「高まる需要」に応えてカストディサービス開始へ
プエルトリコに拠点を置くFV Bankが、2021年初頭からビットコインなど暗号資産(仮想通貨)のカストディサービスを開始する計画であることが分かった。
現在のところ、取り扱う資産としてビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)、XRP(リップル)、イオス(EOS)、その他多くのERC-20トークンが挙げられている。
同銀行の法人および個人ユーザーは、法定通貨またはデジタル資産を預けて口座を開設し、仮想通貨のカストディ(保管・管理)や、法定通貨との交換サービスを利用できるようになる。ユーザーには、仮想通貨の種類ごとに、個別のアドレスが提供されるという。
またカストディサービスには国際的な保険市場である、ロンドンのロイズから調達した2千万ドル(約20億円)相当の保険も付与される。すべての顧客がオンラインで、あるいはモバイルバンキングアプリケーションを使って仮想通貨資金にアクセス可能だ。
FV Bankの最高歳入責任者、Nitin Agarwal氏は、仮想通貨のカストディサービス開始を決定したのは、銀行の顧客から需要が増加しているためだったと説明した。「デジタル資産に投資して安全に保管しておくための、簡単で信頼性の高い方法」を期待する声が高まっているという。
また、Agarwal氏は、カストディサービスは国際展開する企業、機関投資家、個人ユーザーにとって魅力的なものになると見込まれており、サービスを開始することで今後数年間、銀行の成長を促進するだろうと続けた。
同行のCEO、Miles Paschini氏は、仮想通貨は投資商品の成長にとって重要なものになると強調している。
米通貨監督庁の新方針により実現
プエルトリコは米国内の自治領であり、独自の金融規制機関を保有しているが、銀行および保険に関するライセンスや規制等は、米国の法律に基づいている。このため、米通貨監督庁(OCC)が今年打ち出した新方針の恩恵を受けた形だ。
OCCは2020年7月に、銀行が仮想通貨カストディを行うことを可能にする解釈文書を発表している。現在のOCC長官代理は、大手仮想通貨取引所コインベースの最高法務責任者だったBrian Brooks氏で、就任以来先進的な政策を打ち出している。
9月には、特定のステーブルコインを発行する顧客に代わって、銀行が準備金を保有できることを明確にする文書を発表。また11月には米貯蓄貸付組合および国民貯蓄銀行(国法銀行)に対し、業界などに関わらず公平に金融サービスを提供するよう求める規制を提案した。
銀行からサービス提供を敬遠されることもある仮想通貨企業にとっても、事業がしやすくなることが期待される。
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また、OCCのCharles Calomiris主任エコノミストは、フィンテック企業が国法銀行(連邦法に準拠して設立された銀行)となることで、金融サービスへのアクセス向上とコスト削減が進むとする論文を発表している。
同論文では、ステーブルコインを発行する仮想通貨企業が国法銀行となるメリットについても分析、免許認定ができるようにすることが望ましいと結論づけた内容を発表している。
一方で、こうした考え方に同意しない「強力な既得権益者」も存在しており、既にCalomiris氏が論じたような新しい方向性に敵意を示していると説明。仮想通貨企業も含むフィンテックが、より広範に国のシステムの一部として浸透することが望ましいが、一筋縄ではいかないことを示唆している。
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