- 「分散型台帳技術(DLT)パイロット制度」で提言
- 上限撤廃または270兆円程度までの引き上げ求める
EUの資産トークン化商品規制で提言
欧州の金融・トークン化資産業界団体は7日、EU理事会および欧州議会経済通貨委員会(ECON)宛てに意見書を提出した。EUの「改正分散型台帳技術(DLT)パイロット制度」で提案されている時価総額上限について、引き上げを求める内容だ。
書簡には、ナスダック、セキュリタイズ、シュトゥットガルト証券取引所、欧州イーサリアム・インスティテュート、アクシオロジーなど20以上の団体が名を連ねている。
欧州委員会は、2025年12月にEU資本市場の規制を包括的に見直す一連の法案「市場統合・監督パッケージ」を発表。その一環として、DLTパイロット規制の見直しが議論されているところだ。
分散型台帳とは
英語でDistributed Ledger Technology。特定の管理者や中央サーバーに頼らず、ネットワークに参加する複数のコンピューターが同じ取引記録の台帳を分散して共有・同期する仕組みのこと。
現行案では各DLT市場インフラに上場・記録される商品の合計時価総額の上限を60億ユーロから最大1,000億ユーロに引き上げるとしているが、業界側は今回の書簡でこれは不十分だと主張している。
欧州の既存プロジェクトの中にはすでに3,500億ユーロ規模に達し、さらなる拡大を計画しているものもあると指摘。提言としては、まず上限を撤廃することを推奨した。その上で、もし政治的に上限が必要だと判断される場合は1兆5,000億ユーロ(約270兆円)程度まで引き上げるべきとしている。
参考としては、米国の決済プラットフォームが米国株やその他の資産をトークン化する際、取引量の上限は設けられていないと述べた。その規模は150兆ユーロに達する可能性があり、これは今回の提言の100倍に相当するとしている。
米金融大手シティグループが年内にも、トークン化預金による海外送金サービスを日本企業向けに始める。外資による参入は初めてで、夜間や休日でも外貨を瞬時に送金できるようになる。
公平な競争条件求める
業界側は書簡で、公平な競争条件を整える、一貫した上限の適用も求めた。例えば、既存の中央証券保管機関(CSD)に比べてDLT市場インフラ運営者の上限を低くするなどの不平等があれば、既存の市場参加者に構造的な競争優位性を与えることになりかねないとしている。
「同一の事業、同一のリスク、同一のルール」という原則を求める格好だ。
なお「分散型台帳技術(DLT)パイロット制度」については、4月にもシュトゥットガルト証券取引所、ダンスケ銀行、ユニオン・インベストメントその他が共同で意見書を提出していた。
この際には、各トークン化商品の時価総額上限を1,000億~1,500億ユーロに引き上げること、パイロット制度の対象となる商品をEUの金融規制「MiFID(金融商品市場指令)」の範囲となるすべての種類の資産に拡大することなどを求めている。今回の書簡ではさらに踏み込み、上限の撤廃も要請として盛り込んだ。
解説記事:ナスダック、ペイワードに1億ドル出資 トークン化株式を来年始動へ
ナスダックが仮想通貨取引所クラーケンの親会社ペイワードに1億ドルを出資すると発表した。トークン化株式構想と新たな市場監視協定の締結もあわせて明らかになり、企業価値は210億ドルと評価されている。



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