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産官で語る円ステーブルコインの現在地、機関投資家参入と通貨主権|TEAMZ WEB3/AI SUMMIT 2026

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

円の通貨主権と機関投資家参入が最大の論点

4月7日に東京・八芳園で開催されたTEAMZ SUMMIT 2026のパネルセッション「CBDC × 民間ステーブルコイン:日本が描く次世代通貨像」で官民3者が登壇した。

デロイト トーマツパートナーの赤星氏はセッション冒頭、グローバルのステーブルコイン市場が時価総額約3,000億ドルに達し2025年の取引量は30数兆ドルに及ぶ一方、通貨構成の約98%を米ドルが占める現状を共有。

CBDCについても国際決済銀行のアンケートで9割以上の中央銀行が検討中と紹介した上で、官民3者が現状と打開策をそれぞれの立場から論じた。

  • 鳩貝 淳一郎(デジタル通貨企画官/財務省理財局国庫課)
  • 岡部 典孝(代表取締役/JPYC株式会社)
  • 齊藤 達哉(代表取締役 Founder and CEO/Progmat)
  • 赤星 弘樹(パートナー/合同会社デロイト トーマツ)※モデレーター

AIエージェントの決済で先行

岡部氏はJPYCのミッションを「社会のジレンマを突破すること」と表現した上で、オンチェーン経済圏における日本円の通貨主権拡大を担う存在を目指すと述べた。

JPYCはサークル社から出資を受け、USDCと同じ仕組みで運営しており、「ドル建てステーブルコインが50兆円規模で普通に流通しているのと全く同じものを、日本の法律で認められた以上、同じ規模で広めていきたい」と語った。

日常決済での活用事例も生まれており、米やゴルフクラブなどの購入でJPYC決済を選ぶと送料無料や3%引きといった特典を設ける店舗が出てきているという。通常の決済では加盟店手数料が3〜10%程度かかるのに対し、JPYCは手数料がかからないため、その分を利用者に還元できる仕組みだと説明した。

AIエージェント経済圏での活用も進んでおり、「日本版のWorld Book的なサービスでは、AIエージェントが自律的にJPYCを使い始めている」と語った。

具体例として、旅行や飲食店の予約をAIエージェントが行う際、支払いまで自律的に完結させるシーンを挙げ、「そうした決済にはステーブルコインが必要になる」と述べた。

機関投資家参入が次のステップ

齊藤氏はProgmatが手掛けるRWA(実物資産のトークン化)の現状を紹介した。

国内ではファンドや社債など合計7,000億円弱の金融資産がすでにオンチェーンで流通しており、そのうち約65%以上がProgmatプラットフォーム上で発行・流通しているという。

「海外でオンチェーン金融の桁が大きいのは機関投資家が参加しているからだ。日本でも信託型など大口対応のステーブルコインが必要になる」と述べ、次のステップとして機関投資家が参加できる決済インフラの整備を挙げた。

DeFi×RWAで資本効率向上

齊藤氏は海外のオンチェーン金融が高度化する理由として、DeFiとパブリックチェーンの組み合わせを挙げた。RWAとステーブルコインをDeFiの流動性プールで組み合わせることで、レバレッジを効かせた資本効率の高い取引が可能になると説明。

「1分1秒の投資成績を競うグローバルな機関投資家にとって、このマーケットに参加できていないこと自体が機会損失だ」と指摘した。

JGBなどの債券を保有したままステーブルコインを使って担保取引に活用し、イントラデイ(日中)のアルファを稼ぐシナリオを提示。「金融の高度化は一度始まると基本的に止まらない。日本もインフラとしてここをきちんと整備していくべき」と述べ、国産プレーヤーが主体的に関与することの重要性を強調した。

CBDCは民間を支える「土壌」

鳩貝氏は政府・日銀の立場をこう整理した。「民間の取り組みを下支えする土壌を用意するのが財務省や日銀の仕事だ。CBDCはその土壌の一つになり得る」。

日本銀行が公表している日銀当座預金のトークン化実験にも触れ、複数行間のデポジットトークン決済を実現するにあたり「中央銀行マネーがトークン化されていると非常に楽になる」という感覚が業界全体で共有されつつあると指摘した。

また、日本銀行券について「デバイスなしでもオフラインでも使えるという優れた仕組みがある」と評価した上で、諸外国でも紙幣の維持が難しくなっている現状を踏まえ、その受け皿としてのリテールCBDC(一般利用型CBDC)の研究・調査も引き続き重要だと強調した。

通貨主権をどう守るか

後半の議論では、通貨主権を巡るビジョンが示された。齊藤氏は「言語と同じで海外とのやり取りはドル(英語)、国内は円(日本語)」と例えた上で、「日本のトークン化資産がステーブルコインでの取引を受け付けなければ、オンチェーン金融においてその資産ごとパッシングされる」と警鐘を鳴らした。

グローバルのオンチェーン金融では現状ドルが共通決済手段であることから、日本の機関投資家がそのままドル建てステーブルコインで取引すればバランスシートに為替リスクが乗ることになるとし、円建てかつ金額制限のないステーブルコインは資産の受け皿と機関投資家の両面から必要だと主張した。

岡部氏は「ドルは1位として、日本円を最低10〜25%のシェアを持つグローバル2位のステーブルコイン通貨に育てたい」と述べた。

日本のアニメなどのコンテンツを外国人がVisaなどで購入すると決済の一部がアメリカに流れ、デジタル赤字が膨らんでいると指摘。JPYCで直接購入できる、またはUSDCをJPYCに自動変換して小口決済できる世界を目指している。また、Circle社と組んでステーブルコイン間のFX(自動両替)の仕組みを準備中だという。

ただし国内では100万円制限があるため、「外国人が先にJPYCを使いこなすような逆転現象も起きかねない」とし、規制の緩和を求めた。

鳩貝氏は別の視点から欧州の事例を挙げた。欧州では欧州人同士の取引であっても決済はVisa・Mastercard・Apple Pay・PayPalに依存しており、決済インフラを海外に握られている状況だと指摘。「日本はまだそうなっていないが、日本資本が決済の担い手である状態を維持することが今後非常に重要になる」と述べ、通貨の種類だけでなく誰が決済インフラを担うかという視点の重要性を強調した。

「一年後に何が変わっているか」との問いに対し、岡部氏は「全銀ネットとの接続を進める」と言及。齊藤氏は「機関投資家が実際にステーブルコインを使って取引した事例を少しでも積み上げることで、ようやくグローバル水準にキャッチアップできる段階が来る」と展望を示した。

関連:【2026年最新】ステーブルコインとは?仕組み・種類・リスク・将来性を徹底解説

TEAMZ SUMMIT 2026

TEAMZ SUMMIT 2026は、Web3とAIをテーマとした国際カンファレンス。4月7〜8日に東京・八芳園で開催され、国内外から1万人規模の参加者を見込む。今回は8回目の開催で、メインステージのほかXRP Tokyo 2026(4月7日)、WayToAGI(4月8日)などの併催イベントも実施された。

【2026年最新】:ステーブルコインとは?仕組み・種類・リスク・将来性を徹底解説

ステーブルコインとは、米ドルや日本円に価値を連動させた価格安定型のデジタル通貨です。法定通貨担保型・仮想通貨担保型・アルゴリズム型・商品担保型の4種類の仕組み、USDT・USDC・JPYCなど主要銘柄の特徴、リスク、市場規模、将来性をCoinPostが網羅解説。

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