はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

イギリス内での仮想通貨の資金洗浄対策の規制整備が課題|国際政府間機関FATFが報告書で指摘

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

FATFからの要請
12月7日に公開された金融活動作業部会(FATF)による報告書にて、イギリスの仮想通貨分野において資金洗浄、テロ資金供与における規制が充分でないことが指摘された。
イギリスの方向性
イギリスの財務省や金融行動監督機構(FCA)の要人が過去に、仮想通貨分野の規制の重要性を説くとともに、イノベーションの促進も重要視していることから、今回の規制強化も市場の成熟に必要な一手であると考えられる。

FATFからの要請

資金洗浄や、テロ資金供与を防ぐことを目的として1989年に設立された金融活動作業部会(Financial Action Task Force、FATF)は、12月7日にイギリスの仮想通貨業界に関する報告書を公開した。

その報告書で、FATFはイギリスの仮想通貨業界において、現時点で資金洗浄、テロ資金供与に対する対策が充分に講じられていないと言及され、イギリスにおけるさらなる規制強化の必要性が説かれた。

つまり、FATFは、イギリスの仮想通貨取引所において資金洗浄やテロ資金供与が行われたと断言する証拠がないと言及した一方で、新しいリスクは確実に存在しており、そのリスクに注意を払っていくことが必要であると強調したのだ。

報告書の中では、イギリスに対して、その新しい仮想通貨分野のリスクへの理解を深めるとともに、適切な措置を講じていくことを要請している。

結果的に、イギリスは、アンチ資金洗浄規制を仮想通貨事業者にも適応させるEUの第5資金洗浄指令(Fifth Anti-Money Laundering Directive)を施行し、仮想通貨と法定通貨の取引を始め、ウォレット提供会社とも連携して仮想通貨業界の規制強化を計画していると記述された。

過去10月中旬にもFATFは、「仮想資産の犯罪やテロへの使用を防ぐために、全ての国々で共通したアクションを早急に取る必要がある」と主張し、2019年6月頃を目処に仮想通貨取引所や仮想通貨ウォレット、ICOを実施する企業などを対象にした世界共通の規制枠組みを公開すると記述した。

イギリスの仮想通貨規制の方向性

今回のニュースを見ると、イギリスが厳格な仮想通貨自体の規制に向かって取り組んでいるように感じられるかも知れないが、それは違う。

同国は、仮想通貨分野の資金洗浄、テロ資金供与という特定の分野を注視しているだけであって仮想通貨分野全体の規制に乗り出すわけではないのだ。

実際、イギリス財務省の金融サービス部門服ディレクターを務めるGillian Dorner氏も以前、消費者保護、市場の安定、金融犯罪に焦点を当て、仮想通貨分野にメスを入れる意向を示した一方で、イノベーションの促進は保つことを前提としていることを示唆した。

さらに、日本で言えば金融庁に当たるイギリスの金融行動監督機構(FCA)の代表者を務めるAndrew Bailey氏も同様に、仮想通貨のイノベーションを促進していくことを前提として、潜在リスクを最小限に抑えたいと語っている。

このように、イギリスの金融分野で最も影響力がある複数の機関の役員が仮想通貨の規制を進めると同時に、同分野におけるイノベーションは促進していきたいと考えていることから、今回の規制強化は、あくまでも市場の成熟に向けて必要な規制を整備していくことが念頭に置かれていると言えるだろう。

そして、今回のように、FATFという国際的な機関などが仮想通貨分野における各国の規制や監視体制に干渉してくることが増えていくのではないかと予想される。その理由として、国際通貨基金(IMF)のGerry Rice氏、SEC共同ディレクターのSteven Peikin氏を始めとする本当に多くの人々が世界共通の仮想通貨規制の必要性を説いていることが挙げられる。

今月11月末から12月初頭にかけてブエノスアイレスで行われたG20会議でも引き続き共通の仮想通貨規制枠組みについて議論され、2020年までに、仮想通貨分野のアンチ資金洗浄、税制などを組み込んだ世界共通の枠組みが整備すると合意された。

このように、今回仮想通貨分野の規制の不充実を指摘されたイギリスであるが、各国が所属するEUなどの地域統合体、または、国境を跨いで機能している機関などの規制枠組みの明確化により、既存システムの不完全性を指摘される国が増えていくのではないかと考えられている。

▶️本日の速報をチェック

CoinPostの関連記事

来年6月を目処に仮想通貨規制のルールを発表|FATF総会
マネーロンダリングを監視する金融活動作業部会(FATF)が2019年6月に、仮想通貨規制のルールを発表し、世界各国にその法的執行を求める意向を明らかにした。 世界における規制基準が見込まれ、市場の健全化にも繋がるとされる。
G20、国際的なデジタル課税制度2020年までに設立|仮想通貨のマネーロンダリングと脱税防止へ
12月初頭、アルゼンチンでG20会議が開催され、仮想通貨の資金洗浄と租税回避を目的とした仮想通貨の利用を取り締まる国際案の設立を20年までに目指す事が発表された。
CoinPostのLINE@

スマートフォンへの「プッシュ通知」で、相場に影響を及ぼす重要ニュースをいち早く知らせてくれる「LINE@」の登録はこちら。大好評につき、登録者8,000名突破。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/20 土曜日
13:22
イオレがビットコイン追加取得、累計保有量101BTC超に
日本上場企業イオレが約1億6640万円分のビットコインを追加取得。ネオクリプトバンク構想の初期トレジャリー運用の一環として実施され、2026年3月期中に120億円から160億円規模の取得を目指している。
11:55
ブラックロックのビットコイン現物ETF、年初来リターンはマイナスも流入額6位入り
ブラックロックのビットコイン現物ETF「IBIT」が年初来のETF流入で6位にランクインした。一方でリターンはマイナスとなっており背景にある投資家心理が注目される。
10:50
メタプラネット、米国預託証券プログラム設立
ビットコイン保有企業メタプラネットがドイツ銀行を預託銀行とする米国預託証券プログラムを設立し、19日より米国店頭市場で取引を開始する。米国投資家の利便性向上と流動性拡大を目指す。
10:33
ビットコイン提唱者ルミス米上院議員が再選不出馬、仮想通貨法案成立に注力へ
仮想通貨推進派として知られるシンシア・ルミス上院議員が2026年の再選不出馬を表明した。任期終了までに包括的な仮想通貨規制法案や税制改革の成立を目指す方針を示している。
10:05
「ビットコイン価格は2035年に2億円に到達」CF Benchmarksが強気予想
CF Benchmarksが2035年の仮想通貨ビットコインの価格を基本シナリオで142万ドルと予想した。ゴールド市場のシェアを獲得することなどを前提とし弱気・強気シナリオも算出している。
09:10
イーサリアム、Glamsterdamの次のアップグレード名は「Hegota」
仮想通貨イーサリアムでGlamsterdamの次に実施されるアップグレードの名称がHegotaに決定。2025年と同様、イーサリアムは2026年に2回アップグレードを行う可能性がある。
08:15
ビットコイン、弱気相場入りか クリプトクアントが需要減速を指摘
クリプトクアントが仮想通貨ビットコインの需要成長鈍化を指摘し、弱気相場への移行を指摘。ETFの純売却や大口保有者の需要縮小、デリバティブ市場のリスク選好低下などが要因として挙げられている。
07:10
コインベース、2026年の税制変更で予測市場がギャンブルより有利になると指摘
コインベースが2026年の見通しレポートで、トランプ大統領が署名したワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法により予測市場が従来の賭博より税制面で有利になる可能性があると指摘した。
06:50
アーサー・ヘイズ、FRBの新資金供給策RMPでビットコイン4年サイクル論が終焉と再度主張
著名トレーダーであるアーサー・ヘイズ氏がFRBの準備金管理購入プログラムを分析し、実質的な資金供給(QE)により仮想通貨ビットコインの従来の4年サイクルが崩れたとの見解を示した。ビットコインは2026年に20万ドルに向かうと予測。
06:20
仮想通貨の冬到来か、フィデリティ責任者がビットコインの2026年底値を6.5万ドル付近と予測
フィデリティのグローバルマクロ責任者ジュリアン・ティマー氏がビットコインの強気サイクル終了の可能性を指摘し、2026年の底値を6.5万ドルから7.5万ドルと予測した。機関投資家の参入により従来のサイクル論が変化しているとの見方が広がっている。
05:45
米FRB、仮想通貨企業向け「簡易版マスターアカウント」開設に進展か
米連邦準備制度理事会が仮想通貨関連企業を含む適格機関に決済サービスへの限定的なアクセスを提供する「ペイメントアカウント」案についてパブリックコメントを募集開始。
12/19 金曜日
17:38
税制改正大綱で仮想通貨税制が大きく前進、申告分離課税20%と3年間の繰越控除を明記
政府・与党が2026年度税制改正大綱を決定。暗号資産取引に申告分離課税を導入し、税率は株式と同じ一律20%に。3年間の繰越控除制度も創設される。金商法改正を前提とした条件付きで、2028年施行の見通し。昨年の「検討」から具体化が進み、web3業界の発展に向けた重要な一歩として評価されている。
15:33
米国法銀行初、SoFiがステーブルコイン「SoFiUSD」を発行
米ソーファイ・テクノロジーズが完全準備型の米ドルステーブルコイン「ソーファイUSD」を発表した。パブリックブロックチェーン上でステーブルコインを発行する米国法銀行として初の事例となる。
14:15
2025年の仮想通貨盗難被害額5300億円突破、北朝鮮関連グループの犯行目立つ=チェイナリシス
チェイナリシスが2025年の仮想通貨盗難事件についてレポートを発表。総額5300億円規模であり、Bybitハッキングなど北朝鮮関連グループによる犯行が目立っている。
14:13
サークル、インテュイットと提携 USDC で税金還付や企業決済に対応
ステーブルコイン大手サークルが金融テクノロジー企業インテュイットと複数年の戦略的提携を締結。TurboTaxやQuickBooksなどでUSDCを活用した税金還付、送金、決済サービスを展開し、年間15兆円超の取引に対応へ。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧