CoinPostで今最も読まれています

大規模ロスカット伴いビットコイン急落、仮想通貨事業手がけるシルバーゲート銀行持株会社の株価暴落

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

マクロ経済と金融市場

3日の米NY株式市場では、ダウは前日比341.73ドル(1.05%)高、ナスダックは83.49ドル(0.73%)高で取引を終えた。

今年度業績について、市場予想を上回る強気の見通しを示した情報サービス大手セールスフォースがダウ平均株価を押し上げた一方、シルバーゲート銀行の親会社で米銀行持ち株会社シルバーゲート・キャピタルは苦境に立たされている。同社の株価は前日比58%安と暴落した。

関連:米シルバーゲート株価暴落 米コインベースらとの取引停止を受け

「財務諸表等における会計年度の年次報告書(Form 10-K)を期限内に提出できない」とする発表のほか、米大手取引所コインベースやステーブルコイン発行企業パクソス、クリプト・ドット・コムなどといった主要取引先の暗号資産関連企業が、送金取引および資金決済の提携を相次いで打ち切ったことなどが嫌気された。

米ニューヨーク証券取引所に株式上場するシルバーゲート銀行は、昨年11月の大手暗号資産(仮想通貨)取引所FTX破綻の影響を受け、顧客預金の引き出しが加速すると財務状況が急悪化しており、破綻リスクが懸念される。

米シルバーゲート銀行は、機関投資家向けの担保付き融資サービスやカストディ業務のほか、ビットコインを担保に米ドルを調達できるサービスとして自社決済ネットワーク「Silvergate Exchange Network(SEN)」を提供していた。20年10月には、SENを介した送金額が1000億ドル(約10.6兆円)まで膨らんでいたとみられる。

この点についてCinneamhain VenturesのパートナーであるAdam Cochran氏は、「どれだけ多くのマーケットメイカーがシルバーゲートおよびSENを通じて流動性を提供していたか、仮想通貨取引所が銀行との取引を行っているか、市場参加者は十分理解していない」などと警鐘を鳴らした。

関連:仮想通貨投資家にもオススメの株式投資、日米の代表的な仮想通貨銘柄「10選」

仮想通貨市況

暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比4.91%安の22,347ドルに。

BTC/USD日足

日本時間10時過ぎに1,500ドルほど急落した。結果的にレジスタンスライン24,000ドルを抜けられず下落しており、21,500ドルのサポートラインをブレイクした場合は一段安も想定される。

デリバティブ(先物)市場にて、ビットコイン7,200万ドルを含む2億ドル(270億円)相当のロングポジションがロスカット(強制清算)されたことも下落を加速させた。直近では最大規模となる。

Total Liquidations(coinglass)

大口投資家の投げ売りが逆指値売りやロスカットの連鎖を引き起こした可能性も指摘される。

昨今では、雇用統計やCPI(米消費者物価指数)など複数のインフレ指数が市場予想を上振れていることで、世界的なインフレ長期化への懸念が強まり株価が下落している。3月米連邦公開市場委員会(FOMC)で50ベーシスポイントへの利上げシナリオが強まるとともにドル指数や米国債利回りが上昇、金融相場全体はリスクオフ傾向にあった。

2014年に経営破綻した暗号資産取引所Mt.Goxの巨額弁済による売り圧力懸念もボラティリティ(価格変動性)上昇要因となるとの指摘もある。一部債権者は、早ければ今月中にも弁済を受けられる可能性があると予想される。

関連:マウントゴックス、まもなくビットコインなど弁済開始か

アルトコイン相場

ビットコイン(BTC)急落に伴い、イーサリアム(ETH)などの主要アルトも全面安となった。

イーサリアムについては、“Shanghai”(上海)アップグレード実装時期が予定より数週間ズレ込む可能性があることがわかった。イーサリアムのコア開発者らは2日、開発者会議でアップグレードが「4月第1週〜第2週」に行われる可能性が高いことを確認した。

2月8日時点で公開テストネット“Zhejiang”は成功を収めており、今月14日頃に最終テスト段階のドレス・リハーサルである「テストネット“Goerli”」を実装予定。その2週間後を目処にハードフォークを実施するとのコンセンサスを得ている。

上海アップグレードでは、数年を経てバリデーターの出金機能のロックアップ分が引き出し可能となるため、市場からの関心も高い。流通する全ETHの内、約14.5%の290億ドル(4兆円)相当がステーキングされている。

ステーキングしている最大のエンティティは、仲介ステーキングサービスLidoのほか、コインベースやバイナンスなどの仮想通貨取引所が上位を占めるが、イーサリアムのメカニズムで出勤制限がかかることから、コインベースのレポートなどでは「売り圧力は限定的で、市場に吸収される程度にとどまる」との試算もあり、詳細は以下の記事でまとめている。

詳細:ETH「上海」アップグレードとは? ステーキング解除とETH売り圧に関する各社見解まとめ

過去に掲載したマーケットレポート一覧はこちら

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
09/11 水曜日
16:33
バイナンス、4種類の通貨ペアを9月13日に取扱い中止へ
海外の暗号資産(仮想通貨取引所バイナンスは2024年9月13日から4種類の現物通貨ペアの取扱いを中止。流動性向上を目的とした戦略の一環で、他の通貨ペアは引き続き利用可能。
16:20
「Radar Hackathon」がスタートソラナ財団とSuperteamが開発支援を強化|週間ソラナニュース
*本レポートは、Soylana Japan(@SoylanaJapan)プロジェクトが、CoinPostに寄稿した記事です。 Soylana Japanは、Solanaの情報を…
14:30
米マイニング企業Core Scientific、AIデータセンター事業拡大で評価額4兆円を目指す
米大手マイニング企業コア・サイエンティフィックのアダム・サリバン最高経営責任者は、AIデータセンターサービスの大規模な拡大を通して、今後数年で同社の評価額が4兆円規模に引き上げられる可能性があると述べた。
13:15
コインベースのBase「オンチェーンサマー」が急成長、7億円超の収益
コインベース開発のL2「Base」で開催された「オンチェーンサマー」が大成功。参加者数が前年の8倍に増加し、7億円以上の収益を生み出した。
12:39
米大統領選テレビ討論会やCPI発表控え、ビットコイン相場は様子見基調
暗号資産(仮想通貨)ビットコイン相場は、トランプとハリスが経済政策などを巡り論戦する米大統領選討論会を本日、明日には重要指標のCPI発表を控え様子見基調。ポジション調整の動きも散見される。
11:05
「ソニューム」を活用したサービス開発を支援へ、博報堂キースリーがスターテイル・ラボと連携
博報堂キースリーは、Sony Block Solutions Labs Pte. Ltd.が開発するパブリックL2ブロックチェーン「Soneium(ソニューム)」のテストネット開始に伴い、新たな取り組みを発表した。
09:55
個人マイナーがビットコイン採掘で2600万円獲得 困難な環境下での快挙
ビットコインの個人マイナーが単独でブロック生成に成功し、2,600万円相当の報酬を獲得。厳しい競争下での稀な快挙を解説。
08:30
ブロックチェーン分析のNansen、ステーキング企業「StakeWithUs」を買収
ブロックチェーン分析企業Nansenは、オンチェーンデータ分析以外の分野で新たなサービスを提供し、収益化を強化するために、トークンのステーキングサービス「StakeWithUs」を買収した。
07:20
バイナンス、新機能でトークンアンロック情報を可視化
大手仮想通貨取引所バイナンスは、トレーダーが重視する機能として取引銘柄のトークン解除(アンロック)予定を可視化する機能を追加した。
06:40
3つの新しい仮想通貨関連ETF、米ステート・ストリートとギャラクシー・デジタルが共同で立ち上げ
米ボストンに拠点を置く金融大手ステートストリート傘下の投資顧問事業、ステートストリート・グローバル・アドバイザーズとWeb3投資企業ギャラクシー・アセット・マネジメントが、今後のWeb3成長を見越して3つの新たな仮想通貨関連ETFを立ち上げた。
06:15
仮想通貨決済簡素化へ、米PaypalとVenmoがイーサリアムのENSを導入 
米決済大手米Paypal(ペイパル)と傘下のVenmo(ヴェンモ)はイーサリアムのネームサービスENSを決済サービスに導入した。
09/10 火曜日
17:50
メタプラネット社、ビットコイン保有量を398 BTCに拡大
東証上場のメタプラネット社がビットコインを3億円追加購入し、保有量が398.832BTCに。ホテル事業からの転換と今後の成長戦略、業界動向を解説。
17:31
ビットコインETFは40億円の資金純流入を記録
米国市場でビットコイン現物ETFへの資金流入が2870万ドルに達し、フィデリティとビットワイズが資金を集めている。機関投資家の動きとETF市場の最新動向を解説。
16:20
トランプ前大統領とイーロン・マスク氏の動向 ドージ投資家に波紋
トランプ前大統領とイーロン・マスク氏の最近の発言が暗号資産市場に注目を集め、ドージコイン価格に影響を与えました。過去の訴訟や市場反応について詳しく解説します。
15:00
「誰もがビットコインに投資すべき」米著名金融アドバイザーの意見
米著名金融アドバイザーのスージー・オーマン氏は、CNBCのインタビューで、ビットコインを保有することの重要性を強調。次世代の投資家が価格上昇に寄与するとの考えを明らかにした。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア