仮想通貨デリバティブ禁止、影響は小さい
「イギリスの仮想通貨デリバティブの禁止措置は、業務への影響は限定的である」そう答えたのは大手オンライン投資仲介eToroの英国マネージングディレクターであるIqbal Gandham氏だ。現在個人投資家のほとんどが原資産を購入にシフトしていることが背景にあるという。
この発言は、英国の金融監視当局である金融行為監督機構(FCA)が、昨年夏に発表した、差金決済取引(CFD)を含む仮想通貨デリバティブの「販売、マーケティング、およびすべての小売消費者への流通」を禁止する計画に関するもの。
FCAは、個人投資家は「特定の仮想通貨を参照するデリバティブの価値とリスクを確実に評価できない」ため、こうした製品は不適切だとした。
いくつかの取引プラットフォームでは、仮想通貨デリバティブへのアクセスをすでに禁止しているものの、FCAの最終決定が英国全体に徹底されるのは今年後半になる見込みだ。
Gandham氏は、「もしも2016年から2017年の時期にこの禁止に直面していたとしたら、ビジネスへのインパクトは大きかった。しかし今では、eToroの顧客の大半は、CFD製品ではなく、原資産である仮想通貨自体を購入しているためビジネスへの影響は限定的である」と語った。
eToroは現在、小売ユーザーに2対1の最大レバレッジで仮想通貨または仮想通貨CFDを提供している。
eToroによると、小売ユーザーの約87%が原資産を購入、2020年1月には、90%の割合だったという。こうしたことを背景に、Gandham氏は現在、eToroは、個人投資家向けのデリバティブ市場からは離れつつあると述べた。
投資家が海外取引所に流れる可能性
一方、禁止措置に関連する企業がすべて、eToroのような楽観的な反応を見せているわけではない。
英大手仮想ファンドのCoinSharesは小売りデリバティブ禁止に反対するキャンペーンを開始し、当局がデータを都合よく解釈していること、当該資産についての理解不足について批判した。
同社オーナーのDaniel Masters氏は、欧州最大の仮想通貨デリバティブ開発者の1つXBT Providerの所有者でもある。同氏は禁止措置は投資家を保護することはなく、投資家保護水準が低いオフショアの取引所に彼らを移動させるだけだと述べた。
規制関連の動きとしては、イギリスでは1月10日より、欧州連合の5回目のマネーロンダリング指令(5MLD)が、英国で施行されている。
この指令は、仮想通貨分野の様々なサービスも対象とするもので、デジタル資産、オープンソースコミュニティ、さらにビットコインや仮想通貨取引に関するコードを記述する開発者をが規制対象範囲に入った。