マイニングマシン稼働停止で収益減少
米ナスダック上場の暗号資産(仮想通貨)マイニング企業Hut8は11日、2023年第1四半期(1~3月)の決算報告を発表。一部のマイニングマシンの稼働停止を余儀なくされたことなどから、前年同期比で収益が減少した。
収益は約19億円(1,900万カナダドル)で、2022年の同期と比較して約34億円(3,430万カナダドル)減少している。今期には475ビットコイン(BTC)がマイニングされ、約14億円(1,450万カナダドル)の収益を生み出した。これも、前年同期の942ビットコインから低下している。
収益低下の背景には、2022年1Qと比べてビットコインの日次平均終値が41%下落したこと、および、アルバータ州ドラムヘラーの施設で電気系統のトラブルが発生し、15%の稼働率にとどまっていることがある。
同社は現在、この施設の修復作業を行っており、今後10~12週間で完了する予定だ。
さらに、昨年11月中旬にオンタリオ州ノースベイの施設では、電力を供給する企業Validusとの問で契約不履行をめぐって訴訟に発展しており、電力供給が停止している。
この問題で、当該施設では約8,000台のマシンを停止。そのうち、まだ約1,000台しかオンラインに戻すことができていない状況だ。また、電気料金の値上がりやビットコインの平均採掘難易度上昇にも影響を受けている。
Hut8のジェイミー・レバートンCEOは、収益源の多様化にも取り組むとして、次のように説明した。
ビットコイン半減期に向けて、当社は引き続きビットコインの在庫を戦略的に増やしていく。同時に、成長する人工知能市場でのビジネスチャンスの探索を含め、HPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)ビジネスの成長に注力していく。
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半減期とは
ビットコインなど仮想通貨のマイニング報酬(=新規発行量)が半分に減るタイミングを指す。仮想通貨にはインフレを防ぐために「発行上限」が定められているものが多く、一定周期で訪れる半減期の度に、新規発行量が半分に減る仕組みになっている。供給量が減ることで希少価値が大幅に上昇し、価格が高騰しやすくなるため、仮想通貨特有の注目イベントでもある。
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USBTCと合併 事業多角化へ
Hut8は、2月に米国の仮想通貨マイニング・HPCインフラ企業「dba US Bitcoin Corp(USBTC)」と合併することで合意に達したと発表。現在、統合を進めているところだ。
合併後の会社名は「Hut8 Corp」となり、米国に拠点を置く。新たなHut8は、USBTCの保有する、拡張可能なマイニング施設、大規模なコンピュータ・ホスティング事業、データセンターなどのインフラ管理運用などにより、収益源を多様化できる見込みである。
合併取引は、規制当局や株主などの承認、およびその他の手続きを経てから完了することになる。Hut8は、2023年第2四半期(4~6月)後半あるいは、第3四半期(7~9月)前半には、合併が完了すると予想しているところだ。
Hut8は、USBTCとの事業統合により、自社ビットコイン採掘事業で地理的に多様性が生じ、様々な電力源を使えるようになるとも述べた。
カナダのニューブランズウィック州や米国テキサス州で、再生可能エネルギーやゼロエミッション(炭素排出ゼロ)エネルギーなどを利用していく計画だ。
また、マイニングマシンとエネルギー価格における問題をリアルタイムで監視する独自の専用ソフトウェアを使用して、マイニングの効率性を向上させるとも続けた。