銀行の仮想通貨事業
米国は2022年、暗号資産(仮想通貨)を取り扱う銀行がどのような事業を行えるのか、明確なルールの制定を計画していることが分かった。
安全性や健全性の確保、投資家保護やコンプライアンス遵守の観点から、統一された明確なルールを提供することが目的。これまで、様々なバックグラウンドを持つメンバーが、準備段階として分析を行なってきたという。
ルール制定を行うのは、連邦準備理事会(FRB)、通貨監督庁(OCC)、連邦預金保険公社(FDIC)の米機関。今回の内容は3機関の共同声明として発表された。今年5月には、この3機関が仮想通貨の規制整備に取り組むチームの設立を検討していることが分かっている。当時から仮想通貨の規制に関して、当局間で連携が行われていないなどと、現在の問題点が指摘されていた。
今回分析を行なったチームが特化したのは以下の3点だ。
- 銀行が仮想通貨を取り扱う際の用語の統一
- 重要なリスクの評価
- 現在の規制の適応性と新しいルールのメリットの分析
この分析のもと、銀行が仮想通貨を取り扱う際、どのような事業が法的に許可されるのかなどルールを明確にしていくと説明。以下の6点について、安全性や健全性の確保、投資家保護や既存の規制の遵守といった観点から、ルールを制定するとした。
- 仮想通貨の管理や従来のカストディサービス(仮想通貨取引サービス等を含む)
- 補助的なカストディサービス(ステーキングや貸付等を含む)
- 仮想通貨売買のサービス
- 仮想通貨を担保にした貸付
- ステーブルコインの発行・供給
- バランスシートで仮想通貨を保有するなどの行為
また、資本や流動性に関する既存の基準も仮想通貨に適用できるか調査すると説明。これからバーゼル銀行監督委員会と連携していくとも述べている。そして、今後もマーケットが発展していけば、仮想通貨を注視し、他の問題に対応する可能性もあるとした。
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OCCが書簡を発表
OCCは23日、仮想通貨の事業について、米国の国法銀行と貯蓄貸付組合に書簡を公開したことを発表した。
書簡では、仮想通貨や分散型台帳、ステーブルコインに関する事業を行う前に、リスク管理など体制が十分に整備されていることを証明しなくてはならないと説明。要するに、国法銀行や貯蓄貸付組合は仮想通貨事業を行う前に、OCCの許可を取るように要求している。
OCCは以前にBrian Brooks氏が長官代理を務めていた時は、貯蓄貸付組合および国民貯蓄銀行に対して仮想通貨の取り扱いを許可する声明を発表するなど、仮想通貨事業を推進するようなルールを作っていた。しかし、今年5月に長官代理に就任したMichael Hsu氏は、Brooks前長官代理が導入した仮想通貨関連の政策を一時保留して見直すと発表するなど、方針の違いが明らかになっている。
今回の書簡は、上述したルール制定と合わせ、OCCが銀行の仮想通貨事業に対し、明確さを与える取り組みの一環だとした。