*本レポートは、暗号資産取引所SBI VCトレードのクリプトアナリストである仮想NISHI(@Nishi8maru)氏が、CoinPostに寄稿した記事です。
ビットコインマーケットレポート(2月9日~2月15日)
ビットコインは、23年1月にはショート(売り)ポジションの買戻しを中心に150%近くの上昇を見せたものの、2月以降は2.3万ドル前後のレンジ相場に移行、上昇が一服し調整局面となっている。執筆時点での価格は2.29万ドル。
足もと
ファンディングレート(資金調達率)や、現物価格と無期限先物価格の差であるBasisを見ても、過熱感がなくフラットな状態となっている。
先物・デリバティブ市場
CME(米シカゴ・マーカンタイル取引所)では、未決済建玉(OI)が1月末頃より下落傾向に転じている。
1月は総じて価格上昇時に一時的にOIが減少(売りポジションの買戻しが発生)していたものの、1月30日以降は価格下落と同時にOIが減少する傾向となっており、価格とOIの動きに変化が生じている。
これは1月の上昇がショートカバー(売りポジションの買戻し)による上昇が中心だったことに対して、現在はポジション全体に占めるロングの割合が徐々に高まっており、ショートカバーによる急激な上昇は起こりにくくなっていると考えられる。
オンチェーン環境
2月以降は、トランザクション量が増えると価格が下落傾向となることが多くなっている。CMEのOI減少と合わせて見ると、資金が暗号資産市場から若干流出している可能性が考えられる。
暗号資産市場全体に占めるビットコインのドミナンス(占有率)は、1月に入り4ポイント上昇している。
外部環境
米株価指数との相関はFTXショックのあった昨年11月上旬から低下していたが、今年に入り、半導体指数(SOX)を中心に再び相関が高くなってきている(SOX+0.81、S&P500+0.63、Nasdaq100+0.63)。
ただし、逆イールド(米国2年債利回りが10年債利回りを上回る状態)は拡大しており (下画像青枠)、暗号資産市場全体に対する逆風は依然として強い状況にあるといえる。
オプション市場
2月に入り価格がやや下落しているにもかかわらず、プットとコールの比率であるPCRレシオは上昇しており(下画像赤枠内黄色線)、現物渡しで取引される市場では取引の弱気が見て取れる。
現物を多く持つマイナー(ビットコイン採掘業者)が若干弱気となっている可能性がある。
ハッシュレート
次回難易度予想は▲2.21%の易化予想であるが、ハッシュレート(採掘速度)は以然として高水準である。
直近のクリプト指標
2月14日 米消費者物価指数(CPI):23年1月結果
2月15日 Cardano(ADA)SECPハードフォーク
世界に存在しなかった、クリプト経済指標指標カレンダー。
— 仮想NISHI (@Nishi8maru) March 26, 2020
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総括
FTXトレーディンググループの経営破綻に端を発する連鎖倒産が一服し、主に1月はショートカバー(売りポジションの買戻し)による価格上昇が見られていたものの、2月以降はポジションバランスが調整され、全体に占める売りポジションの割合が低下している。
加えて、暗号資産市場からの若干の資金流出がみられたことから、市場はやや弱気となっており、全体的に調整局面に入っていると考える。