仮想通貨AI銘柄の代表的な一つ
国内暗号資産(仮想通貨)取引所Binance Japan(バイナンスジャパン)は12月12日、Artificial Superintelligence Alliance(FET)の取扱いを開始した。
対象サービスは、販売所および取引所での現物取引に加え、定期購入、ユーザー間送金機能のBinance Pay。取引所(Spot)での対応ペアはFET/BTC、FET/BNBとなる。対応ネットワークはFetch.aiおよびイーサリアム(ERC20)。
国内暗号資産取引所におけるFETの取扱いは今回が初となるため、本記事ではFETおよびASIアライアンスの概要を整理する。
目次
FETとは?|Artificial Superintelligence Allianceの概要
FETは、分散型AIプロジェクト「Fetch.ai」と「SingularityNET」を中心に形成された、分散型AI連合「Artificial Superintelligence Alliance(ASIアライアンス)」のトークンだ。 *
ASIアライアンスは、ビッグテックに対抗する分散型の人工超知能(ASI)の実現を目指している。主な製品には「ASI Wallet」と「ASI1-mini」がある。ASI Walletは、ID管理・エージェント連携・トークン管理を一元化したウォレットだ。ASI1-miniは開発者向けの軽量AIモデルで、グラフ強化推論や自律型エージェントの構築に対応している。
仮想通貨FETの主要データ

FET/USDT 長期チャート 出典:Trading View
- 現在価格:約37円
- 時価総額:約860億円(市場順位80位)
- 過去最高値:約539円(2024年3月)
- 循環供給量:約23.1億FET
- 最大供給量:約27.1億FET
- ステーキング利回り:年率約5〜7%前後
*2025年12月15日時点、
データ元:コインマーケットキャップ、Coinbase
FETの用途
FETは、ASIアライアンスにおいて以下の中核的な用途を担う。
- ステーキング
- ガバナンス投票
- AI計算・サービス利用の決済
- 分散AIモデルへの参加・共同所有
ASI1-miniはWeb3ネイティブなLLMで、比較的低スペックな環境でも稼働可能、ステーキングや学習、共同保有に対応といった特徴を持つ。
FET/ASIアライアンスの特徴・将来性
① 分散型AI計算インフラというポジション
ASIアライアンスは、2億ドル超のAI計算インフラを確保し、世界最大規模の分散型AIコンピュートネットワークの構築を目指している。
- 約524のバリデータノード
- エンタープライズ級データセンターとコミュニティ提供リソースの併用
- 大手クラウドと比べて最大50%低コストとされるGPU性能
AI計算資源が一部の大手企業に集中する中、分散型インフラという対抗軸を打ち出している点が特徴だ。
② 4プロジェクト統合による役割分担
ASIアライアンスは、以下4プロジェクトの統合体として構成されている。
- Fetch.ai:自律型AIエージェント
- SingularityNET:分散型AIサービス市場
- CUDOS:分散型クラウド・計算資源
これによりFETは、AIエージェント、分散型AIサービス、データ取引、分散コンピューティング、ステーキングやガバナンスなど、用途が特定領域に偏らない設計となっている。
③ ASI Chain(AI特化型L1)の開発
ASIアライアンスは、分散型AIおよび自律エージェント向けに設計された独自レイヤー1ブロックチェーン「ASI Chain」を開発中だ。
- 想定スループット:1,000TPS超
- AIエージェント前提の設計
- クロスチェーン対応
- エンタープライズ級セキュリティ
また、Deutsche Telekom、Bosch、Alibaba Cloudといった実在企業がバリデータ運営に関与している点も、機関向け資料では強調されている。
④ AI × ブロックチェーン市場の成長文脈
運用会社21Sharesは市場前提として、AI×ブロックチェーン市場:2030年に約3,500億ドル、AI市場全体:2033年に約4.8兆ドルといった成長見通しを示した上で、ASIを「AI時代のインフラレイヤー候補」の一つとして位置付けている。
想定されるリスク
① オフチェーン依存のリスク
AI処理はオンチェーンで完結しないケースが多く、処理内容の正当性検証が限定的、サービス品質を技術的に担保しにくいといった構造的リスクがある。
② 統合プロジェクト特有の実行リスク
4つの異なるプロトコルを統合する取り組みは、技術面、ガバナンス面、トークン設計面のいずれにおいても難易度が高く、計画通りに進まない可能性がある点がリスクとして挙げられる。
③ ビッグテックとの競争環境
現時点では、OpenAIやGoogle、Amazonといった中央集権型AI企業のスケールや開発スピードに及ばないことも認識されており、市場の成熟過程で存在感が相対的に低下する可能性も否定できない。
今後のトークン移行計画
ASIアライアンスでは、今後ネットワークを「Artificial Superintelligence Network」へ移行し、トークンもFETからASIへ1:1で移行する計画を示している。
現時点ではFETが既存ネットワークおよび取引所で流通しており、トークン移行の具体的な時期や方法については、今後あらためて案内される見込みだ。
まとめ
本記事参考にした21Sharesの資料などを踏まえると、FET(ASIアライアンス)は短期的な話題性よりも、AI×分散インフラという長期テーマの中で位置付けられているプロジェクトといえる。
一方で、技術的な実装や競争環境に関する不確実性も明示されており、成長期待とリスクが併存する段階にある点は留意が必要だ。
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分散型AIエージェントの利用を想定して設計された軽量なWeb3ネイティブLLM(大規模言語モデル)の実証版。一般的なクラウド依存型AIとは異なり、自律型AIエージェント同士の連携や分散環境での利用を前提として設計されている点が特徴。比較的少ない計算資源でも動作する。



