ブーマーが仮想通貨投資を開始
仮想通貨(暗号資産)への投資的関心は若年層を中心と考えられているのが一般認識であるが、一部のプラットフォームでは、ビットコイン市場の大半以上の出来高がブーマー世代(55〜73歳)による取引シェアが拡大しているようだ。
ブルームバーグの取材に応じた米サンフランシスコにあるビットコイン仲介業者「River Financial」は、ほとんどの資金インフロー(流入)がブーマー投資家で形成されつつあるという。3月以来の取引高は77%が同世代によるもので、月間出来高が80%ほど増加した。
これまで、特に定年しているブーマー(主流投資家)は金や債券など、株よりもリスクの低い投資商品を好んでおり、フィンテックなど先端技術に理解のあるミレニアル世代のほうがビットコインや新興株など相対的にリスクの高いものを選ぶ傾向が高い、という認識が一般的だった。
しかし、状況は変わりつつあるとRiver FinancialのCEOはブルームバーグの取材で答えた。ビットコインも主流投資商品となりつつあり、多くの投資家はヘッジファンドレジェンドのポール・チューダー・ジョーンズの後を追っているとして、ブーマー世代の見方に変化が生じてきているという。
ウォール街のヘッジファンドレジェンド ポール・チューダー・ジョーンズは今年5月、将来のインフレヘッジとして個人のポートフォリオの2%でビットコインに投資をしていることを表明。さらに運営するチューダーBVIグローバルファンドもビットコイン先物への投資を認めたことも判明している。
資金力の違い
River Financialのプラットフォームは大口投資家に特化したもので、いわゆる富裕層向けのサービスだ。そのため、小口投資家が集中的に利用するグローバル取引所のインフローと異なる一面もあり、グローバル規模でもブーマー世代が盛んにビットコインの投資・取引を行なっているとは一概には言えない。
しかし、下図で示されるように、米国ブーマー世代の平均資産率から、ミレニアル世代などの若年層に比べ、圧倒的な財力があり、こう言った世代が投資に向き始めている状況は注目したい動向だ。その世帯貯蓄の中央値が40代未満の世代より数十倍高く、ビットコインのような新型投資商品への投資資金も他より余裕がある強みがある。
参考:ブルームバーグ