CoinPostで今最も読まれています

BITMAIN社のビットコインハッシュレートが51%に接近|非中央集権を脅かしうる

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットメイン社がBTCネットワークハッシュレートの42%以上を占める
中国にあるビットメイン社が、直近1週間の統計で、ビットコインネットワークハッシュレートの42%以上を占めるに至った。ビットメイン社はBTC.comとAntPoolの2社を保有しており、それぞれが27.0%、15.2%のブロック承認率を達成している。
ビットメイン社の優位性
近頃のビットコイン価格の下落と、ハッシュレートの上昇により、多くのマイニング事業が継続困難になり、ビットメイン社の優位性を加速させています。
「非中央集権的」特性を脅かす
ビットメイン社がマイニング市場に優位な地位を占め、その上、マイニング市場に大きな影響を及ぼしているASIC製造に独占的な地位を占めていることで、ビットコインと仮想通貨の「非中央集権的」特性が脅かされかねません。
ハッシュレートとは
ハッシュレートはマイニングで行われる際のその速度のことを言います。マイナーが計算を行うときに、1秒あたりの計算回数を指しています。したがって、マイニングを行うマシンの計算力の測定単位になります。

▶️CoinPost:仮想通貨用語集

ビットメイン社がBTCワークハッシュレートの42%以上を占める

北京に本拠を置き、仮想通貨業界で大きな影響力を持つ、Bitmain Technologies Ltdが、直近1週間の統計で、ビットコインネットワークハッシュレートの42%以上を占めるに至りました。

ビットメイン社は、マイニングに特化した集積回路 (ASIC)の世界最大のメーカーであり、ビットコインマイニング市場においては、最大シェアを誇るBTC.com と 2位のAntPoolを所有しています。

ASICとは

ASIC(Application Specific Integrated Circuit)は、マイニングに最適化されたの電子的回路(集積回路)のこと。 マイニングの性能に関しては、GPUやCPUなど既存の機器に使われていたチップとは比べ物にならないほど高性能とされている。

▶️CoinPost:仮想通貨用語集

BTC.comが公開している統計(下図参照)によると、BTC.comは、27.0%、 AntPool は15.2%のブロック承認率を達成しており、この2つのマイニングプールの合計は、42.2%となります。

つまり、この1週間に焦点を当てると、ビットメイン社は理論上、BTCネットワークハッシュレートの42%をコントロールできる状態に至っているということになります。

出典:BTC.com

さらに、ビットメイン社は、上記マイニングプール2社を通して、同じPoW (Proof of Work) アルゴリズムを取り入れているBCHのマイニングも行っています。

BCHマイニングに使われているハッシュパワー全てをBTCマイニングに転用したと仮定すると、ビットメイン社がコントロールできるBTCネットワークハッシュレートは45%になり*、ビットコイン台帳の不変性を脅かす51%の単独所有が目前に迫ることになります。

* (1)BCHマイニングにおけるBTC.comシェア:10.4% +AntPoolシェア10.6%=21% (2)BTCとBCHではマイニングの難易度に大きな差があるため、上記21%はBTCネットワークではおよそ3%のハッシュパワーに匹敵する。

理論的には、51%をコントロールすることで、不正取引がを可能になります。

いわゆる「51%攻撃」で、すでに承認された自己のトランザクションを取り消し、新たに承認することで二重支払いを可能にしたり、他の取引承認の妨害することなどが挙げられます。

51%攻撃とは

51%攻撃とは悪意のある特定のグループがハッシュレートの51%を支配することで、不当な取引を行うことです。この攻撃の対象となるのは「Proof of Work」と呼ばれるアルゴリズムを利用している仮想通貨です。

▶️CoinPost:仮想通貨用語集

なお、51%攻撃では過去のトランザクションの改竄や、他者のビットコインを盗むなどの行為はできません。

51%攻撃を仕掛けることは、ビットコインの信用を脅かし、その価値を下げることにつながり、結果的には、攻撃者自身の利益には繋がらないため、実際に行われる可能性は低いと言えます。

特にマイニングハードウェアメーカーであり、マイニング自体からも大きな利益を上げているビットメイン社が、たとえ51%以上のシェアを得たにしろ、攻撃を行うことは考え難いと言えるでしょう。

ビットメイン社の優位性

51%攻撃の可能性が低くても、同社に対するハッキングや、マイニングプールに参加しているマイナーが不正を働くといったリスクは考えられます。

このようなリスクを軽減するため、ビットメイン社は、同社からある程度独立した2社に分かれたマイニングプールを運営しています。

しかし、ビットメイン社が両社とも所有しているため、懸念は残ります。

ビットメイン社のマイニング市場での優位性を加速しかねないもう一つの要因が、近頃のビットコイン価格の下落と、ハッシュレートの上昇です。

BTCのマイニングハッシュレートは、2017年12月以来、3倍に上昇する一方で、BTC価格は同じ期間では、約3分の1に下落しています。 つまり、ビットコインのマイニングはより速度が上がる一方で、ブロック承認から得られる利益は低くなっており、特に小規模なマイナーにとっては、ハードウェアの投資費用や電力コストなどの採算が合わなくなり、マイニング事業を継続できなくなる事態に発展しかねません。

出典:blockchain.info

大規模なマイニングを行なっているビットメイン社は、企業としての経済的余力がある上、ハードウェアは自社製造であることから、コスト低減が可能であり、このような厳しい状況にも、より長期にわたって耐えうると予測できます。

その結果、小規模なマイニングプールの淘汰が進んだり、市場への新規参入者が現れないなどの理由により、ますます、ビットメイン社による市場の独占が進むといった状況が考えられます。

「非中央集権的」特性を脅かす

マイニングの課題は、ビットコインと仮想通貨の根幹に直結し、その将来を大きく左右する問題です。

ビットコインが誕生した時から、変わることのない熱狂的な支持者を持ち、さらに多くの人々の共感を得ている理由に、既存の金融市場のように、特定の国家機関、金融機関、企業などのコントロールを受けにくい「非中央集権的」特性があります。

ビットメイン社がマイニング市場に優位な地位を占め、その上、マイニング市場に大きな影響を及ぼしているASIC製造に独占的な地位を占めていることは、このビットコインと仮想通貨の理念を脅かし、その将来の方向性に、同社が大きな影響を与える可能性も無視できないと言えるでしょう。

一方で、4月にはスマートフォン「GALAXY」で有名な韓国のサムスン社が、仮想通貨のマイニング用ASICの製造を開始。香港の半導体製造会社TSMCを通じてハロングマイニング社へ提供していることが報じられています。

競争が活性化することで、マイニング市場がより分散化され、仮想通貨の理念が実現していくことを願ってやみません。

CoinPostの関連記事

モネロ:ASIC問題から緊急ハードフォーク実施|分裂した通貨は5つ以上
セキュリティに強みを持ち、世界中で広く支持されている仮想通貨モネロが岐路に立たされています。ASIC耐性を維持する仕様変更について意見が対立し、モネロとモネロクラシック(XMS)という二つの仮想通貨へのハードフォークという選択が選ばれようとしています。
仮想通貨を狙う51%攻撃の脅威は今後も業界を苦しめるのか?対応策は?
ここ2か月の間に立て続けに起こった「51%攻撃」と呼ばれるハッキングで、ビットコインゴールド(BTG)や、Verge (XVG)に至っては二度、巨額の損失を被り、そのネットワークハッシュレートの問題により、仮想通貨価格へも影響を及ぼしています。
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
04/20 土曜日
09:15
ビットコイン、4度目の半減期完了 報酬が3.125 BTCに
直近の米経済指標(3月の雇用統計やCPI等)が景気の堅調さを改めて示しているため、FRBが利下げを急ぐ必要がなくなりつつあるとの観測が高まってきており、仮想通貨や株のようなリスク資産をさらに押し上げる力は弱まってきたようだ。
08:25
BTCクジラが1900億円相当のビットコイン押し目買い、エヌビディアなど大幅安|金融短観
19日のアジア時間はイスラエルがイランに対して報復攻撃を実施したとのメディア報道が嫌気され日経平均指数や上海総合指数などは大きく下がったが、その後攻撃の規模が限定されており核施設に被害はなかったとの報道を受け米国の株式市場ではこのニュースへの反応は見られなかった。
06:45
Magic Eden、BaseチェーンのNFTに対応へ Open Editionミントも予定
Magic Edenは現在NFTマーケットプレイスのランキングで1位。ビットコイン半減期を背景に需要が高まるビットコインOrdinalsおよびビットコイン上の「Runes」への期待が出来高を押し上げている。
06:15
マイクロストラテジーのセイラー会長、自社株売却で570億円の利益
マイクロストラテジーの株価は仮想通貨ビットコインの3月の高騰に伴い3月27日に1,919ドルまで値上がりした。同株は年初来+71.37%のパフォーマンスを見せた。
04/19 金曜日
18:00
2024年注目の仮想通貨10選 セクター別の主要銘柄
暗号資産(仮想通貨)市場を代表する、注目銘柄10選。ビットコイン現物ETFが承認され半減期を迎える2024年。RWAやAI銘柄などセクター毎に投資活動が活発化。年初来の騰落率を含む各種データを網羅。ソラナのミームコインやエアドロップの効果は業界全体に影響している。
13:53
Yuga Labs、NFTゲームの知的財産権をゲームスタジオ「Faraway」に売却
著名NFTコレクション「Bored Ape Yacht Club」で知られるYuga Labsは、同社が開発するNFTゲーム「HV-MTL」と「Legends of the Mara」の知的財産権を、ゲームスタジオ「Faraway」に売却したと発表した。
11:54
中東情勢緊迫化で株やビットコインなど急落、リスク回避の動き強まる
中東情勢を巡りイスラエルのイランへの報復攻撃が伝わり、日経平均株価や仮想通貨ビットコインなどリスク性資産が暴落した。先行き懸念からリスク回避の動きが強まっている。
11:30
Ondo Finance、米国債建てトークンUSDYをコスモスで展開へ
資産トークン化企業Ondo Financeは、Noble Chainと提携して米国債建てトークンUSDYなどの資産をコスモス上で展開すると発表した。
11:00
テザー社、USDT超えて最先端技術提供へ 4つの新部門立ち上げ
USDTを発行するテザー社は事業部門を4つに再編する計画を発表した。ステーブルコインを超えた、より包括的なソリューションを提供していく計画だ。
10:10
「BTC半減期後の相場はマクロ経済が主導」10x Research分析
仮想通貨ビットコインの半減期後の相場を主導するのはマクロ経済であると10x ResearchのCEOが指摘。現状ではビットコインの今後価格が5万ドルまで下がる可能性もあると述べている。
09:35
Aptos開発企業、マイクロソフトやSKテレコムなどと提携
アプトス・ラボが数社と共同で開発するAptos Ascendは、金融機関向けのデジタル資産管理プラットフォームだ。この製品はAzure OpenAI Serviceを使用する。
07:55
仮想通貨取引所バイナンス、ドバイで完全な事業ライセンス取得
バイナンスは昨年同局からMVPライセンスを取得したが、同ライセンスには3段階のプロセスがあり、今回は最終段階をクリアしたことになった。
07:20
「半減期後にBTC価格は下落する可能性」JPモルガン
半減期後に仮想通貨ビットコインの価格は下落する可能性があると、JPモルガンのアナリストは分析。17日のレポートで分析の根拠を説明している。
06:30
バイナンス、新たな仮想通貨ローンチパッド「メガドロップ」発表
最初に選ばれたプロジェクトは仮想通貨ビットコインのステーキングプラットフォーム「BounceBit」で、168,000,000 BBトークンがMegadropを通して配布される予定だ。
06:00
コインベース、ソラナミームコイン「WIF」の永久先物提供へ
米仮想通貨取引所大手コインベース(およびインターナショナル取引所)は19日、ソラナ基盤のミームコイン「WIF」のパーペチュアル先物取引を新たに提供する予定を発表した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/04/20 ~ 2024/04/21
大阪 京セラドーム大阪
2024/04/25 ~ 2024/04/26
東京 国立新美術館
重要指標
一覧
新着指標
一覧