CoinPostで今最も読まれています

初心者でもわかるブロックチェーンとは?主な特徴と仕組みを図解

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)と密接に関係する「ブロックチェーン」の仕組みとメリットについて、初心者でもわかるように図解付きで解説しています。

目次
  1. ブロックチェーンとは何なのか
  2. ブロックチェーンの特徴
  3. ブロックチェーンの種類
  4. ブロックチェーンの活用例

ブロックチェーンとは何なのか

ブロックチェーンを一言で言うと「台帳」です。台帳とは、ビットコインで例えると、通貨が売買されたと記録される、土台となる帳簿です。

その帳簿に、世界中からいくつもの記録が記載されていくというイメージです。しかし、ブロックチェーンはただの台帳ではありません。ビットコインのブロックチェーンは、ビットコインが生まれた2009年1月3日から今現在までのビットコインの全ての取引を記録している台帳です。

img

しかし、これだけでは、この台帳が「ブロックチェーン」と言われる理由がわかりません。

なので、ブロックチェーンがなぜチェーンとよばれるのかを考えましょう。チェーンにおいて、リンクはそれぞれ前後のリンクと組まれています。これと同じように、ブロックチェーンにおいては、ブロック(取引の情報)の内容と特異的に結びつくハッシュ1という値を、次のブロックに入れることで、芋づる式にデータの信頼性を担保します。

過去のブロックを改ざんすると、そのブロックのハッシュが変わり、以降のブロックとつながらなくなるわけです。

取引記録が全てブロックの中に入り、それらがチェーンとなり繋がっているため、ブロックチェーンは今までの全ての取引が記録されていることになります。

さらに、ブロックチェーンを支える技術はその構造だけではありません。ほかにもP2Pネットワークによる冗長性、台帳の管理方法であるコンセンサスアルゴリズム、そしてブロックチェーンの自動化を行うためのスマートコントラクトによってブロックチェーン技術は成り立っています。

P2Pネットワーク

ビットコインのブロックチェーンは、中心となる一つのサーバーで管理しているわけではありません。 現在一般的な情報システムは、中心となるサーバーが情報を管理する、中央集権的な方法が取られています。

メリット
取引データの改ざん耐性(不変性)
記録の透明性
デメリット
取引データの消去や置換は困難
取引データの承認コスト(手数料)が高い
取引データの承認に時間がかかる

プライベート・ブロックチェーンとは

プライベート・ブロックチェーンとは、特権的な管理者が存在し、参加するためには管理者の許可が必要なブロックチェーンです。bitFlyer社が開発を行うmiyabiなどに採用されており、処理能力が高い一方で分散性に課題があります。

メリット
取引データの消去や置換が可能
取引データの承認コスト(手数料)が安い
取引データの承認が早い
デメリット
取引データの改ざんが容易
記録の非透明性

src=”https://imgs.coinpost-ext.com/uploads/2018/06/31562-02-3.png” referrerpolicy=”no-referrer” alt=”img” />

これとは対照的にブロックチェーンはP2P(Peer to Peer)ネットワークを用いてデータを管理しています。 P2Pネットワークとは中心となるサーバーが存在せず、対等の立場のネットワーク参加者がデータを保持または送受信し合うネットワークのことです。

img

これにより、ノード(ネットワーク参加者)で取引記録を共有し、誰もがブロックチェーンを閲覧することができ、お互いに監視する仕組みができているのです。 これがもう一つのブロックチェーンの特徴であり、ブロックチェーンが日本語で「分散」型台帳と言われる由縁です。

コンセンサスアルゴリズム

一言に取引記録を共有すると言っても、どのノードが信頼できるか、どの取引が実際起こったものなのか断言することはできません。どの情報を信頼するかの合意に達するまでの手法をコンセンサスアルゴリズムといいます。これにはいくつか種類があり、ビットコインなどで利用されるProof of Work、イーサリアムのProof of Stake、リップル(XRP)のXRP Ledger Consensus Protocolなどがあります。

スマートコントラクト

ブロックチェーンの利点の一つに、取引の自動化があります。それを行うシステムはスマートコントラクトとよばれ、ブロックチェーン上で条件を定義し、それが満たされたときに任意の動作を行わさせることができます。スマートコントラクトのプラットフォームとしてはEthereumが有名で、様々なサービスがEthereum上で動作します。

ブロックチェーンの特徴

ブロックチェーンはその仕組みによる特徴が複数あり、その特徴こそブロックチェーンを利用する意味とも言えます。P2Pネットワークと分散台帳、これらがどのようなメリットを生み出すのかを紹介します。

改ざんや不正が極めて困難

ブロックチェーンはP2Pネットワークを用いており、特定の人物や団体が管理しているわけではありません。 誰かが管理しなければ、不正や改ざんが横行する心配が出てきそうに感じるかもしれません。しかし、以下の2つの理由からこれを防ぐことができます。

  1. 改ざんされる中央サーバーがない。
  2. データが全て繋がっている。

改ざんされる中央サーバーがなく、多数のネットワーク参加者でデータを共有しているため、中央サーバーにあるデータを書き換えることはできません。 もし、一部のデータが破損したとしても、ほかの場所からデータを復元することが可能になるのです。

また、ブロックチェーンでは過去のすべてのデータは繋がっているため、データの一部分を改ざんした場合、ハッシュの帳尻を合わせるために過去の全てのデータも改ざんしないといけません。 これを行うには莫大なコンピュータの処理能力が必要になるため、現時点では限りなく不可能に近いです。

「価値」や「権利」も記載可能

今までは、価値や権利の転送、オンライン上への記録は、改ざんの恐れがあるため、第三者(企業や業者など)の介入なしに行うことは難しいものでしたが、ブロックチェーンではその恐れがないため、第三者を間に挟む必要がありません。 ビットコインのようにお金の「価値」を送る以外にも、不動産登記や、著作権や知的財産権などの権利書を、第三者を間に挟まずに送ることができます。

データベースとの違い

データベースとは、管理者によって実行される集権型台帳です。 管理者はデータの整理や統合、活用のために、データの読み取りや書き込み、更新、削除などが行えます。ブロックチェーンとデータベースの性質は非常に似ているものの、いくつかの点において決定的な違いがあります。

台帳の管理権限ブロックチェーンは、台帳の確認、共有、記録を行う特権的な管理者が決められておらず、アクセスできる参加者に制限はありません。データベースは、台帳の確認、共有、記録を行う特権的な管理者が決められており、アクセスできる参加者が制限されています。

つまり、ブロックチェーンは世界中の誰でも台帳にアクセスすることができ、参加者によってデータの不正処理を防止し、透明性が提供されています。

データ処理能力

ブロックチェーンは、世界中の参加者から合意を得てデータの記録が行われるため、処理能力に依然課題があります。つまり、ブロックチェーンの分散管理による改ざん耐性(セキュリティ)とデータ処理能力は、トレードオフの関係にあるということです。台帳へのアクセス速度などはデータベースが勝る場合もあります。

ブロックチェーンの種類

これまで説明をしてきた分散型台帳はパブリック・ブロックチェーンを指しますが、ブロックチェーンには、パブリック・ブロックチェーン、プライベート・ブロックチェーン、コンソーシアム・ブロックチェーンの3種類があります。

今回はそれぞれの特徴やメリット・デメリットについて解説します。

パブリック・ブロックチェーンとは

これまで説明した通り、パブリック・ブロックチェーンとは、特権的な管理者が存在せず、世界中の誰でも参加可能なブロックチェーンです。ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などに採用されており、分散性が高い一方で処理能力に課題があります。

メリット・取引データの改ざん耐性(不変性)・記録の透明性 デメリット・取引データの消去や置換は困難・取引データの承認コスト(手数料)が高い・取引データの承認に時間がかかる・プライバシー性にかける

プライベート・ブロックチェーンとは

プライベート・ブロックチェーンとは、特権的な管理者が存在し、参加するためには管理者の許可が必要なブロックチェーンです。bitFlyer社が開発を行うmiyabiなどに採用されており、処理能力が高い一方で分散性に課題があります。

メリット・取引データの消去や置換が可能・取引データの承認コスト(手数料)が安い・取引データの承認が早い・プライバシーの保護が可能 デメリット・取引データの改ざんが容易・記録の非透明性

コンソーシアム・ブロックチェーンとは

コンソーシアム・ブロックチェーンとは、複数の企業や組織によって管理され、パブリック・ブロックチェーンとプライベート・ブロックチェーンの中間に位置するブロックチェーンです。リップル(XRP)などに採用されており、処理能力が高い一方で分散性に課題があります。

パブリック・ブロックチェーンとプライベート・ブロックチェーンの中間に位置するブロックチェーンとしてハイブリット・ブロックチェーンとも言われています。 コンソーシアム・ブロックチェーンは、参加するコンソーシアムメンバーとルール形成によって、メリットとデメリットが大きく異なります。

ブロックチェーンの活用例

世界には銀行口座を持っていない人が多くいて、そのような人たちと銀行を介してのお金のやり取りをすることはできません。 しかし、携帯やパソコンがあればブロックチェーン技術により、仲介機関を経ずにお金の価値のやり取りをすることが可能になります。 img ブロックチェーンは取引記録だけでなく、様々な情報を記録することができるため、金融サービスの他にも様々な分野でブロックチェーンは活用されています。

不動産登記簿情報の追跡を容易に

パブリック・ブロックチェーンを使ったユースケースについて紹介します。

株式会社LIFULLは、ブロックチェーン技術を使った不動産登記の効率化に関する実証実験を行いました。 日本全体で空き家と言われる物件は800万戸近く存在しており、近い将来1,000万戸に到達すると言われています。そういった状況下でありながら、空き家の正確なカウントは難しく、不動産登記簿から所有者を追っても現所有者にたどり着けないという課題がありました。

そこで、ブロックチェーン上に不動産の権利移転とみなす当事者間契約の情報を記録することで、所有者の追跡と記録の確認を容易にすることを想定した実験が行われました。 img 従来、登記簿情報は行政管轄のデータベースで管理され、国の信用で成り立っているからこそ、同等の公証性を担保するためにパブリック・ブロックチェーンが最適であるという結論に至りました。また、登記の移転情報は短時間に膨大な取引数が発生する可能性も低いため、プライベート・ブロックチェーンを使う必要もありませんでした。

行政文書のデジタル化

プライベート・ブロックチェーンを使ったユースケースについて紹介します。

2021年1月20日から2月28日まで、飯塚市(福岡県)では株式会社Chaintopeが開発したブロックチェーンTapyrus(タピルス)を使って行政データのデジタル化を実現するための基盤となる「トラストシステム(認証局)」の構築および運用体制の実証実験を予定しています。

ユーザーは自身のスマートフォンを使って、いつでもどこでも自分自身の証明書をダウンロードでき、身分を証明したい企業・団体に提示することができます。 証明書を発行した行政は電子署名したデータと交付した日時(台帳に記録した日時)をブロックチェーン上に記録し、インターネット上に公開します。 証明書を提示された企業・団体は、インターネット上のトラストサービスを通じて、その証明書が不正に作成されたものでないことを確認します。 img

サプライチェーンの効率化

コンソーシアム・ブロックチェーンを使ったユースケースについて紹介します。

BMWグループではブロックチェーンを使ってサプライチェーンの透明性を推進しています。複雑なサプライチェーンにおいて、部品の出所や経路を追跡するには労力を要します。従来は各パートナーが別々にデータを管理してきたため、それぞれのシステム間で互いにコミュニケーションを取ることができませんでした。そのためBMWの購買部門やサプライヤーが手作業で透明性を確保する必要がありました。

BMWは、このような非効率性を排除することを目的にPartChainと呼ばれるプラットフォームの開発を発表しました。PartChainでは、ブロックチェーンを採用することでデータの改ざん耐性と検証可能性を高めることができます。 最終的にBMWでは、業界全体で重要なデータの匿名性を維持しながらサプライチェーン全体の追跡と効率化を目指しています。


1 データをアルゴリズムによって処理することで得られる、よりコンパクトなデータ。ハッシュから元データを復元することは不可能に近く、また二つのデータから同じハッシュを得ることも天文学的な確率。
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
03/28 木曜日
17:35
分散型AIの3大プロジェクトが団結、新トークン「ASI」に統合へ
SingularityNET、Fetch.ai、Ocean Protocolが人工超知能連合を結成し、各プロジェクトの暗号資産(仮想通貨)を新トークンASIに統合する計画を発表。単一の分散型AIネットワークとしてリニューアルを目指す。AGIの父と呼ばれるベン・ゲーツェル博士が主導する。
15:58
ビットコインのレイヤー2「BEVM」ローンチ
BEVMがメインネットをローンチ。暗号資産(仮想通貨)ビットコインをガス通貨として利用するEVM互換のレイヤー2ネットワーク。シリーズAで数十億円を調達し、分散型ビットコインクロスチェーンカストディサービスを実現。
15:00
NEARプロトコル、マルチチェーン再ステーキング「LiNEAR」始動へ 
NEARプロトコルがChain Signaturesを導入、暗号資産(仮想通貨)の相互運用性を強化。ビットコインやイーサリアムなど複数のブロックチェーンをサポートする。オムニチェーン再ステーキングLiNEARが始動。
14:15
「イーサリアムが有価証券でもETF化は可能」ブラックロックCEO
仮想通貨イーサリアムに関しては、米国においてその法的ステータスが定かではない。CFTCは商品(コモディティ)と見做している一方、SECはETHに関係するスイスのイーサリアム財団を調査していることが先週報じられた。
10:45
Parallel Studios、VanEckやソラナベンチャーズから53億円調達
パラレルはイーサリアムメインネットおよびBaseチェーン上で稼働するものだが、先日発表された、コロニーのローンチ先がソラナのブロックチェーンであることや、今回ソラナベンチャーズが出資したことから、今後クロスチェーンでの展開が考えられる。
10:15
イーサリアム「BLOB」にデジタルアートを記録する方法 Ethscriptionsが導入
イーサリアムのチェーン上にデジタルアートなどを記録するEthscriptionsは「BlobScriptions」を発表。ブロブにデータを記録する方法となる。
08:10
21Shares、欧州でTONの上場取引型金融商品を提供
今月初めテレグラムは仮想通貨TONを正式に統合し広告収入をチャンネル所有者と共有し、TONブロックチェーン上でToncoinを使って報酬を支払うようになった。この動きが投資家からの需要を押し上げたようだ。
07:30
ブラックロック「BUILD」、一週間で240億円超の資金流入を記録
ブロックチェーン上でトークン化された現実世界資産(RWA)の運用を提供するOndo Financeからの10億円以上新たな資金もありファンドの規模は拡大中。
06:50
スクエニやソラナ財団、Elixir Gamesに21億円出資
Elixir Gamesは、ゲームローンチャー「Elixir Games Launcher」で、さまざまなWeb3ゲームを遊べるPCアプリを提供。また、Web3ゲームがNFTなどのゲーム内資産のセールを代行するローンチパッドで、ミントなどの機能を提供する予定だ。
05:50
SECに有利か、裁判官がコインベースの棄却申し立て認めず
その一方、裁判官は、コインベースが顧客が仮想通貨ウォレットアプリを利用できるようにしたときに、無登録ブローカーとして運営していたというSECの主張を取り下げることを決定した。
03/27 水曜日
17:25
Slash Payment、独自トークンのエアドロップ対象条件を発表
暗号資産(仮想通貨)決済サービスSlash PaaymentのエコシステムトークンSVLについて、エアドロップの参加条件が明かされた。分散型決済エコシステムの利益が、ステーキング参加者に還元。スナップショットまでに割り当てを増やすことも可能だ。
17:00
ビットコインなど仮想通貨投資の始め方|初心者が注意すべきリスクとおすすめ戦略
ビットコインなど暗号資産(仮想通貨)投資の初心者向けスタートガイドを解説。基本戦略や知識、特に注意すべきリスクやセキュリティ対策を紹介し、「何歳から始められる?」のか、取引所ごとの年齢制限一覧も提供。
16:04
KDDIのNFT市場「αU market」、アニモカブランズとの連携開始
KDDIが展開する「αU market」で、『PHANTOM GALAXIES』の限定版NFT販売を開始。アニモカブランズが支援するブロックチェーンゲームとの連携施策の第一弾。暗号資産(仮想通貨)ウォレット「αU wallet」を接続して購入できる。
14:23
21Shares「半減期前のビットコインは、過去の歴史とは異なるダイナミクスを経験している」
スイスを拠点にする資産運用企業21Sharesは、仮想通貨ビットコインの半減期が市場に及ぼす影響について分析したレポートを発表。ビットコインは現在、過去3回の半減期とは、「異なる市場ダイナミクスを経験している」と指摘した。
12:23
ビットコイン7万ドル台で堅調推移、コインベース・プレミアムは強気から中立に
暗号資産(仮想通貨)市場では、半減期前のビットコインは過去最高値に迫る7万ドル台まで反発して堅調推移を辿る。米国の機関投資家動向を示すコインベース・プレミアムは強気から中立に転じた。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/03/28 15:00 ~ 18:00
東京 東京日本橋タワーB2階
2024/04/06 ~ 2024/04/09
香港 香港コンベンション・アンド・エキシビション・センター3FG
2024/04/09 14:00 ~ 16:00
その他 オンライン
2024/04/13 ~ 2024/04/14
東京 東京都港区
重要指標
一覧
新着指標
一覧