金融システムの相互運用実現へ
ブロックチェーン関連企業Digital Asset社は9日、新たなブロックチェーンネットワーク「Canton Network」のローンチ計画を発表した。
Canton Network自体は9日にローンチ済み。このネットワークはプライバシー機能を持ち、金融システムの相互運用を実現するために開発された。企業や機関投資家の資産に利用できるように設計されており、効率性を高めたり、イノベーションを促進したりすることがローンチの目的である。
We're excited for @CantonNetwork, the industry’s first privacy-enabled interoperable blockchain network designed for institutional assets and built to unlock the potential of synchronized financial markets. #PowerfulConnections https://t.co/rlfKxyRLLT pic.twitter.com/Ha48jGUquo
— Digital Asset (@digitalassetcom) May 9, 2023
現時点でこのプロジェクトには以下のような企業が参加することが決まっているという。今回の発表で紹介されている参加企業は、以下を含めた30社。
- マイクロソフト
- SBIデジタルアセットホールディングス
- ゴールドマン・サックス
- Paxos
- Cboe Global Markets
- Moody’s
- BNP Paribas
- S&P Global
Canton Networkは、分散型のインフラを提供し、「ネットワークのネットワーク」として機能。以前は独立していた金融システムの相互運用を実現することが目的である。
金融機関はネットワークに参加することで、資産やデータ、現金などをシステム間で同期することが可能。ユースケースとしては、資産の記録や決済、担保を利用した金融取引などを想定している。Canton Networkを利用することで効率性を高め、リスク管理を行いながら、新しい金融商品の提供機会などを探っていく。
今回の発表で、SBIデジタルアセットホールディングスのFernando Vazquez Cao CEOは以下のようにコメントした。
分散型台帳技術を利用して、信頼された金融機関でネットワークを相互運用することを我々は楽しみにしている。
効率性を高めたり、新たな可能性を生み出したりすることができるだろう。
なお、マイクロソフトは、担当者のコメントから、Canton Networkのサポーティングパートナーとして参加する模様だ。
ネットワークの特徴
Canton Networkは、スマートコントラクト言語「Daml」で構築されたアプリケーションを相互運用できるようにするネットワーク。高い規制が設けられた領域で利用できるように、適切なガバナンスやプライバシー設計、管理のもとで、独立しているシステムの相互運用を実現する。
今回の発表では、スマートコントラクト機能を持つ既存のブロックチェーンについて、金融機関などの間で採用が進まない理由を指摘。主に以下の3つの重大な課題があるとし、Canton Networkはそれを克服できると主張している。
- プライバシー機能とデータ管理機能の不足
- 管理と相互運用が両立できない
- 拡張性が低い
Digital Asset社の公式ウェブサイトによると、例えばゴールドマン・サックスはすでに、トークン化のインフラにDamlを利用。Canton Networkは、こういったインフラの相互運用をこれから実現していく。ネットワーク参加企業は、7月からテストを開始する計画だ。
スマートコントラクトとは
あらかじめプログラムされた条件に応じて契約を執行する仕組みを指す。各種契約を締結する際には、仲介者や契約書作成などの事務作業が必要になる場合が多いため、自動的に契約を執行できるようにすることで、効率性向上やコスト削減などの効果が期待されている。
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