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IG証券のビットコインETF「IBIT」CFD取引の始め方|税制・手数料・リスクを徹底解説

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ビットコイン投資の新たな選択肢

英国系オンライン証券のIG証券は2024年9月30日、米ブラックロックの暗号資産関連ETF2銘柄のCFD(差金決済取引)提供を開始しました。対象は「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)」および「iシェアーズ・イーサリアム・トラスト(ETHA)」で、同社の「バラエティ(VIX他)」口座で24時間取引が可能です。

日本では現物型ビットコインETFの上場は早くても2027年春以降とされる中、IG証券のCFD提供は市場ニーズへ応える先行的な動きといえます。本記事では以下の内容を解説します。

ブラックロックの「IBIT」:圧倒的な人気の理由は?

IBITの流入額、AUM推移 出典:SoSovalue

IBITは、運用資産総額11兆ドル超を誇るブラックロックが提供する現物型ビットコインETFです。2024年1月にナスダック市場に上場後、トップブランドを活かし、史上最速で1,000億ドル規模に到達しています。

IBITの基本情報

  • 運用会社:ブラックロック
  • 上場市場:ナスダック
  • 信託報酬:0.25%
  • 運用方針:実際のビットコイン現物を保有し価格に連動

ビットコイン現物投資では、取引所のハッキングリスク、秘密鍵管理の煩雑さ、ウォレットの専門知識が必要でした。IBITなら既存の証券口座で購入でき、セキュリティは専門機関が担保、透明性と流動性も確保されています。

2025年10月までに、現物ビットコインETF全体への流入額は627億ドルに達し、ビットコイン供給量の約4〜5%をETFが保有。IBITは単独で流入額650億ドル、運用資産額(AUM)970億ドルでトップを走り、価格安定や市場発見機能に影響を及ぼす存在となっています。

あわせて読みたい:ビットコイン投資の要点まとめ:始め方・買い方まで

IG証券の「IBIT CFD」─ ETFや現物BTCと何が違う?

CFD(差金決済取引)の仕組み

IG証券が提供するのはIBIT現物ではなく、IBITを原資産とするCFD(差金決済取引)です。CFDは「実物を持たずに価格差だけで売買する」取引方法で、現物やETF現物にはない独自の強みとリスクがあります。

IG証券IBIT CFDの取引条件

  • 対象銘柄:IBIT、ETHA
  • 保有形態:差額決済のみ(実物保有なし)
  • 取引時間:24時間365日
  • 最大レバレッジ:5倍
  • 取引単位:1株から
  • 取引口座:バラエティ(VIX他)口座

CFDの強み

1. 下落相場でも利益を狙える

現物やETF現物は「買い→値上がりで売却」しか利益を狙えませんが、CFDなら「売り→値下がりで買戻し」で下落局面でも利益獲得のチャンスがあります。

2. 少額資金で大きな取引が可能

レバレッジ最大5倍により、10万円の証拠金で最大50万円分の取引ができます。資金効率が高く、相場の動きを最大限活用できます。

3. 24時間365日取引可能

米国市場が閉まっている時間帯でも取引できるため、日本時間の日中や夜間のビットコイン価格変動に即座に対応できます。

CFDのリスクと注意点

1. 実物保有ではなく短中期取引向き

CFDは価格差を取引する商品であり、実際のビットコインやETFを保有するわけではありません。そのため、以下の理由から短中期取引に適しています。

コスト①:取引スプレッド+手数料

売値と買値の差額(スプレッド)が実質的なコストとなり、さらにバラエティ口座でのETF銘柄取引には別途取引手数料が発生します。

コスト②:ファンディングコスト

ポジションを翌日に持ち越すと、日々金利調整額が発生します。長期保有するほどコストが累積するため、中長期保有には不向きです。

2. レバレッジで損失も拡大

レバレッジ5倍なら利益も5倍ですが、損失も5倍に拡大します。予想と逆方向に相場が動いた場合、以下のような流れでリスクが顕在化します。

  • 証拠金維持率を下回ると追加証拠金(追証)の入金が必要になる
  • 追証が払えない場合、強制的にロスカット(強制決済)が執行される
  • さらに相場が急変動した場合、証拠金以上の損失が発生する可能性がある

関連:仮想通貨(ビットコイン)レバレッジ取引|ショート戦略の活用法、取引所比較

税制上の取扱いと注意点

日本市場では現在、「現物型ビットコインETF」導入に向けた制度設計が金融庁や業界団体を中心に慎重に進められています。暗号資産の税制改正(金商法移行・申告分離課税適用)とともにETF解禁も議論が進行中であり、「来年の税制改正要望に盛り込まれた場合、2027年春の施行が想定される」との見通しも示されています(WebX2025登壇者発言より)。

このような中、IG証券のCFD提供は公的ETF制度化を待たずに市場ニーズへ応えた先行的な動きといえます。しかし、税制面では重要な注意点があります。

関連:仮想通貨税制改正「いつから?」申告分離課税・金商法適用の影響、注目点まとめ

暗号資産CFDの一般的な税制

暗号資産のCFD取引は通常「総合課税(雑所得)」として扱われる事例が多く、国税庁のFAQでは、暗号資産の証拠金取引について租税特別措置法第41条の14(先物取引に係る雑所得等の課税の特例)は適用されない旨が明記されており、申告分離課税は適用されません。

仮に「総合課税の雑所得」として扱われる場合、最大で約55%(所得税45%+住民税10%)が課され、他の金融商品との損益通算もできません。

IG証券のビットコインETF CFDの特殊性

一方で、IG証券のビットコインETF CFDは、原資産が上場ETF(ブラックロック発行のIBIT/ETHA)とされており、IG証券サポートの見解では、FX・CFD取引に係る雑所得等として申告分離課税(税率20.315%)が適用可能との立場を示しています。

現時点での税制上の位置づけ

国内において、暗号資産ETFを対象とするCFD取引によって得た利益の税区分が分離課税に含まれるかどうかは、現時点で解釈上の争点です。ETF原資産という性質から分離課税の適用可能性はあるものの、国税庁の最終判断待ちであり、税務署が「暗号資産要素が強い」と判断して総合課税扱いにするリスクを指摘する意見もあります。

どちらの課税方式になっても対応できるよう、すべての取引記録とIG証券が発行する年間取引報告書を保管し、暗号遺産の税制把握や、確定申告の流れも抑えておきましょう。

関連:確定申告に向けた仮想通貨の税金対策 注意点まとめ 

IBIT CFDの取引方法

①口座開設・入金までの流れ

口座開設は最短1営業日 出典:IG証券

ステップ1:口座開設フォームに入力
IG証券の公式サイトから申し込み。基本情報や投資経験を入力します。

ステップ2:スマホで本人確認(最短1営業日)
マイナンバーカードまたは運転免許証を撮影し、顔認証を実施。すべてオンラインで完結します。
※上記をお持ちでない方は「郵送で本人確認」をご利用ください。

ステップ3:メール受信で口座開設完了
審査完了後、IG証券からメールが届けば取引口座の開設完了です。

取引開始前にやること:

  • バラエティ口座の開設: IBIT CFD取引に必要。マイページから即時開設可能(追加審査なし)
  • 入金: クイック入金なら提携銀行から即時入金、手数料無料

②IBITの取引方法とコスト

銘柄の選択と注文

IBIT CFDを選択 出典:IG証券

取引画面の検索窓に「IBIT」と入力、あるいは「ETF(New)」カテゴリーから「iシェアーズ ビットコイン トラスト ETF (24時間)」を選択します。

注文方法

IBIT CFDの注文フロー 出典:IG証券

  1. 売買の選択
  2. 成行注文(現在の市場価格で即座に約定)/指値注文(希望する価格を指定して注文)
  3. ロット/注文レート(指値注文の場合)
  4. 有効期限(無期限または指定日時から選択可能)
  5. 注文発注

取引にかかるコスト

IG証券のIBIT CFD取引では、主に3つのコストが発生します。デイトレードなら取引手数料とスプレッドのみですが、ポジションを翌日に持ち越すとファンディングコストが日々累積するため、短中期取引向きです。

コスト項目 内容 発生タイミング
1. 取引手数料 ロット数(株数)× 2.2セント
最低手数料:16.5ドル(約2,400円)
新規・決済の両方で発生
2. スプレッド 売値と買値の差額 取引時に発生
3. ファンディングコスト 取引額 × (米国基準金利 ± 3.0%) ÷ 360日
例:IBIT 100株(約97.5万円)保有で約210円/日
ポジション翌日持ち越し時に日々発生

ファンディングコストの重要ポイント:

  • デイトレード(当日中に決済)なら不要
  • 長期保有するほどコストが累積
  • 現在の金利環境では、買い・売り両方で支払いになるケースが多い

証拠金について

必要な証拠金:取引額の20%(レバレッジ5倍相当)

取引規模 必要証拠金 備考
IBIT 100株
(約97.5万円分)
約19.5万円
(97.5万円 × 20%)
利益も損失も97.5万円分の価格変動で計算
6,000株まで
(約3,900万円相当)
一律20% 一般的な個人投資家の取引範囲
6,000株超 段階的に上昇(30-75%) 変動証拠金制度が適用

重要:「維持証拠金率20%」と「証拠金維持率75%」の違い

この2つは全く別の概念です。混同しないよう注意してください。

  • 維持証拠金率20% = ポジションを持つために必要な証拠金の割合(レバレッジ5倍)
  • 証拠金維持率75% = 強制ロスカットされるライン

具体例:
30万円を入金し、IBIT 100万円分を購入した場合(必要証拠金20万円)
→ 証拠金維持率 = 30万円 ÷ 20万円 × 100 = 150%
→ 含み損が15万円になると証拠金維持率が75%に低下し、強制ロスカット

リスク管理と注意点

レバレッジ取引では、予想と逆方向に相場が動いた場合、証拠金以上の損失が発生する可能性があります。以下の基本原則を必ず守ってください。

1. 初心者はレバレッジ1〜2倍から

最大5倍のレバレッジは経験豊富な投資家向けです。まずは低いレバレッジで経験を積み、リスク管理の感覚を身につけましょう。

2. ストップロス(損切り)は必須

感情的な判断を避け、ポジションを持つ前に必ず損切り価格を設定してください。「もう少し待てば戻るかも」という心理が最も危険です。

3. 24時間動く市場のリスク

ビットコインは1日で5%以上変動することも珍しくありません。レバレッジ5倍では、この変動が5倍に増幅されます。

暗号資産市場は24時間動き続けるため、就寝中や仕事中にも大きく価格が変動する可能性があります。証拠金維持率が75%を下回ると強制ロスカットされるため、以下の対策が重要です:

  • 証拠金に余裕を持たせる(証拠金維持率200%以上を推奨)
  • 必ずストップロスを設定する(就寝中の急変動に備える)
  • レバレッジは控えめに(特に初心者は1〜2倍)

関連:ビットコイン価格変動の要因を解明!仮想通貨の光と影|CoinPost初心者講座

まとめ

IG証券では、ビットコインETF「IBIT」に加えて、イーサリアムETF「ETHA」のCFD取引も提供しています。

暗号資産投資に興味はあるものの、取引所の利用やセキュリティリスクに不安を感じている方には、IG証券のETF CFDは有力な選択肢となります。既存の証券口座で暗号資産への投資が可能になり、下落相場でも売りポジションで利益を狙えます。また、申告分離課税が適用される可能性があるという税制面でのメリットも魅力です。

一方で、投資経験が全くない方、レバレッジリスクを十分に理解していない方、損切りルールを守れない方、余剰資金がない方は、慎重に検討する必要があります。

税制面での留意点

IG証券のビットコインETF CFDは、申告分離課税(税率20.315%)が適用される可能性があり、従来の暗号資産投資(総合課税、最大55%)と比べて大きな税制メリットが期待できます。

ただし、税制上の取扱いは現時点で確定していません。取引開始前に税理士や所轄税務署へ必ず確認し、すべての取引記録を詳細に保管してください。利益が発生した場合は必ず確定申告を実施しましょう。税制面での有利性は魅力的ですが、最終的な税務判断は国税庁・税務署が行うため、リスクを十分理解した上で、少額から始めることをおすすめします。

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