- 「USDTの完全な裏付け資産の有無はもはや関係ない」
- テザー社発行する米ドルにペッグするステーブルコイン「USDT」に裏付け資産を巡る問題で、同社共同創設者が「完全な裏付けの有無はもはや関係が無い」と発言したことがわかった。
「USDTの完全な裏付け資産の有無はもはや関係ない」
テザー社発行する米ドルにペッグするステーブルコイン「USDT」に裏付け資産を巡る問題で、同社共同創設者が「完全な裏付けの有無はもはや関係が無い」と発言したことがわかった。
共同創設者のWilliam Quigley氏はブルームバーグの取材に対して、「テザーUSDTが米ドルに裏付けられているかどうかは重要なところではない。重要なのは、USDTが「1 ドル」に値するというユーザーからの信頼だ。」と発言した。
基本的に価値を紐付けにくい仮想通貨において安定した価格を維持するステーブルコインは、法定通貨や裏付け資産をペッグすることで価値を担保してきたが、それらの仕組みに疑問符を投げかける発言になり得る。世界各国の法定通貨と同様に、「信頼」を価値の裏付けになるとする発言が発行企業側から出たことに、問題視する見方がでる可能性もある。
また、ニューヨーク司法当局(NYAG)が現在捜査を行なっている「Bitfinex社による8.5億ドルの準備金不正利用の疑惑」については、「テザー社が資産凍結によって裏付け資金にアクセスができなくも、USDTの価格が依然として1 ドルで安定しているのは、ユーザーがその価値を信じているからだ。」とのコメントを行なった。
テザー裁判では先月、テザー社がニューヨーク裁判所の「NYAGに管轄権あり」との判断に対して、控訴する姿勢を示したが、行き先は不明瞭なままだ。
同裁判は、USDTを利用した不正操作なども市場の注目ポイントとして、情報開示によって不正が暴かれる懸念を、市場は警戒している。今後、裁判官の判断が覆るか、市場の重要なターニングポイントとなるとの見方は強い。
テザー裁判について
- 4/25:NYAGがBitfinexに対し、USDT準備金の不正利用として、NY州における営業の停止を求める
- Bitfinexは、この指摘を全面否定
- 5/3:NYAGがBitfinexに対し、財務書類の開示要求
- 最高裁がテザー社とBitfinexに対し一時的な準備金の移動禁止を発令
- 5/16:証拠不十分として、最高裁がその禁止を一部解除; Bitfinexが告訴の取り消しを求める
- 5/18:Bitfinexがアクセス不可能となった資金を補うため、LEOトークンのセールを行い、約1100億円を調達成功
- 6/2:Bitfinexがテザー社に対し、1億ドルを返済した
- 7/8:NYAGは、Bitfinexとテザーが2015年よりNY住民に提供をしていたとして、最高裁にその管轄権を主張する摘要書(Memorandum of Law)を提出
- 7/22:BitfinexがNYAGの主張(摘要書)に対するリスポンス(書面上の返答)を行う
- 7/29:最高裁が、Bitfinexの告訴取り消しの動議を審議する聴取を実施
- 8/20:裁判所がNYAGの管轄権を認める。資金の不正利用疑惑に関する書類開示が必要に
- 8/20:Bitfinex側が、米ニューヨーク最高裁(=第一審裁判所)の撤回を求め上訴(書類提出)
参考:ブルームバーグ取材