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テザー社のUSDT、ラテンアメリカ最大の農産品市場で決済利用可能に

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

アルゼンチン首都の中央市場で決済導入

暗号資産(仮想通貨)の米ドルステーブルコイン「USDT」などを発行するテザー社は18日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスの中央市場で、USDTを商品購入などに使えるようになったと発表した。

現地で仮想通貨決済サービスなどを提供する企業KriptonMarketとのパートナーシップにより実現したものである。

中央市場の卸売り業者や小売り業者は、USDTによる決済や、従業員への給料をUSDTで支払うことなどが可能になった。

ブエノスアイレスの中央市場は、ラテンアメリカでも最大の農産品市場の一つ。多くの卸売店や小売店、レストランが存在しており2,000人以上の従業員が働いている。

また、600以上の農場などと協力し、果物や野菜などの農産物が毎月10万6,000トン程度販売されている。

ステーブルコインとは

価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。

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アルゼンチンのインフレーションに対応

テザー社は、今回のUSDT導入はデジタル決済を促進して、アルゼンチンのインフレーションへの対応策とすることや、仲介コストを削減することを目的としていると説明した。

アルゼンチンのインフレ率はここ数カ月間で加速しており、104%に達した。企業や消費者は、貯蓄の価値保存や商品価格値上がりなどで困難を経験している状況だ。

テザー社の、パオロ・アルドイノ最高技術責任者(CTO)は、次のように話している。

法定通貨ペソの価値下落が続いているため、アルゼンチン国民は経済的自由を手にするための解決策を必要としている。

ブロックチェーンが提供する最先端のテクノロジーによって国全体の福祉向上に貢献できれば、金融アクセスが不平等である状況を終わらせるために一歩前進できるだろう。

USDT決済提供に加えて、テザー社とKriptonMarketは、ブロックチェーンやビジネスに関する教育コースをブエノスアイレス市全域で開始する予定だ。

このプログラムは、アルゼンチンにおけるすべての規制に準拠しているとも強調している。

外貨流出を警戒する政府

アルゼンチンでは、経済危機やハイパーインフレのために、仮想通貨がインフレから資産を守る手段として注目を集めてきた。Americas Market Intelligenceが2022年4月に実施した調査によると、アルゼンチンの消費者の51%近くが、仮想通貨を購入したことがあったとされる。

一方で、アルゼンチン政府は、国民が米ドル建てでビットコイン(BTC)などの仮想通貨を購入することにより、国外へ外貨が流出することを懸念してきた。

アルゼンチン中銀は2022年5月、同国の銀行が、仮想通貨などの取引を実施したり、顧客に提供することはできないと通知している。また今月4日には、決済サービスプロバイダーが、仮想通貨の「自動購入」機能などをユーザーに提供してはいけないとも布告した。

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