
*本レポートは、X-Bankクリプトアナリストである仮想NISHI(@Nishi8maru)氏が、CoinPostに寄稿した記事です。
仮想通貨マーケットレポート(4/8 AM8時)
仮想通貨ビットコイン(BTC)は、株式市場が歴史的な値動きを示す中で乱高下を繰り返し、一時は年初来最安値を更新した。その後、トランプ大統領による関税引き上げ姿勢の軟化が報じられたことを受けて上昇に転じた。現在、市場は極めて不安定な状況にあり、VIX指数(恐怖指数)は46%を超える水準にあり、予断を許さない相場環境である。

出典:Tradingview
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4月7〜8日相場状況
オプション市場においては、プットコールレシオ(PCR)が上昇基調にあり、投資家心理が弱気に傾いていることが読み取れる(下画像黄矢印)。特に、7万ドル付近のプット建玉が急速に増加しており(下画像赤枠)、市場参加者の目線が下方向に向いていることを示唆している。

また、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のビットコイン先物における未決済建玉(OI)は減少傾向にあり(下画像黄矢印)、機関投資家がリスク回避の姿勢を強め、仮想通貨市場から資金を引き揚げている様子が確認できる。

過去2か月間におけるビットコインと他のアセットクラスとの相関を見ると、米国株価指数との連動性が引き続き高い状況にある(S&P500:+0.84、Nasdaq100:+0.84)。一時においては、ドル安の影響で一時的に逆相関の動きを見せる場面もあるが、全体としては依然として高い相関性を維持していると判断される(下図赤枠)。

現状分析(4/8日 AM8時)
ビットコインは足元で激しい値動きを見せているが、全体としては下落基調にある。特に、VIX指数が高水準である状況下では、機関投資家にとって仮想通貨市場への資金投入はリスク管理の観点から困難となる。このため、株式市場の不安定化が続く限り、仮想通貨市場においてもさらなる下押し圧力がかかる可能性がある。
また、ビットコインを大量保有する企業の株価が軒並み下落している点も懸念材料である。代表的な例として、米ストレタジー社(旧マイクロストラテジー)は2025年第一四半期(1~3月)に約8,800億円規模の含み損を計上したと報道されている。企業の財務基盤が脆弱な場合、ビットコイン価格の下落が即座に財務悪化に直結する。とりわけ、債務超過(資産を負債が上回る状態)が継続すれば、最悪の場合は上場廃止リスクにまで発展しかねない。
このような状況下で、保有ビットコインの売却を余儀なくされる企業が出現した場合には、売りの連鎖を招く恐れがあるため、今後の動向には一層の注意が必要である。
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今後の重要な日程
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