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「資産トークン化が金融のあり方を変革」ブラックロックのフィンクCEOらが論説

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「トークン化はデジタル金融への橋渡し」

金融大手ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)とロブ・ゴールドスタイン最高執行責任者(COO)は、資産トークン化は今後数十年にわたって金融のあり方を根本から変える可能性があると話した。1日にエコノミストに寄稿された記事の内容だ。

現実資産(RWA)トークン化市場の規模が過去20ヶ月で300%増大するなど加速していることを指摘し、そのインフラ刷新の可能性を1990年代のインターネット黎明期にも例えている。

ただし、トークン化は既存の金融システムをすぐに置き換えるというよりは、従来の金融機関と、ステーブルコイン発行者、フィンテック、パブリックブロックチェーンなど「デジタルファーストのイノベーター」との橋渡しになるものだと位置づけている。

また、投資家が最終的には、株式や債券から暗号資産(仮想通貨)に至るまで、あらゆる種類の資産を単一のデジタルウォレットを通じて売買し、保有するようになる将来が来るかもしれないと予想した。

関連:RWAトークン市場、2028年に約60倍拡大予測「大部分はイーサリアム上で」=大手銀行分析

RWAとは

「Real World Asset(現実資産)」の略。ブロックチェーン上でトークン化されるRWAには不動産、アート作品、トレーディングカード等の実物資産、株や債券等の有価証券などが含まれる。RWAのトークン化の可能性は、資産運用最大手ブラックロックらも注目している。

その上で、規制当局や政策担当者の役割が重要とされており、伝統市場とトークン化市場が協力できるように、既存の仕組みを更新する形での規制整備や安全策の構築が求められていると述べる。

例えば、トークン化商品が安全であり透明性があることを確実にする買い手の保護策や、プラットフォーム間でショックが広がるのを防ぐ強力なカウンターパーティリスク基準、信頼性の高い取引・投資を可能にするデジタルID検証システムを挙げた。

トークン化の大きな利点2つ

フィンク氏らは、トークン化は、今日の市場で支配的な上場株式や債券を超えて、投資可能な資産の世界を大幅に拡大できるとの見解を示している。

トークン化の主な利点を二つ挙げた。まず、取引を瞬時に決済する可能性である。グローバル市場全体で即時決済を標準化することは、SWIFTが実現した以上の飛躍になると指摘した。

次に、トークン化は物理的な紙(書類)を使用して行われていた取引をコードに置き換えることができる。これにより、不動産やインフラのような大規模で非上場の資産を、より小さくアクセスしやすい単位に変えて、投資家の間口を広げることが可能だ。

フィンク氏らは、トークン化を他よりも早く採用しているのは銀行アクセスが限定的な発展途上国である傾向を指摘した。仮想通貨保有者のほぼ4分の3が西側諸国の外に住んでいるとも述べる。

現在、ステーブルコインの支配的なプレーヤーを含め、トークン化金融への移行をリードするのに有利な立場にある企業の多くは米国にあるが、その初期優位性は保証されていないとも続けた。

ブラックロックも、すでに独自のトークン化商品を立ち上げているところだ。特に、トークン化米国マネー・マーケット・ファンド「BUIDL」の預かり資産総額(TVL)は20億ドル(約3,100億円)以上に達している。

世界各国で様々な資産のトークン化の検討や実施が始まっている。日本でも11月、Progmat社が主催する「デジタルアセット共創コンソーシアム(DCC)」が「トークン化法・株式STワーキンググループ」を立ち上げた。

大手証券会社や信託銀行など30社以上が参加し、株式や投資信託のオンチェーン化に向けた検討を開始している。

関連:24時間・1円から取引可能に Progmat齊藤達哉氏が語る「トークン化株式」の全貌|独占インタビュー【前編】

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