
Grokとのチャットから仮想通貨発行
Bankrは、xAIが開発したチャットボット「Grok」と連携し、ミームコインの作成・発行をサポートしてきました。2025年3月7日頃から、Bankrの@bankrbotを通じてGrokにコイン名を提案させ、その場でERC-20トークンをBaseチェーン上に展開する仕組みが稼働。
$DRB(DebtReliefBot)や$GRK、$PAWSなど、短期間で複数のAIミームコインが登場し10日までの3日間で時価総額は1700万ドルに上り、Grokには27万ドル(約4000万円)もの手数料収益が分配されました。
しかし、Grokが得た手数料が第三者に盗難される事件を受け、Bankr創設者(@0xDeployer)はGrokへの応答停止を決断。現在はGrokを介した新たなミームコイン発行は不可能となり、Grok自身も関連投稿の一部を削除し始めています。(しかし、X上のコマンドを介したトークン発行・売買自体は引き続き可能です)。本稿では、GrokとBankrの連携の背景、収益モデル、および騒動の経緯を整理します。
1. DRB誕生の経緯
3月7日、Grokはツイートやコメントで「@Grok」と書くだけでアドバイスを返す自動返信機能を有効化しました。多くのユーザーが仮想通貨の発行に関する質問を投げる中、トレーダー「@coin_domin」はGrokに「BankrBot用の新トークン名とティッカーを提案してほしい」とリクエスト。Grokが「DebtReliefBot($DRB)」と回答すると、Bankrの発行ボットClankerがBaseチェーンに実際のトークンをデプロイし、$DRBが誕生しました。

BankrがDRBトークンを発行した経緯 出典:X(@coin_domin)
- 提案者:@coin_domin
- AI(Grok)の回答:「DebtReliefBot($DRB)」
- 発行基盤:Bankr(Baseチェーン)
Baseチェーンは米コインベース社が支援するイーサリアムL2で、$DRBは初日から数百万ドル規模の出来高を記録しました。

直後に、Bankrの作成者(0xDeployer)もDRBを購入。
3. BankrとClanker:トークン発行のしくみ
Bankrは、X(旧Twitter)やFarcarsterに対応しており、@bankrbotにコマンドを送るだけで、トークンの売買や発行ができる「DeFAI(DeFi+AI)」プロジェクトです。
Xの画面上から可能な、Bankrの主な機能
- 買い/売り注文
- 指値注文の設定
- AIを介したトークンの即時発行(clanking) など

Banker作成者、@0xDeployerの投稿
内部では、ClankerというAIボットがBaseチェーンのERC-20トークン発行を自動化しています。たとえば以下のような流れでトークンが誕生します。
- ユーザーが@bankrbotに「発行したいトークン名とティッカー」を指示
- 必要な手数料として
500万$BNKR(約24万円相当)を保有*11日に無料に変更 - ClankerがBaseチェーン上にERC-20トークンを自動デプロイ
Bankrのネイティブトークン$BNKRは取引手数料収益の一部を保有者に分配する設計であり、Clankerもこの仕組みの一部として統合されています。
Grokの返答で生まれた代表的トークン
xAIのチャットボット「Grok」が言及するトークンはDRB以外にもあり、Baseで展開され、いずれも短期間で複数倍に高騰(多くはその後暴落)。11日にはGrok自身が関連投稿のいくつかを削除し始めています。
トークン名 | 発行元/展開元 | 特徴 |
---|---|---|
$DRB (DebtReliefBot) |
Bankr (Clanker) | Grokの提案で誕生。Baseチェーン最大規模のAIトークン |
$GRK (Grokster) |
Clanker | Grokが「公式マスコットコイン」と命名 |
$PAWS (Pawsome) |
Clanker | 犬モチーフのミームコイン。Grokがテーマを提案 |



4.Bankrの収益モデル:Grokの事例
Bankrで作成された新規トークンは、自動的に「Uniswap v3(Baseチェーン)」に上場され、取引時のスワップ手数料が1%に設定されます。そのうち40%が発行者に分配される仕組みがあり、何らかの形でデジタルウォレットが作成・紐づけられ、Grokの収益源となっています。
- 手数料率:1%(Uniswap v3)
- 発行者取り分:40%
- 実例:1時間あたり50万ドルの取引量→1%の手数料5,000ドル→2,000ドルがGrokへ

11日朝の時点、DRBだけで手数料収益は18万ドル(約2,700万円)以上。 出典:DUNE
11日昼の時点で、Grokのウォレットには複数のトークン合計で32万ドルの手数料収益が入ったと算出されています。
5. 手数料不正流出とBankrーGrokへの応答停止

Grokの手数料収益流出に関する0xDeployerによる投稿
Grok関連のトークンで多額の手数料収入が生じた結果、盗難や詐欺疑惑が浮上し、一部ではGrokのウォレット資金(4ETH)が不正に引き出されたという報告もありました。これを機に、Bankr創設者はGrokへのBankrの応答を取りやめ、
- Grok提案による新トークン発行を停止
- Grokはミームコインに言及していた投稿を削除
という状況へと進みました。その結果、かつて見られた「Grok提案→BankrBot発行」という流れは事実上ストップしています。
6. まとめ
$DRBを筆頭とするAI×トークン発行の実験的な取り組みは、Baseチェーンの活性化や投機マネーの流入を誘発しましたが、Grokの投稿削除とBankr側の連携停止によって勢いは減速するかもしれません。とはいえ、
- SNSでコイン名を指定し、即座にBaseチェーンにデプロイ
- トークン発行者がスワップ手数料の40%を得られる
- スワップだけでなく、多彩なDeFi機能を提供予定
といったBankrの機能は今後も利用可能であり、さらなる研究・開発対象となる可能性があります。なお、ミームコインやその発行基盤への投資を検討する場合、セキュリティ面や運営リスク、ボラティリティなどを十分に把握したうえで慎重に判断すべきです。
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