- ヴィタリック・ブテリン氏がイーサリアムネットワーク手数料の増加を提案
- イーサリアム創始者ヴィタリック・ブテリン氏は、新たなイーサリアムネットワーク手数料システムを提案。ウォレット開発者への持続的な資金援助を目的としたもので、開発環境の後押しに繋がる可能性がある。
イーサリアムのウォレット使用料引き上げ提案
イーサリアム創始者ヴィタリック・ブテリン氏(以下、ブテリン氏)は3月8日、開発者への持続的な資金援助を目的とした新たなイーサリアムネットワーク手数料「gas」システムを提案した。
この提案は、これまでの手数料のシステムとは別に、ウォレット側など開発者側が設定できる使用手数料を追加する機能の増設だ。
ユーザー側の手数料が増える可能性もあるものの、イーサリアムを利用したプロダクトを開発する開発者を後押し、開発コミュニティの活性化に繋がるかもしれない。
ブテリン氏はこのように紹介した。
イーサリアムブロックチェーンのクライアント/ウォレッのト開発者が、ウォレットからの送金の際に1 gwei/gas手数料を課することを可能にする、もしくは義務化するコミュニティ基準の手数料システム設置を私は支持する。
また、我々はそのような手数料の徴収を簡易化するプロトコルの導入も支持する考えだ。
I propose we consider supporting a community norm that client/wallet devs can/should charge a 1 gwei/gas fee for txs sent through their wallet, we don't try to circumvent such fees, and we support protocol changes to make such fees easier (eg. abstraction enabling multisends)
— Vitalik Non-giver of Ether (@VitalikButerin) March 8, 2019
gwei/gas手数料とは、イーサリアムブロックチェーンにおける取引承認・スマートコントラクトの実行などのコストとしてイーサリアムのマイナーに支払われる手数料である。今回提案されている1 gweiは、3月9日現在のレートで0.00002eth(約0.3円)に相当する。
同氏は、そのような手数料徴収により、開発者側が、年間でおよそ200万ドル(約2.2億円)の開発資金調達が可能になるとしている。
ユーザーの平均gas手数料を7%引き上げることで、クライアント/ウォレット開発者は、年間で200万ドル(約2.2億円)を制度的なバイアスがない、市場の需要ベースでの、持続的な資金調達できる。
なお、イーサリアム財団のこれまでの支援金支出もこの提案の実行によって余裕でカバーできるようになるだろう。
同氏はイーサリアムのコミュニティの同意が必要であるとしながら、イーサリアムエコシステム内でのそのような手数料を支持しようとしている姿勢を強調している。
また、「資産を盗む悪いウォレット」もあると指摘しながらも、すでにユーザーとウォレットとの間の信頼関係がエコシステム内では確実に存在していると弁明した。
コミュニティもそのブテリン氏の提案に反応を示しており、あるユーザーはビットコインウォレットの「MultiBit」の例を挙げて意見を述べた。
Multibitが過去にそれを試みたが、完全な失敗に終わった。 ユーザーはそれまで無料であったものに対してのコストに積極的でなく、結局、その手数料は撤廃された。
何かエンジニアリングへのサポートの良い手段がなければ、ウォレット開発はストップしてしまうだろう。
Multibit tried this. It was an utter failure. Users were not willing to pay for something that was previously free. No one would upgrade. Eventually, the fee was removed. Without a good way to pay for support and engineering, development on the wallet stopped.
— Ken Hodler (@bgok) 2019年3月8日
そのようなコミュニティの反応がありながらも、ブテリン氏は、それらの反響を「励みになる」とし、手数料の機能がイーサリアムウォレットに組み込まれるのを希望していることを米仮想通貨メディアCoinDeskに「この提案を、去年のコーネル大での経済とコンピューティングのカンファレンスで、経済学者らとの対話の後に考え出した。この提案が実現されることを希望している。」と伝えている。
なお先日無事完了したイーサリアムの大型アップグレード「Constantinople/St. Petersburg」は、アップグレード提案の一つであるEIP 1283は、gas計量法を変更し、gasのコストを削減する仕組みが取り組まれているが、ブテリン氏の今回の提案は、gas代によるイーサリアム上のゲームなどで注目を集めつつあるdApps(分散型アプリ)のエコシステムがどのように変化していくか、注視したいところである。
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