています。
Sanctumの主なニュース
2024年4月30日:「Wonderland(ワンダーランド)」と呼ばれるゲーム化されたロイヤルティプログラムを開始。LSTの種類や保有数量、時間に応じて経験値(EXP)を蓄積、ペットのレベルがあがり、独自トークンの獲得量に影響するゲーム性も話題となって、SanctumのTVL(預入総額)は短期間で10億ドルまで拡大した。
2024年8月末:Binance(バイナンス)、Bybit(バイビット)など海外の仮想通貨取引所が、Sanctumとの提携と独自LSTの発行計画を発表。
Binance(グローバル版)の場合、ユーザーは慣れ親しんだ「Binance SOLステーキング」で「BNSOL」を発行し、SOLのステーキング報酬を獲得しながら、外部のDeFiで取引・運用できる。
関連:CEXが次々とソラナのリキッドステーキングトークン(LST)を発表|週間ソラナニュース
Sanctum利用に必要なソラナ(SOL)購入に
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