ガス代の先物市場を提案
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のヴィタリック・ブテリン共同創設者は6日、イーサリアムの将来的な手数料をヘッジできるようなガス先物市場の創設を提案した。
ブテリン氏は、「今は手数料が低いが、2年後はどうか」という疑問をよく耳にすると述べている。ZK-EVMなどのおかげでガスリミットが上昇し手数料は低水準が維持される見込みとされているが、それは本当か、といった意見だ。
イーサリアムで「ガス」とは、トランザクションの送信やスマートコントラクトの使用など、ネットワークに何かを実行させるためにユーザーが支払う手数料のことである。
ZK-EVMとは
イーサリアムのスマートコントラクトをEVM(イーサリアム仮想マシン)と完全互換の形のまま実行し、その実行結果をゼロ知識証明(ZK-proof) によってまとめてイーサリアムのメインネット(L1)に送る仕組みのこと。レイヤー2上で大量の取引・処理を実行し、L1上ではその検証を行うだけとなり、結果的にガス単価を低くすることができる。
ガス代は需要に応じて変動するため、これまでユーザーは先のトランザクション料金がいくらになるかほとんど把握できなかった。ただ、この予測不可能性は、イーサリアムが2024年にネットワーク容量の向上と混雑緩和を目的とした一連のアップグレードを実施したことで、緩和されてきているところだ。
4日に完了したイーサリアムの「フサカ」アップグレードではブロックガスリミットが3,000万から1億5,000万ユニットに引き上げられている。
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今回ブテリン氏は、さらにガス代の変動に対応するための方策を次のように提案した。
オンチェーンのガス先物市場は、この問題を解決するのに役立つ。ユーザーは将来のガス手数料に対する予測を明確に把握して、将来のガス価格をヘッジすることさえ可能になる。特定の期間内に特定の量のガスを前払いすることも可能だ。
先物市場で、あらかじめ将来にガスを一定価格で使える権利などを入手できるようにすることなどを構想しているとみられる。ブテリン氏は、手数料の「予測市場」のようなものだとも発言した。
コミュニティ内で議論
この提案には、Lidoのアドバイザーを務めるハス氏などから反対意見が上がっている。ハス氏は次のように指摘した。
問題は、この市場に自然なショートサイドがないことだ。多くの人がガスをショートしてヘッジしたいと考えている。しかし、ガスをロングしている人はいない。多少のノイズ取引はあるかもしれないが、意味のある規模の市場を形成するほどの関心は集まらない。
多くの人がガス価格上昇リスクを避けたいためにショート(価格が下がると利益になるポジションを取る)するために、市場の需要が一方向に偏る可能性について言及している。
これを受けて、ブテリン氏はイーサリアムのプロトコルは将来のベースフィー収入を先売り(前倒し販売)することで、実質的にロングポジションを解消、つまりショート側に回るべきかもしれないと意見した。ベースフィーとはガス代の基礎になる料金である。
オークションでは最大2年先までのガスを販売し、開発者やアプリがユーザーのためにガスを事前購入してショート状態をヘッジし、プロトコル側のロングと釣り合わせることができると構想を示した。現在のところ、こうしたガス先物市場はアイデア段階である。
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