- 移住を意識した仮想通貨採用度ランキング
- 投資戦略やステーブルコインについての内容も
「ヘンリー・クリプト採用指数2026」
富裕層向けコンサルティング会社ヘンリー・アンド・パートナーズ(Henley & Partners)は8日、「クリプト・ウェルス・レポート2026」を発表した。国別クリプト採用ランキングや投資戦略、ステーブルコインの状況など多角的な内容を盛り込むものだ。
まず、「ヘンリー・クリプト採用指数2026」では36か国の暗号資産(仮想通貨)対応度を評価。シンガポールが4年連続首位で、アラブ首長国連邦(UAE)が2位に浮上した。香港3位、米国4位、スイス5位、マルタ6位、タイ7位、英国8位、キプロス9位、バハマ10位と続く。
なおこの指数は、単純な普及率ではなく、居住・市民権取得プログラムを持つ国が仮想通貨投資家にとってどれだけ「暮らしやすいか」を測ることを意識したものだ。インフラ普及、規制・経済環境、税制、イノベーション環境など複数の観点から総合的に評価している。
税制ではUAEが全面非課税で満点、米国は一般普及度で満点を獲得した。シンガポールについては、政府主導のトークン化・デジタル通貨・国境を越えた決済に関する取り組みや一般市民への普及の高さ、フィンテックの成熟、仮想通貨ホルダーに有利な税制措置などがランキング首位の背景に挙げられている。
関連記事:「暗号資産(仮想通貨)を金融商品に」金商法改正案が参院本会議で成立 ETF・分離課税の焦点は
暗号資産(仮想通貨)を金融商品として初めて位置づける金商法改正が15日の参院本会議で成立した。申告分離課税20%・インサイダー規制・ETF解禁への道筋が整う。施行は2027年度、課税変更は2028年1月の見通し。
個別銘柄の値動きを狙う投資戦略
コインシェアーズのジャン=マリー・モグネッティ共同創業者もレポートに寄稿し、ETF(上場投資信託)など上場投資商品(ETP)により仮想通貨へ投資する上でのアクセス手段が整った現在における戦略を論じている。
まず、ETFなど規制された商品を通じてビットコイン(BTC)を保有しても、その銘柄の価格上昇に依存する「方向性リスク」は残ると指摘。例えば、 2026年4~6月期には仮想通貨市場全体の時価総額が12.6%下落した一方、ハイパーリキッド(HYPE)は76.7%上昇。このように市場全体と個別銘柄の値動きには大きな差がある状況だ。
そこで、「全般的な市場上昇から利益を狙う方向性投資」に加えて、「銘柄間の値動きの差から利益を狙うデルタニュートラル戦略」という方法もあるとしている。これは、特定の投資対象銘柄群内でロング(買い)とショート(売り)のポジションを組み合わせることで、ポートフォリオが市場の方向性変動から受ける影響の大部分を相殺することを目指す。
モグネッティ氏によると、その結果として残るのは、主に資産間の相対的なパフォーマンスの差だ。つまり、個々の資産が互いに異なる動きを続けるという、ポートフォリオ内の「分散」に賭ける手法である。
その上で仮想通貨市場では、現物借入・先物・パーペチュアル(無期限先物)・オプションなど、ショートを比較的行いやすい市場インフラが存在するとも指摘した。
ステーブルコインの現在
フィンテックとAI(人工知能)分野の独立研究者であるグニート・カウル氏は、ステーブルコインが国際送金・資産移動の金融インフラへ変わりつつあるとする記事を寄稿した。
USDTやUSDCなどのステーブルコインの利用が急拡大しており、特にインフレ率が高い国では、米ドルへのアクセスや資産保全の手段として使われていると指摘。ステーブルコインには数秒・低コストで送金できるという利点があり、ビザ(Visa)など既存の大手金融・決済企業もインフラに組み込み始めていると述べた。
一方で、その本当の効率性と普及は、規制や銀行との接続部分に左右されるとも論じている。USDTとUSDCだけでステーブルコイン市場の約83%を占めるという集中リスクにも言及した。さらに、ブロックチェーンだから「必ず安く・速い」とは限らないと指摘した。
これは、法定通貨への入出金の過程(オン・オフランプ)などで手数料や時間が発生するためだ。これに関しては、イタリア中央銀行も7月、ステーブルコインを使った国際送金にコスト優位性がなかったとする論文を発表している。
関連記事:イタリア中央銀行、ステーブルコイン送金にコスト優位性なしと結論
イタリア中央銀行がステーブルコイン送金の実証実験結果を公表。伝統的な送金手段と比べ体系的なコスト優位性は確認できなかったとしている。



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