
2回目の仮想通貨円卓会議
米証券取引委員会(SEC)は11日、暗号資産(仮想通貨)規制に関する2回目のラウンドテーブル(円卓会議)を開催した。今回のテーマは仮想通貨取引の規制だ。
民間からは、コインベース、ユニスワップラボ、ニューヨーク証券取引所などの企業、およびカリフォルニア大学バークレー校財務・会計学部、カンバーランド・ドックランド・リミテッド法律事務所などから学識経験者も集まった。
マーク・ウエダSEC委員長代行は、デジタル証券(セキュリティトークン)の分野では、長期的な課題への対処方法を考慮する間に、条件付きの規制緩和を行うことも検討しているとの姿勢を示した。ウエダ氏は、次のように発言している。
SECが様々な問題に対する長期的な解決策を策定する間に、登録業者および非登録業者に対して、期間限定かつ条件付きの規制免除の枠組みを設けることで、近い将来に、米国でブロックチェーン技術のさらなるイノベーションが可能になるかもしれない。
SECとは
株や債券などの証券の取引を監督する米国の政府機関のこと。1934年設立。公正な取引の確保と投資家保護を目的としており、インサイダー取引や企業の不正会計、相場操縦などを防止する。仮想通貨が有価証券に該当するかという判断も行う。
また、ブロックチェーン技術を用いた証券の取引方法を開発している市場参加者に対して、どのような分野での免除措置が適切か意見を求めるとも続けた。
背景としては、連邦証券法が、取引所のトークン化証券取り扱いの上で課題になる可能性があるとしている。証券法によれば、ブローカーディーラーや全国証券取引所は登録された証券のみを上場できるが、現在市場に出回っているトークン化証券のほとんどは未登録な状態だ。
さらに、仮想通貨取引所がトークン化証券を上場させる上でもハードルが存在。証券規制では取引所の機能が分離されていることを原則とするが、仮想通貨取引所は通常、保管、執行、清算がすべて同じプラットフォーム上で行われる垂直統合型であるためだ。
ウエダ氏は、SECがこうした長期的な課題への対処方法を検討する間に、限定的な免除措置を設けるという構想を示した。
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利益相反やリスクの管理
円卓会議の参加者からも様々な意見が上がった。例えば、アーヴィン・ファイナンスのデイブ・ローアー共同創設者は、仮想通貨取引所が垂直統合型であるために、利益相反の管理が困難になると指摘している。
この問題の典型例は、破綻したFTXと姉妹会社アラメダリサーチのケースであり、同じ企業が保管と取引の両方を担当しているために顧客資金の不正流用が可能になっていたと述べた。
こうした点については、SECのキャロライン・クレンショー委員も、投資家は、自分の資産が取引所だけが管理するウォレットに保管されている可能性や、投資した資産がFDIC(連邦預金保険公社)などの保険でカバーされていないことに気付いていない可能性を指摘する。
他に、テクスチャー・キャピタルの創設者でCEOのリチャード・ジョンソン氏は、新たな規則を策定する際には米商品先物取引委員会(CFTC)とSECが共同で行うことを提案した。
以前より、商品(コモディティ)とみなされる製品を規制するCFTCと証券とみなされる製品を規制するSECの間では、仮想通貨をめぐって水面下で管轄権争いがあると指摘されていたところだ。
円卓会議は現在5回目まで計画されており、今後も仮想通貨のカストディ(保管)、資産トークン化、DeFi(分散型金融)をテーマとした会議が開催される。
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