はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

イーサリアムマージ後「潜在的にデフレ資産へと移行する見通し」 米ファンド パンテラが指摘

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

マクロ経済見通し

暗号資産(仮想通貨)ファンド大手Pantera Capitalは8月の投資家向けのレターで、マクロ経済環境とイーサリアム(ETH)の大型アップグレード「マージ」について、それぞれ見解を示した。

関連来たるイーサリアム「マージ」、8つの誤解とは

Panteraは、FRB(連邦準備制度)はまだ本格的に金融引き締めに踏み切っていないと指摘。現状で2.25%~2.50%の政策金利が、「少なくとも4~5%になるまで金利上昇は止まらない」と加えた。

経済が減速しているように見えれば、金利の引き上げを止めたくなるだろう。実際、市場の人々は12月か1月から金利が下がると予想している。しかし、それは重大な誤りだと考える。

Dan Morehead最高経営責任者(CEO)は、FRB議長が長期金利を公正な水準に引き上げることを躊躇する反面、パンデミック以降にFRBが数十億ドルの債券を購入し続け、金利に敏感な住宅セクターに資金を供給し続けていると指摘。

過去数年間にインフレ率が政策金利をはるかに上回る勢いで加速したことを踏まえ、「FRBは現在の市場予測よりも厳しい引き締めを余儀なくされる」とまとめた。

Pantera Capitalは、2013年にビットコインがまだ約8,000円(65ドル)だった時期に米国で最初の仮想通貨ファンド「Pantera Bitcoin Fund」を設立。8年間のパフォーマンスは66,600%で、投資家に数十億ドルを還元したとされる。同社発表によると、ブロックチェーンエコシステムに特化して6,500億円(48億ドル)を運用する。

関連:ジャクソンホール会議とは パウエルFRB議長講演の注目ポイントは?

デフレ資産へ移行する可能性

イーサリアムは2015年のメインネットローンチ以来、最も重要なアップデート「マージ」を迎える。イーサリアム財団によると、現在のところマージの実行は9月10日〜20日に行われる見通しだ。

マージでは、現行の「メインネット」と今後コンセンサス形成を担っていく「ビーコンチェーン」が統合され、イーサリアムのコンセンサス(合意形成)アルゴリズムが「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」から「プルーフオブステーク(PoS)」へ変更する。

ポイント①新規発行量が90%減少

ここで着目されるのが、ビットコインの強気トレンドサイクルと相関してきた「半減期(halving)」を想起させる「Triple Halvening」と呼ばれるETHのデフレ圧力だ。

1サイクルで半減期3回分に相当するというもの。

ビットコイン(BTC)は2020年5月、マイナーのブロック承認報酬が12.5BTCから6.25BTCに半減する「半減期」を迎えた。

@Montana_Wong

米金融大手フィデリティのデジタル部門「Fidelity Digital Asset」は20年8月、次の半減期を迎える2024年にBTCの希少価値がゴールド(金)を上回るとの見解を示している。

一方、イーサリアム財団の概算によると仮想通貨イーサリアム(ETH)の新規発行は、メインネットのマイニング報酬(13,000ETH)と、ビーコンチェーンのステーキング報酬(1,600ETH)の合計約14,600ETH/日である(年間493万ETH 、インフレ率4.13%)。

「マージ」後、PoWが終了するためマイニング報酬は0になり、1日の新規発行量はステーキング報酬(1,600ETH)のみとなる。PoS報酬はバリデーターのステーキング残高に比例する設計で、現状の1,300万ETHに基づいた想定インフレ率は0.49%。以前と比べて約90%減少することになり、イーサリアムのエコシステムにおいてインパクトが大きい。

関連:イーサリアム、大型アップグレード「ロンドン」が実行

ポイント②ベースフィーの焼却

また特筆すべきは、21年8月の「ロンドン」アップグレードで、手数料モデルを変更するEIP-1559が導入された点だ。EIP-1559のポイントは、ベースフィーとチップで構成される手数料のうち、ベースフィーを焼却(バーン)するシステムが組み込まれたこと。

Ethereum Average Gas Price 出典:ycharts

イーサリアム財団の公式サイトによると、想定ガス価格(16gwei)で毎日約1,600ETHが総供給量からバーンされる (1gweiは1ETHの10億分の1)。Ultra Sound Moneyによると、執筆時点に年間40万ETHのペースでバーンされている。

加えて、イーサリアムのバリデーターは、正常に動作しない場合にペナルティを課せられ、ステーキングしたETHが削減される場合がある。これらを考慮してDan Morehead氏lは、潜在的にイーサリアムの新規発行量がマイナスになる可能性があると強調した。

今日のインフレ環境の中で、イーサリアムがデフレ資産にシフトする方向にあることはエキサイティングな展望だ。

ポイント③ステーキング需要とロックアップ

データサイトDuneによると、イーサリアムのステーキングネットワーク(コンセンサスレイヤー)には執筆時点に41.8万のバリデータノードに1,338万ETHがロックされている。

これらバリデーターに発生した報酬は、マージから6か月~1年後の実施が見込まれる「上海」アップグレードまでは引き出せない。つまり、新規発行されるステーキング報酬(1,600ETH)は上海アップグレードまでは100%ロックされることになる。

さらに、上海アップデートまではバリデーターを終了してETH残高を引き出すこともできず、上海後も一度に大量のバリデーターが離脱して不安定になることを防ぐため制限が設けられている。

DeFi教育者として活動するkorpi氏は構造上のETH新規供給量に基づいて、マージ後のイーサリアムに需給の大幅な変化が生じると指摘した。

関連:「インフレリスク過小評価されている」米地区連銀総裁らが利上げ継続目線を示唆

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/28 日曜日
11:30
ビットコイン年末相場、値頃感から買い戻し期待も|bitbankアナリスト寄稿
今週のビットコインは方向感に欠け1400万円周辺で推移。26日のオプションカット通過後の動向が注目される。底入れには12月高値9.4万ドルの回復が条件だが、割安感から買い戻されやすいとbitbankアナリストが分析。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|Bybitの日本居住者向けサービス終了発表に高い関心
今週は、大手仮想通貨取引所Bybitの日本居住者向けサービス終了の発表、仮想通貨市場の調整局面、日銀の植田和男総裁の講演に関する記事が関心を集めた。
12/27 土曜日
14:00
ジーキャッシュのシールドプール供給シェアが23%で安定、プライバシー採用が定着
仮想通貨ジーキャッシュのシールドプール供給の市場シェアが2025年初頭の約8%から23%前後で安定している。プライバシー採用指標は依然として安定しておりプライバシー保護取引への持続的な関心を示している。
13:25
金融庁、仮想通貨ETFの導入に向けた税制改正──暗号資産取引の課税見直しと新たな可能性
金融庁が2026年度税制改正の資料を公開した。暗号資産取引を総合課税55%から申告分離課税20%へ変更することに加えて、ETF解禁や繰越控除などについても挙げられた。
11:10
KLab、ビットコインとゴールドを購入開始 「岐路に立つBTC」と分析
東証プライム上場のKLabが25日にビットコインとゴールドの購入を開始。AIを活用した市場分析レポートの不定期発刊も開始した。
10:05
ミームコイン市場は2025年に60%下落、「TRUMP」発行から始まった一年を振り返る
ミームコイン市場は2025年に60%下落した。トランプ氏による独自仮想通貨「TRUMP」発行や、ドージコインETF誕生など変化の激しかった一年を解説する。
09:10
イーサリアム、2026年の主要アップグレードで並列処理とプライバシー機能強化へ
仮想通貨イーサリアムが2026年に2つの大型アップグレードを計画している。Glamsterdamは並列処理とガスリミット拡大で性能向上を、Hegotaはプライバシー保護と検閲耐性の強化を目指す。
07:45
BNBチェーン、Fermiハードフォークを1月14日実施へ 
BNBチェーンが2026年1月14日にFermiハードフォークを実施する。ブロック間隔を750ミリ秒から450ミリ秒に短縮し、時間依存型アプリケーションへの対応を強化する予定だ。
07:00
プーチン大統領「米政府はザポリージャ原発でのマイニングに関心」
プーチン大統領は、ウクライナにあるザポリージャ原子力発電所で仮想通貨のマイニングを行うことに米政府が関心を持っていると述べたことがわかった。今後の和平交渉に注目が集まる。
06:35
米政府、1月末に再び閉鎖の可能性浮上 仮想通貨市場構造法案の審議に影響も
米政府が1月末に再び閉鎖される可能性が浮上した。再び発生すれば1月に審議入りが予定されている最重要な仮想通貨市場構造法案の議決がさらに延期されてしまう。
06:05
アーサー・ヘイズ氏がDeFiトークン買い増し、3億円以上のLDOとPENDLE
著名投資家アーサー・ヘイズ氏が185万ドルのLDOトークンと97.3万ドル相当PENDLEトークンを追加購入した。イーサリアムを売却して割安なDeFiトークンへの買い増しを加速。
05:50
バイナンス傘下トラストウォレットの10億円不正流出、CZ氏が全額補償を表明
バイナンス創設者のCZ氏が同社傘下のトラストウォレットのハッキング被害について10億円以上の全額補償を表明した。ブラウザ拡張機能の脆弱性が原因で、内部関係者の関与が疑われている。
12/26 金曜日
18:02
Aave、ブランド資産移管案を否決 DAOガバナンスの課題浮き彫りに
Aaveのブランド資産移管提案が26日のSnapshot投票で否決。反対55%、棄権41%、賛成わずか3.5%。CoW Swap手数料問題が発端となった所有権紛争は、DeFiガバナンスの構造的課題を浮き彫りに。
18:00
仮想通貨の税制改正大綱、押さえておくべき重要ポイントを専門家が徹底解説|Gtax寄稿
税制改正大綱で、暗号資産(仮想通貨)税制の大幅見直しが示されました。分離課税・3年間の繰越控除が導入される一方、対象となる「特定暗号資産」や取引形態には制限も。現物取引とデリバティブ取引の損益通算、ステーキング報酬の扱い、NFTの課税方式など、今後の制度設計を見据えて準備すべきことを公認会計士・税理士が詳しく解説します。
16:00
リトアニア、仮想通貨ライセンス義務化へ 申請低迷
リトアニア中央銀行が仮想通貨事業者にMiCAライセンス取得を義務化。2025年12月31日以降、無許可運営には罰金や最長4年の禁錮刑。370社以上が登録するも申請はわずか30社で全体の1割未満。同国はEU内でMiCAゲートウェイとしての地位確立を目指す。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧