- グーグルも仮想通貨に対する姿勢軟化
- 2018年に入ってから仮想通貨に関する広告禁止を実施してきたフェイスブック社は先月末、全面禁止措置を改定、一部広告を許可すると発表。世界32カ国、2,000万人のユーザーベースを抱えるコインベースの広告が掲載されている。グーグルも仮想通貨の潜在的可能性に言及するなど事態は好転している。
BIGプレイヤー参入に伴い、トレンド変換も
2017年、大躍進の年となった仮想通貨市場は、今年に入り一変して至難の時が続いてきました。価格の暴落や低迷に加え、世界各国の仮想通貨に対する厳しい規制の可能性、そして主要ソーシャルメディアからの相次ぐ広告全面禁止の発表。
1月末のフェイスブックに続き、3月にはグーグルも、仮想通貨に関する広告禁止を実施すると発表。
特に、オープンな情報が成功への命綱とも言える、ICOを取り巻く環境は一気に厳しくなり、詐欺対策など規制の必要性が強まっていたとは言え、仮想通貨業界全体に重苦しい雰囲気が立ち込めました。
フェイスブックの最初の方針は、誤解を招いたり、詐欺的な宣伝活動につながると思われる、すべての「金融商品とサービス」を対象としたもので、それには、ICOを含む仮想通貨関連事業の全てが含まれていました。
しかし、ここにきて、そのような悲観的状況は変わりつつあります。
フェイスブックは、先月末に仮想通貨広告の「全面禁止」措置を改定し、特別申請と審査により、一部の広告を許可すると発表しています。
実際、7月20日に、アメリカ最大の仮想通貨取引所コインベース社の広告が、フェイスブック上に掲載されたことを、コインベース社CEOのBrian Armstrong氏がツイッター上で、喜びの声とともに報告しています。
このツイートにコミュニティは喝采し、160のコメントがついています。
コインベース社は、昨年、想通貨関連で初めて、企業価値が10億ドル(1100億円)を超えた企業のみが認定されるユニコーン企業と認定されており、その時価総額は今年は、およそ80億ドル(8,800億円)と算定されています。
仮想通貨業界に与える影響力は大きく、世界32カ国、2,000万人のユーザーベースを持っています。
フェイスブックも無視できる規模ではなくなってきています。
Googleのケース
その一方、グローバルな影響力を持つ、巨大企業グーグルの対応も注目されています。
Googleは3月に、6月1日から仮想通貨と関連内容の広告禁止を導入すると発表していました。 その措置に対して、仮想通貨業界はもとより、金融業界からも、「合法的な企業も排除してしまう不公平なやり方」だと批判が相次いでいました。
しかし、CNBCによると、グーグルの親会社であるAlphabet社は、その収益のおよそ84%を広告から得ており、安全で効率の良い広告環境を保持していることを、広告主やユーザーに認知してもらうことが同社の死活問題にもつながる重要事項です。
そのため、「信頼と安全」報告書を毎年公表し、詐欺や悪徳商法につながる広告を排除することをはじめ、広告掲載基準の透明性を保つことにも大きなリソースを割いているようです。
その報告書によると、2017年にグーグルは、前年の17億の2倍近くにあたる32億にも上る広告を取り下げており、その中には、その年に市場を大きく拡大したICO関連の広告も含まれていたであろうことは、想像に難くありません。
グーグルの「持続可能な広告」部門ディレクターのScott Spencer氏は、仮想通貨に関して次のように述べています。
Spencer氏は、仮想通貨を含むグーグルの金融商品に関する新しい規制方針は、その広告エコシステムを守るためであり、常に変化する状況に対応するため、継続してその方針を更新していく予定だと述べています。
グーグルからは、フェイスブックのような広告掲載に関する改定は公式で発表は行われていないものの、facebook同様コインベースの広告が掲載されている報告が多数寄せられており、しっかりとした審査の元、全面禁止から状況を軟化させていると言えます。
しかし、仮想通貨そのものに対するアプローチには、大きな変化が見られます。
”Ask Mr. Google” (グーグル先生に聞いてみて)
英語圏で生活していると、調べ物をする時、小学生でも先生からこう言われることがよくありますが、今では、主要仮想通貨の価格も、リアルタイムでMr. Googleが教えてくれます。
グーグルのオンライン為替変換で、BTC、BCH、 ETH、 LTCが、世界各国の法定通貨ともにリストに加えられ、ユーザーの居住国の通貨との為替相場が自動的に表示されるようになっています。
「仮想通貨が、法定通貨と並んで表示されることが、いつの間にか既成事実となっている。」
これは、検索分野で世界的な影響力を有する巨大企業グーグルが、社会に示した一つの答えだと言えるのではないでしょうか。