
マクロ経済と金融市場
7日の米NY株式市場は、ダウ平均株価が前日比−349.26 (0.91%)ドルの37,965ドル、ナスダック株価指数は+15.48 (0.099%)ポイントの15,603で取引を終えた。
一方、7日に記録的暴落に見舞われた東京株式市場では、日経平均株価が前日比+1,997 (6.42%)円と急反発。前日比の上げ幅が一時2100円を超え、3万3000円台を回復する場面がみられた。
為替市場での円高進行が一服したことや日米間の関税協議に進展が期待されていることなどが買い材料とされる。
仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン(BTC)は前日比+2.2%で一時8万ドル台を回復した。

BTC/USD日足
トランプ大統領が4月2日に”解放記念日”と銘打って全面的な相互関税を発表したことを受け、S&P500とナスダック総合指数は過去5日間で10%急落。暗号資産(仮想通貨)市場にも強い影響が及んでいる。
発表された政策では、米国へのすべての輸入品に10%の基本関税を課すとともに、国別に追加関税を上乗せ。中国には34%、EU(欧州)20%、日本24%などの高率関税が課される内容となっている。
各国は迅速に対抗措置を打ち出した。カナダは米国からの輸入品すべてに25%の関税を、中国も同様に34%の関税を課すと発表。EUも報復措置を準備中で、複数の戦線で広範囲にわたる貿易戦争の様相を呈している。
主要金融機関も経済見通しを下方修正。ゴールドマン・サックスは景気後退確率を10ポイント引き上げて45%、JPモルガンは60%まで引き上げ、市場の先行きに警戒感が広がっている。
関連:JPモルガン、トランプ関税を受け「リセッション(景気後退)」確率を60%に引き上げ
バイナンス・リサーチのレポートによれば、暗号資産(仮想通貨)市場の時価総額は、1月の最高値から25%以上下落し、約1兆ドルの価値が消失。ビットコイン(BTC)は19.1%下落、イーサリアム(ETH)は40%下落した。
より高リスク資産のミームコインやAI関連トークンは50%以上急落している。
直近では、BTCとETHのボラティリティは急上昇し、BTCの1カ月間の実現ボラティリティは70%を超え、ETHは100%を超える水準に達している。これは2020年3月に発生したコロナ・ショック以来の高水準だ。
そのため、短期的には進行中の貿易戦争の展開に応じて市場センチメントが揺れ動き、仮想通貨相場は不安定な相場が続く可能性が高い。ただし、マクロ経済情勢が安定化し、仮想通貨が長期的なヘッジとしての役割を再び確立できれば、再び成長軌道に戻る可能性もある。
機関投資家の動き
資産運用会社CoinSharesの週次レポートによれば、先週の上場投資商品(ETP)への資金流入は、総額2億4000万ドル(約360億円)の資金流出が記録された。
資金流出はビットコイン投資商品に集中しており、2億700万ドル(約311億円)が引き出された。ただし、年初からの流入額は依然として13億ドル(約1,950億円)のプラスを維持している。
イーサリアムからも3,770万ドル(約57億円)の大規模な流出があり、ソラナとスイもそれぞれ180万ドル(約2.7億円)と470万ドル(約7億円)の流出を記録した。
ブラックロックCEOの見解は
世界最大の資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は8日、米国が貿易相手国に積極的な関税を課し始めたことで、株式市場がさらに20%下落する可能性があると警告した。
フィンク氏はニューヨーク記者クラブでの講演で、「私が話したCEOのほとんどは、おそらく“米国はすでに景気後退期にある”と言うだろう」と述べた。
一方、フィンク氏は現在の状況について「長期的な視点でみれば、売りの機会というよりは買いの機会」だと語った。さらに、「この混乱が金融危機などのシステミックリスクを引き起こす可能性は低い」との見解を付け加えた。
当面の間はトランプ米大統領の関税政策の動向に左右されやすく、ボラティリティ(価格変動性)拡大が懸念される。市場心理が悪化していることを踏まえ、相場の先行きには慎重な見方も示している。
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