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メイカーダオ、ステーブルコインDAIの準備金としてUSDCを再び重視か

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

USDCを優先か

DeFi(分散型金融)大手Makerプロトコルを管理する「MakerDAO」は、ステーブルコイン「ダイ(DAI)」の準備金として今後もUSDCoin(USDC)を優先する方針を固めつつあるようだ。

3月10日頃に発生した、米シリコンバレー銀行(SVB)破綻に起因するUSDCの取り付け騒ぎを受けて、MakerDAOでは、DAIの準備金の約5割を占めるUSDCのシェアを削減するための処置を定めた緊急提案が11日に可決。USDC担保DAIの1日の上限を、9億5,000万DAIから2億5,000万DAIに引き下げた経緯がある。

しかし、20日に開始されたコミュニティ投票で、「オプション2:USDCをプライマリリザーブとして維持する」が79%の支持を得ている(24日時点)。

出典:MakerDAO

これが可決した場合、3月24日の執行投票を実施。その後にUSDC担保DAIの1日の上限が4億DAIに引き上げられ、USDCからDAIのスワップ手数料も以前の条件(0%)に戻ることとなる。

Makerプロトコルで発行されるステーブルコイン「ダイ(DAI)」は、米ドルの価値と連動し、1DAI≒1ドルを維持するよう設計されている。DAIの時価総額は54億ドル(約7,000億円)に上り、ステーブルコイン分野で時価総額4位を誇る(執筆時点)。

DAIはスマートコントラクトにロックされた仮想通貨を担保に発行可能だが、担保資産の半数が「USDCoin(USDC)」で構成されている。USDCは米サークル社が発行する米ドルの価値に連動するステーブルコイン。

11日にサークルがSVB銀行に約4,450億円(33億ドル)が拘束されたことを公表すると、USDCは1ドルの基準値から10%以上乖離(ディペッグ)した。この際に、DAIの実勢価格も一時0.9ドルを下回っていた。

関連:米サークル、シリコンバレー銀行で33億ドルのUSDC準備金の送金が保留状態に

オプション2

一方で、投票の別の選択肢である「オプション2:ステーブルコインリザーブを多様化する」は、20.59%しか支持を得られていない。20日に提出された提案書によると、オプション2は、米仮想通貨取引所Gemini(Gemini Trust Company LLC)が発行するジェミニ・ダラー(GUSD)、米Paxos National Trustが発行するパクソス(USDP)の利点を上げ、DAI準備金としてシェアを増加する内容だった。

特にUSDPは、準備金が保険付き銀行預金(FDICの上限を回避するため分散している)で管理されている点で有力視された。

しかし、GUSDとUSDPの発行量がどちらも10億ドルを下回っており、DAIの準備金として比重を上げると「短期的な出金・償還イベントが発生した場合に、発行体の運用に支障をきたすリスクがある」と懸念された。

提案書では、USDCと比べてGUSDとUSDPは潜在的なカウンターパーティーリスクは低く、回復力も高いと認めている。一方で、USDCの流動性が遥かに大きいこと、MakerDAOの米国債投資戦略が「USDC」に最適化されているなどの運用面の利点を指摘。「USDCのリスクは先週から大幅に低下しており、現時点ではさらなる支払能力の懸念やディペグが予想されることはない」と結論付けている。

関連:メイカーダオ(MKR)米国債投資で収益改善、追加投資も検討へ

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