
大手通信事業者のエコシステムで展開へ
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のレイヤー2(L2)プロジェクトであるリスク(Lisk:LSK)は、Web3インフラ企業Binary Holdingsとの戦略的提携を発表した。Cryptonewsが報じた。
今後、パートナーシップの下、東南アジアにおける分散型アプリケーションの普及を促進していく。Liskは過去1日で約5%上昇しており、記事執筆時現在は0.49ドルだ。
Binary Holdingsは、インドネシアとフィリピンに拠点を構えており、Web3技術を活用した多様なデジタルサービスを提供。ファンエンゲージメントプラットフォーム「Fando」や、ゲーム配信プラットフォーム「BNRY Game Labs」その他を運営している。
インドネシアの大手通信事業者Indosat Ooredoo Hutchisonのモバイルアプリで「Fando」が配信されるなど、大手事業者とも提携しており、潜在的に1億6,000万人以上のユーザーへリーチを持っているところだ。
今回の提携により、Liskは消費者向けdApps(分散型アプリ)を通信事業者のエコシステムに組み込むことができるようになる。
ユーザーは、通信事業者向けアプリに組み込まれたBinary HoldingsのdAppsプラットフォーム「OneWave」から、LiskのdAppsに直接アクセスできるようになる格好だ。
ユーザーが使い慣れた環境でブロックチェーン機能を使用できるため、分散型金融(DeFi)やその他Web3サービスと直感的なやり取りが可能になることが期待される。
dAppsとは
オープンソースのブロックチェーンを利用して開発されるアプリのこと。「Decentralized Applications」の略で、日本語では「分散型アプリケーション」と呼ばれる。中央集権的な管理者がいないことが大きな特徴。
さらに提携により、ユーザーはBinary Holdings独自の仮想通貨である「BNRY」トークンを通信事業者のエコシステム内で獲得・利用できるようになる。「BNRY」をモバイルデータなどの日常的なサービスに使用できることで、ユーザーも具体的な形でブロックチェーンのメリットを享受できるようになる形だ。
Liskのドミニク・シュウェンター最高執行責任者は、今回の提携により「イノベーターや開発者が現実世界で使用されるブロックチェーンアプリを提供し、大きなインパクトを与えることができるようになる」とコメントした。
アフリカでステーブルコイン決済のSwyptと提携
シュウェンター氏は、「Web3の普及は、従来の金融システムが機能不全に陥っている国で最も顕著だ」と述べており、Liskはブロックチェーンが実用的なメリットをもたらす可能性のある高成長地域での事業に力を入れていると述べた。
Liskは3月、ケニアに拠点を置くステーブルコイン決済プラットフォームSwyptとの提携を発表したところだ。
これにより、アフリカ全土のSwyptユーザーはUSDTなどにアクセスできるようになり、ステーブルコイン決済の選択肢が増える。
また、Swyptユーザーは、LiskのRWA(現実資産)トークン化テクノロジーによるトークンを使用することも可能となる。
例えば、Lisk上の主要プロジェクトの一つである「Project Mocha」は、ケニアのコーヒーノキをトークン化することで、小規模農家が資金調達を行い、農業慣行を改善し、公正な報酬を確保できるよう支援するものだ。ユーザーは、こうしたトークンを使用して地域企業や持続可能なプロジェクトを支援することができる。
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RWAとは
「Real World Asset(現実資産)」の略。ブロックチェーン上でトークン化されるRWAには不動産、アート作品、トレーディングカード等の実物資産、株や債券等の有価証券などが含まれる。RWAのトークン化の可能性は、資産運用最大手ブラックロックらも注目している。