Shanghaiのテストネット
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)の次期アップグレードShanghai(上海)のテストネット「Shandong (山東省)」が立ち上がった。
エコシステムの開発を支える非営利組織イーサリアム財団のDevOpsエンジニアParithosh Jayanthi氏はテストネット「Shandong」について、「開発者がEIP(イーサリアム改善提案)候補を試して、問題を模索する場所」と説明。
10月27日の開発者会議「All Core Developers」で、Shanghaiの実装内容(EIP候補)についての議論される予定。
We are happy to announce the launch of an early Pre-Shanghai testnet we are calling "Shandong". 🔥https://t.co/1HpFTPUMOU
— EF JavaScript Team (@EFJavaScript) October 14, 2022
This is an experimental testnet run in cooperation with EF DevOps which activates a set of selected Shanghai-considered EIPs for early client testing.
🧵: https://t.co/VJ4kWxupG3
執筆時点、Shanghaiでの実装候補として上がっているEIPの内容は以下の通りだ。
- EIP-4895:マージ後の出金機能
- EIP-3540:EVM object formatの導入(主にスマートコントラクトの拡張)
- EIP-3651:warmCOINBASE(条件付きtx発行機能)
- EIP-3670:EOF(EVM object format)コード検証
- EIP-3855:PUSH0 instruction(コントラクトコードサイズの最適化)
- EIP-3860:Limit and meter initcode (ガス代請求の最適化)
関連:イーサリアム、マージ後ブロックの約2割が米国制裁を遵守
バリデーター報酬の出金
イーサリアムは22年9月15日、待望の大型アップグレード「The Merge(マージ)」の実装を完了。コンセンサス(合意形成)アルゴリズムはプルーフオブステーク(PoS)への移行を無事に果たしたが、次のコミュニティの関心はバリデーターのPoS報酬が引き出せるかにシフトしている。
データサイトDuneによると、イーサリアムのステーキング・ネットワーク(コンセンサスレイヤー)には10月18日時点に44.6万のバリデーターが存在し、ETH供給量の11.8%に当たる1,427万ETH(約2.8兆円相当)がロックされている。
こうしたバリデーター(トランザクション検証者)及びステーキング参加者には年利4%~6%の報酬が日々配分されているが、彼らが預けたETHや受け取っている報酬はマージ完了後もロックされたままである。
これらのETHは、マージ後の次のアップグレード「Shanghai」で出金できるようになると期待されている(但し、Shanghaiのプランはまだ確定していない)。
Shanghai実施時期
イーサリアム財団のウェブサイトは以前、Shanghai実施時期の見通しとして、「マージ完了から6か月~1年後」と記載していたが、執筆時点にそうした文言は削除されている。
The next Ethereum upgrade, Shanghai, must enable validator withdrawals. Many users accepted a ton of risk to launch the Beacon Chain with no liquidity or timeline on when they'd get their funds back.
— Viktor Bunin 🛡️ (@ViktorBunin) September 19, 2022
Not doing so would be cruel and irreparably harm goodwill in the community.
こうした対応はユーザーの混乱を招くとして批判を集めた。米CoinbaseのプロトコルスペシャリストViktor Bunin氏は、「コミュニティの善意に取り返しのつかない損害を与えることになる」として、バリデーター報酬の出金に関するタイムラインを示すよう要請した。