
*本レポートは、X-Bankクリプトアナリストである仮想NISHI(@Nishi8maru)氏が、CoinPostに寄稿した記事です。
仮想通貨マーケットレポート(4/9 AM8時)
仮想通貨ビットコイン(BTC)は、米政権が9日に中国製品に対して累計104%の関税を課すと発表したことを受け、世界経済の減速懸念が高まり、急落した。株式市場のボラティリティが極めて高い水準で推移しており、その影響からリスク資産であるビットコインへの資金流入も鈍化している。現在の市場環境は、ビットコインにとって非常に厳しい状況にある。

出典:Tradingview
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4月8〜9日相場状況
主要取引所におけるビットコインの入出庫動向を見ると、現物市場では入庫超となっている。これは、保有されていたビットコインが法定通貨へ換金される動きが活発化している可能性を示唆している(下画像赤枠)。また、デリバティブ市場への入庫も増加しており(下画像青枠)、証拠金取引を通じたボラティリティの一段の高まりが懸念される。

上記に関連して成行注文の売買動向をみてみると、現物市場で売りが優勢である(下画像赤枠)一方、デリバティブ市場では買いが優勢である(下画像青枠)。この乖離が継続した場合、現物の買いが追随しなければロングポジションのカバー(買いポジションを解消<売却>)が発生する可能性が高まる。

また、デリバティブ市場全体を俯瞰すると、ビットコイン価格が急落しているにもかかわらず、先物価格と現物価格の間に大きな乖離は見られない。これは市場全体が依然としてニュートラルなポジションを保っており、現時点で過度な売られすぎとは言えない状況である。そのため、強いショートカバーによる上昇が起きる可能性は限定的である。

現状分析(4/9日 AM8時)
株式市場のボラティリティが極めて高い状況下において、より高いリスクを伴うビットコイン(BTC)への資金流入は期待しにくい。現物市場では売りが継続しているものの、デリバティブ市場においては中立的な需給バランスが保たれており、短期的なショートカバーによる価格反発の可能性も次第に後退している。総じて、ビットコインは需給・マクロ環境の両面において厳しい局面に直面していると言える。
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今後の重要な日程
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