分散型金融（DiFi）は、投資家に様々なメリットを提供している。ブロックチェーンのパーミッションレスなアクセスや完全な透明性のおかげで、システムは新たな手段での取引、売買、交換を実現。この数ヶ月で、DeFiの人気は驚くほど高まり、複数のプロトコルにロックされた資産額は、総額400億ドルにものぼる。
小さな金融システムであったDeFiは、今や世界的なムーブメントに発展し、世界中の誰もが利用できるようになった。しかし、DeFiには限界がある。分散型システムであるため、中央集権的な金融資産と相互作用することができず、ストックオプション、コモディティ、インデックスなどは取扱われてない。
ブロックチェーンシステムのDeFiChainは、分散型資産を導入することでこの課題に取り組み、これを変えることを試みている。本記事では、DeFiの可能性を探るとともに、DeFiChainの発展がどのように業界全体に革新性をもたらし、DeFiの有用性を向上するかについて説明する。
DeFiの可能性はどのように変化したか？
分散型金融は、ビットコインの誕生に始まる。ビットコインの考案者は、中央集権的な仲介者に頼らずに利用できるデジタル通貨を意図していた。この中央集権化された銀行やガバナンスを否定することが、素晴らしく豊かで包括的なエコシステムを作り上げるきっかけとなった。
2022年7月現在、ビットコインを始めとする18,000以上の仮想通貨が存在する。時価総額2位のイーサリアムは1400億ドルを超え、仮想通貨市場全体の15.3%を占める。イーサリアムがここまで人気を集めた大きな理由の1つは、システム上で分散型アプリケーションを簡単に作成できることにある。
イーサリアムには、高いレベルのドキュメント、包括的なユニットテストフレームワーク、デバッガ、重要な開発者ツール、様々なチュートリアルやその他の学習教材などを豊富に提供する。つまり、分散型アプリケーションを作るために開発者に必要なものはすべて揃っている。
dAppの分野では近年、金融、医療、教育、さらには資産の開発などが着実に成長を遂げている。システムの汎用性や、ブロックチェーンを様々な市場に導入できるという利点から、エコシステムの有用性を拡大するための有効な手段としてdAppsが数多く作成されている。
DeFiは、世界を舞台に異なる業界をつなぐ、包括的なツールであると言える。しかし、分散型金融には多くの利点がある一方で、不十分な点もある。大きな課題の一つが、分散型システムであるためにプラットフォーム上で株式取引ができないことだ。
株式が中央集権的なものであるため、DeFiとの相性が良くない。これはこれまで解決不可能と思われていたが、DeFiChainブロックチェーンに分散型金融資産が登場したことで、今まさに事態は変わろうとしている。
DeFiChainは、DeFi最大の課題をどう解決するのだろうか。
DeFiChainの分散型金融資産は、DeFiの実用性をどう高めるのか？
DeFiの投資家は、仮想通貨やdAppsに資産を投入できるが、株式を利用することは難しい。しかし、DeFiChainによる分散型金融資産の開発により、この状況は大きく変わる。
分散型金融資産とは、dAssetやdTokenとも呼ばれる、DeFiChainブロックチェーン上のトークンで、現実世界の株式に対する価格エクスポージャー（所有ではない）をもたらす。TSLA、APPL、FBという銘柄の株式に対しては、dTSLA、dAPPL、dFBが存在し、それぞれが実際の株価を反映する。DeFiChainのヴォルトにBTC、DFI、USDT、USDC、DUSDを担保として預けることで、誰でも新しいdTokenをミントすることができる。
DeFiChainのユーザーは、実資産を反映した分散型金融資産を購入することができ、これにより分散型システム上で株式取引を行う方法を提供する。投資家はDeFiのエコシステムから離れることなく、シームレスにポートフォリオの多様化を図ることができる。
あらゆるユーザーがプラットフォーム上でトークンをミントすることができる上、金利は提供された担保の額に応じて決定される。このdAssetsが分散型取引所で取引されることで、ユーザーは本物の株式と同じようにdTokenを取引することができる仕組みだ。これまで地理的な制約などで米国株を購入できなかった人でも、世界のどこからでも好きな資産への価格エクスポージャーを得ることができる。
DeFiChainは、中央集権主義を理由にDeFiプラットフォームを妥協することなく、中央集権システムと分散型システムの間の不可能なギャップを埋めることを可能にした。DeFiChainによって、かつては不可能と思われていたことが現実のものとなっている。
パッシブインカムへの移行
パッシブインカムは、中央集権型システムではあまり実現されていない。株式取引には配当金など受動的な収入源となる要素もあるが、一般的には5％程度であり、実質的なリターンとしてははるかに少ないものである。
DeFiは、これをプルーフオブステークのシステムで解決する。一般的に、ユーザーはプルーフオブステークの仮想通貨を流動性プールに預けることができる。これらの流動性プールにより、プルーフオブステークコインはより迅速に取引を検証し、スケーラビリティの向上と迅速な取引処理を可能にする。
またPOSの仮想通貨の開発により、取引を完了するための「ガス代」が高いことで有名なイーサリアムに影響を及ぼしていた最大の問題を解決する。イーサリアムのネットワークの処理能力は、約1秒間に30件のトランザクションであるが、1秒間に10万件以上の取引の需要があるため、このブロックチェーンには大量の処理待ちが発生する。
取引を列の先頭に押し上げ、次のブロックに安全に記録させるには、イーサリアムはユーザーにガス代の支払いを要求する。そのため、すぐに取引を望むユーザーには必ず手数料が発生し、dApplication内の開発にはコストがかかる。POSの仮想通貨であれば、ユーザーは1秒間に多くの取引を処理することができる。
例えば、Solanaでは、毎秒5万件のトランザクションが可能になり、処理待ちの行列ができることがなくなり、ガス料金もほとんどかからない。これは、ユーザーの仮想通貨で満たされた大規模な流動性プールを使用し、取引を迅速に検証することによって達成される。
POSの仮想通貨を流動性プールに投入する見返りとして、ユーザーにはパッシブインカムという報酬が与えられる。時間の経過に伴い、投入した仮想通貨に利息がつき、これが報酬になる。この「イールドファーミング」と呼ばれる収益の最大化を試みるユーザーとともに、この「ステーキング」モデルが市場全体を作り上げた。
仮想通貨をステーキングすることで、年率10％～100％のリターンが期待でき、DeFiユーザーにとっては大きなチャンスだ。
DeFiChainはどのように進められるのか？
DeFiChainは、一般的なステーキングプロトコルの上に構築され、投資家にさらなる有用性を提供する。これまでの投資家は、株を購入後、これを売却して初めて利益を得ることができるが、DeFiChainはそうではない。dToken資産を購入すると、ユーザーはその資産を流動性のあるマイニングプールに投入する。
dTokenの価値が上がることで利益を得るだけでなく、これらの流動性プールに自分のdAssetを投入するだけでもパッシブインカムを得ることができる。この二重のインカム戦略は、DeFiシステムにおける利回りを驚異的にするものであり、これがdAssetに取り入れられている。
この統合により、DeFiChainはDeFiの分野に本質的な革新をもたらし、分散型エコシステムに全く新しい収益の手段を提供する。
最終的な考察
dAssetsの導入により、DeFiChainは、エコシステムの中でできることを根本的に変えるようなDeFiの新しい投資手段を実現した。さらに、このdTokenを流動性のあるマイニングプールに投入することで、さらなる報酬を得ることができることを考えると、このシステムは新たなパッシブインカムのあり方を示していると言えるだろう。
投資家にとってのDeFiChainのメリットは、新しいシステムを作り、そのシステムを可能な限りユーザーの利益のために推し進めることである。将来的には、DeFiChain Improvement Proposal（DFIP）により、実際の株価とdAsset価格をより近づける予定であり、ユーザーにとって非常に有利なシステムとなることが期待される。
まだ新しいブロックチェーンではあるが、革新的な機能、エキサイティングなアップデート、そして将来の先見性により、DeFiChainは業界を変えるブロックチェーンエコシステムとなるだろう。
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