CoinPostで今最も読まれています

イーサリアム大型アップグレード「マージ」実装完了

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

The Merge実装を完了

暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)は15日、待望の大型アップグレード「The Merge(マージ)」の実装を完了した。

出典:ethernodes.org

これにより、イーサリアム・ネットワークのコンセンサス(合意形成)アルゴリズムが従来のプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフオブステーク(PoS)への移行を遂に実施した。

この影響で、イーサリアム・ネットワークではマイニング(PoW)が停止し、後続のブロックはバリデーター(PoS)に生成されている。これまで発生していたマイニング報酬(13,000ETH/日)が0(ゼロ)になったことで、イーサリアム財団の概算によると1日のETH新規発行量はステーキング報酬(1,600ETH)のみとなる。

また、21年8月の「ロンドン」アップグレードでは、手数料モデルを変更するEIP-1559が導入され、ベースフィーを焼却(バーン)するシステムが組み込まれており、デフレ資産(供給量が減少する)にシフトする可能性に期待する声も見られる。

関連:イーサリアムマージ後「潜在的にデフレ資産へと移行する見通し」 米ファンド パンテラが指摘

また、気候変動リスクなどを懸念する米政府やESG投資家などからはネットワークの消費電力がこれまでの99%以上も削減する体制になる点が着目されている。

関連:イーサリアム財団「Merge完了後は消費電力を99%削減」

他方では、従来のPoWを存続させるためにマイナー主体の暫定ガバナンスグループ「EthereumPoW」が立ち上がり、イーサリアム・ブロックチェーンを分岐(フォーク)するための準備を進めている。事前アナウンスによると、EthereumPoWのチェーンとその仮想通貨(ETHW)は、マージ完了から24時間以内に開始する予定だ。

関連:イーサリアムPoWフォーク(ETHW)、マージ完了から24時間以内にリリースへ

The Mergeとは

イーサリアム・ブロックチェーンのコンセンサス(合意形成)アルゴリズムを「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」から「PoS」へ移行する大型アップグレード。現在のメインネットとコンセンサス形成を担う新しいチェーンを統合(マージ)することで、役割の異なる二つのレイヤーがそれぞれ形を残して連携しながら、一つのイーサリアムを構成する。

▶️仮想通貨用語集

マージ後のポイント

マージの目的はコンセンサスアルゴリズムを変更することにあり、ネットワークのキャパシティを向上する類のアップグレードではない点に注意する必要がある。ユーザーが取引手数料としてネットワークに支払うガス(GAS)や、トランザクションの処理能力に大きな変化は生じない仕様だ。

関連:来たるイーサリアム「マージ」、8つの誤解とは

データサイトDuneによると、イーサリアムのステーキング・ネットワーク(コンセンサスレイヤー)には9月14日時点に42.8万のバリデーターノードが存在し、ETH供給量の11.3%に当たる1,370万ETH(約3.2兆円相当)がロックされている。

こうしたバリデーターやステーキング参加者に年利4%~6%の報酬が日々配分されているが、彼らが預けたETHや受け取っている報酬はマージ完了後もロックされたままである。

これらのイーサリアムはマージから6か月~1年後の実施が見込まれる「Shanghai」アップグレードで出金できるようになる計画だ。さらに、Shanghai完了後も一度に大量のバリデーターが離脱して不安定になることを防ぐため、イーサリアムネットワークに出金制限が設けられている。

こうした構造を加味してブロックチェーン分析企業Nansenは、マージが無事完了してPoS移行リスクが解消された後にイーサリアムのステーキング総量が増加し続ける可能性を指摘した。

Shanghaiアップグレードが行われる2023年頃まで出金できないため、ステーキングETH量はそれまで上昇し続けるしかないことを意味する。市場の状況によっては、さらに山を作る可能性がある。

主張の根拠としてNansenは、クジラ(大口投資家)が22年の弱気相場に継続してETHを蓄積し続けているデータを示した。また、ETHステーキング比率(11.3%)がPolygon(41%)やSolana(77%)等の競合と比較して低い点を指摘した。

関連:ブロックチェーン企業Nansen、マージ後イーサリアムの売り圧など考察

PoSとは

保有(ステーク)する仮想通貨の割合に応じて、ブロックを新たに承認・生成する権利が得られるコンセンサスアルゴリズムのこと。

▶️仮想通貨用語集

関連:イーサリアム・マージ直前、ビットコイン相場をプロが分析|寄稿:仮想NISHI

有識者のコメント

イーサリアムの共同設立者であるヴィタリック・ブテリン氏はMergeがファイナライズしたと報告。以下のようにコメントした。

これはイーサリアム・エコシステムにとって大きな瞬間だ。

マージ実現に協力した全ての人は今日、誇りに思うべきだ。

大手仮想通貨取引所バイナンスのチャンポン・ジャオ(CZ)CEOは以下のように祝辞を述べた。

マージが成功。PoSの起動が開始した。

21年3月に高額NFT「5000 days」がオークションで落札したデジタル・アーティストのBeeple氏はイーサリアムのThe Mergeに因んだ作品を投稿した。

なお、おおまかなステージとしては、Mergeの後は以下の流れでアップグレードを行う計画だ。

  1. The Merge(完了済み)
  2. The Surge
  3. The Verge
  4. The Purge
  5. The Splurge
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
10/12 土曜日
18:00
なぜ企業がビットコインを保有し始めているのか?
上場企業による暗号資産(仮想通貨)ビットコイン保有が世界的に拡大し始めている。米国のマイクロストラテジーや日本の東証上場企業メタプラネットの事例から、企業がビットコインを選択する理由と、それが企業戦略にもたらす影響を詳しく解説。
14:00
ポルシェの「911 GT3」、Web3レースゲーム「Lollipop Racing」に登場
ポルシェがポリゴン上のWeb3ゲーム「Lollipop Racing」に参加。高性能車911 GT3 RSなどが登場し、ストリーミングとゲームを融合した新体験を提供。
10:35
「ビットコイン銀行構想で1兆ドル企業へ」マイクロストラテジー会長
米マイクロストラテジーのマイケル・セイラー会長がビットコイン関連金融商品を核に時価総額1兆ドル企業を目指す壮大な構想を語る。
10:00
BCGとBLOCKSMITH、障がい者就労支援で提携 ゲーミフィケーションと仮想通貨活用の新しい報酬システムを導入
BCG株式会社とBLOCKSMITH&Co.が障がい者の就労支援で業務提携を発表。工賃作業サービス『RevelApp』とクイズ動画SNS『QAQA』の連携により、障がい者がクイズ解答で得た報酬を暗号資産に交換できる新しい報酬システムを提供する。
09:30
OKJ、パレットトークン(PLT)のステーキングで特別プラン発表
OKCoinJapanが仮想通貨PLTの特別ステーキングプラン「88日間・年率11.88%」を発表した。Palette ChainのAptos Network統合を記念した期間限定オファーとなる。
08:55
リップル共同創設者、XRPでハリス氏の支援団体に寄付
リップル社の共同創設者ラーセン氏は、仮想通貨XRPでハリス氏の支援団体に1.5億円を寄付した。同氏によるハリス氏への仮想通貨での寄付で記録されているものは今回が初めてとされている。
10/11 金曜日
13:44
仮想通貨DEX大手Uniswap、独自のイーサリアムL2「Unichain」を発表 
DEX大手Uniswapは1、新たなイーサリアムL2ソリューション「Unichain」の立ち上げを発表した。Unichainは低コストで高速なトランザクションと分散化を推進し、クロスチェーン相互運用性を高める。
12:55
米CPI発表などでビットコイン下落、クジラは過去半年間BTC買い占め
仮想通貨市場で米政府によるビットコイン対象清算の可能性が懸念され、市場参加者の間で警戒感が高まっている。昨夜発表のCPIはBTCの価格を一旦押し下げた。
11:35
ブロックチェーンで牛を追跡するCattleProof、米農務省から公式認定取得
家畜のデジタルID管理を行うCattleProofが、ブロックチェーンを活用したもので初めて米農務省のプロセス検証プログラム認定を取得。トレーサビリティ向上へ。
10:00
メタプラネットが10億円分ビットコイン追加購入、今週二度目
仮想通貨オンチェーン追跡ツールのArkham Intelligenceはメタプラネットの保有特設ページを公開。マイクロストラテジーやブラックロック、米政府のアドレスのように、ビットコイン保有数のリアルタイムトラッキングが可能となった。
09:45
ビットコインを公式通貨とする未承認国家「リベルランド」、トロンのサン氏を首相代行に指名
自称国家リベルランドが、トロン創設者ジャスティン・サン氏を首相代行に指名。仮想通貨とブロックチェーンに重点を置きビットコインを公式通貨としている。
08:55
マウントゴックス、弁済期限を25年10月末まで1年延長
マウントゴックスは弁済期限を25年10月末まで1年延長すると公表。仮想通貨ビットコインの売り圧軽減につながる可能性があるとの声が上がっている。
08:15
ドバイ仮想通貨規制当局、7つの無許可事業体に罰金と停止命令
ドバイの仮想資産規制当局(VARA)は、必要なライセンスを取得せずに営業し、マーケティング規制に違反した7つの事業体に対して罰金を科し、業務停止命令を出したと発表した。
08:00
トランプ氏の仮想通貨プロジェクト「WLF」、2200億円の評価額で445億円調達へ
米国のドナルド・トランプ前大統領と息子たちが関与する仮想通貨DeFiプロジェクト「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLF)」が、来週からトークンの初期販売を開始する計画が明らかになった。
07:30
リップル社、米SECを交差上訴へ
リップル社が仮想通貨XRPを巡る裁判で米SECを交差上訴へ。もう争点は残されていないことを明確にすると同社の最高法務責任者が述べている。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア