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IMF、トークン化で金融の構造変化 政策次第で強化も分断も

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • トークン化で決済資産は3類型に分岐、リスクの所在も変化
  • 新興国は資本移動の急変や通貨代替のリスク増大と指摘

決済処理が「同時実行」に変わる構造転換

国際通貨基金(IMF)は2日、トークン化に関する分析ブログを公開し、金融資産や負債が共有された分散型台帳上に移行することで、金融システムの構造そのものが変化すると指摘した。

執筆者はIMFの金融顧問兼金融資本市場局(MCM)局長を務めるトビアス・アドリアン氏。同氏は、トークン化が決済の高速化や低コスト化にとどまらず、金融システムにおけるリスクの所在自体を組み替えると論じた。

トークン化とは、資産の所有権や移転の記録をブロックチェーンなどの共有台帳に直接組み込む技術を指す。銀行間決済や証券取引はこれまでも電子化されてきたが、執行・清算・決済という3つの工程は依然として順番に処理され、この時間差が誤りや市場の混乱に対応する猶予として機能してきた。

アドリアン氏は、トークン化によりこれらの工程がスマートコントラクトを通じて同時に実行されるようになり、従来の猶予が失われる可能性があると説明した。

関連記事:IMF「トークン化は金融を根本から再構築する」、メリットとリスクを分析

IMFのエイドリアン金融資本市場局長は、金融トークン化を単なる効率化ではなく「金融アーキテクチャの構造的変革」と位置づけている。即時決済によるコスト削減、仲介の簡素化、自動化による効率向上など、金融市場に大きなメリットをもたらす一方で、スピードと自動化、集中化は、新たな形態のリスクをもたらす可能性もあると警告した。

3つの決済資産、それぞれのリスク

記事は、トークン化された世界における決済資産として、トークン化銀行預金・ステーブルコイン・トークン化中央銀行準備金の3種類を挙げた。

トークン化銀行預金は既存の銀行預金をデジタル化したもので、既存の規制枠組みを引き継ぐ一方、即時決済によって銀行が不測の事態に対応する余地が狭まると指摘した。

ステーブルコインについては、他の通貨との等価交換という約束の上に成り立っており、準備資産の質や市場流動性、発行体の耐性次第でその等価性が損なわれるリスクがあるとした。

完全に裏付け資産を保有するステーブルコインであっても、市場のストレス時には脆弱性が露呈した事例があるという。

トークン化中央銀行準備金は決済資産自体の信用リスクを排除できる一方、中央銀行が新たなプログラム可能インフラを運営・統治する役割を担うことになり、公共部門と民間部門の機能分担が課題になるとしている。

関連記事:46兆ドル市場の次へ ステーブルコイン・決済・RWAで起きる6つの変化

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効率化と集中リスクは表裏一体

記事は、許可制の共有台帳に取引が集中することで流動性と効率性は向上する一方、運用面のレジリエンスやサイバーセキュリティ、危機管理の重要性が増すと指摘した。

プラットフォーム間の相互運用性が確保されなければ、流動性が特定の基盤に滞留し、リスクが別の形で再燃しかねないとしている。

新興国・発展途上国については、国境を越えた決済の高速化・低コスト化という恩恵がある一方、資産や資金がほぼ即時に国境を越えて移動することで、資本移動の急変や通貨代替、金融政策の実効性低下といったリスクも高まると警告した。

特に民間発行のグローバルステーブルコインが決済手段として広く使われるようになった場合、このリスクは強まるとしている。

記事は結論として、リスクフリーの決済資産や国際的に整合の取れた監督体制といった公共財を提供しつつ、相互運用性などの望ましい特性を促す仕組みの構築が政策課題になるとまとめた。

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