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仮想通貨市場も注視する「ドルインデックス(ドル指数)」とは|初心者向けに解説

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2022年は、日本円と米ドルの為替レートに多くの注目が集まりました。急激に円安ドル高が進んだことで、日本政府と日銀は今年9月、「円買い・ドル売り」としては24年ぶりに為替介入を実施しています。

歴史的なドル高が進行した時期に、株式などに加え、暗号資産(仮想通貨)のパフォーマンスも大きく低下。こういった背景から、仮想通貨の投資家も米ドルの動向を注視しています。

今回の記事では、米ドルに関連した指数である「ドルインデックス(米ドル指数)」について解説。今年は有識者から、米ドル指数と仮想通貨は逆相関関係にあるとの見方が上がりました。逆相関関係とは、例えば米ドル指数が高くなると、仮想通貨相場は下落するという意味です。

為替介入とは

通貨当局が為替相場に影響を与えるために、外国為替市場で通貨間の売買を行うこと。為替相場の急激な変動を抑え、その安定化を図ることが目的です。日本では財務大臣の権限において実施されています。

▶️仮想通貨用語集

目次
  1. 米ドル指数の概要
  2. 米ドル指数の数値
  3. 米ドル指数の見方
  4. まとめ

1.米ドル指数の概要

米ドル指数とは、日本円やユーロなど複数の主要通貨に対する米ドルの「強さ」を示した指数のことです。「1ドル=130円」といった為替レートとは別の数値で、米ドルが他の法定通貨に対してどのくらい強いのか、また弱いのかを数値化しています。

単純に表現すると、米ドルの強弱とは、以下の状態を示しています。

  • 強い:米ドルが買われている
  • 弱い:米ドルが売られている

米ドル指数は、特定の1つの機関が算出している指数ではありません。正確な名称は、算出する機関によって異なります。また、算出方法にも違いがあるため、参考にする場合は指数の内容を理解する必要があります。

ただし、傾向として米ドルのトレンドを分析するのであれば、どの米ドル指数でも問題ないとの見方が強いです。

英語で米ドル指数は「Dollar Index」。チャートなどでは短縮して「USDX」や「DX」、「DXY」のように表記されています。

米ドル指数など強弱を表した指標は、為替レートだけではわからない通貨の動向を知ることが可能。次節では、米ドル指数の具体例を紹介していきます。

2.米ドル指数の数値

米ドル指数は、主に以下のような組織や企業が算出して公開しています。

  • 米連邦準備理事会(FRB)
  • 国際決済銀行(BIS)
  • 米インターコンチネンタル取引所(ICE)
  • 日経新聞

算出される数値はドルが強いと大きくなり、弱いと小さくなることは共通しています。ここからは、日本で代表的な日経新聞の指数と、世界の為替取引で最も利用されていると言われるICEの指数を紹介します。

2-1 日経新聞の指数

日経新聞が算出している指標は、正確には「日経通貨インデックス」という名称です。各国の法定通貨の総合的な価値を表した指標で、その中の1つとして米ドルの強さも指数化しています。

2022年4月4日版の最新資料によれば、現在は25通貨について、2015年を「100」として価値を算出。基準にする年は一定期間ごとに見直しています。例えば、現在「105」という数値であれば、2015年よりも米ドルが強いということを表しており、数値の推移を見れば、米ドルの動向をつかむことが可能です。

日経新聞の計算方法はまず、米ドルが各法定通貨の単位でいくらに相当するのかを表す「クロスレート」を計算。その後に、25通貨の国別の貿易額(輸出入額)の構成比で加重平均して算出していると説明しています。

加重平均とは

平均値を計算する時に、各項目の重みを加味して割り出すこと。

例えば、ある仮想通貨を複数回に渡って、単価と数量が異なる買い注文をした場合、単価と数量を掛けて足し合わせ、それを総数量で割ることで算出できます。

▶️仮想通貨用語集

なお、上述した資料には、日経電子版の「経済指標ダッシュボード」メニューから無料で日本円、米ドル、ユーロの最近5年分の月次データを参照することができると書かれていますが、本記事執筆時点では有料サービスになっているようです。

紙の新聞には資料の説明どおり、朝刊に数値が記載されています。データは有料サービスのため、チャートや数値を含めた詳細は、ICEの指数で詳しく見ていきましょう。

2-2 ICEの指数

仮想通貨業界では、ICEは傘下に「Bakkt」という企業があることで知られています。また、グループ企業には「ICE Futures U.S.」という取引所があります。

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同社の米ドル指数は「U.S. Dollar Index(USDX)」という名称。この名称は商標登録されています。現在は、ICE Futures U.S.がUSDXを算出していますが、もともとは1973年に米国の中央銀行(FED)がこの指数を作りました。

1973年は主要通貨が固定相場制から変動相場制に移行した年。固定相場制では為替レートは一定でしたが、この年に米ドルや円などの価格が市場の需給によって決められるようになりました。

FEDはこの時に、米ドルの価値を示すためにUSDXを開発。USDXは1973年3月を「100」として算出しています。

米ドルの価値を示すためにFEDはこの指標を作りましたが、1985年にICE Futures U.S.がUSDXの先物取引の提供を開始してからは、同社が算出や管理を行なっています。

USDXは米ドルの強さを表すために、指定の公式によって算出されていますが、その際、強弱を示す相手の通貨として、日本円など6種類の法定通貨を使用しています。

計算では、6通貨それぞれではなく、全てまとめた「バスケット」として使用。つまり、算出される数値は「それぞれの法定通貨に対する強さ」ではなく、「6通貨に対する強さ」を表します。

6通貨は全て平等に計算に使用するのではなく、日経通貨インデックスと同様に比重を変えています。USDXに使用される法定通貨と比重は以下の通りです。

出典:ICE

  • ユーロ:57.6%
  • 日本円:13.6%
  • 英ポンド:11.9%
  • カナダドル:9.1%
  • スウェーデンのクローナ:4.2%
  • スイスのフラン:3.6%

一応ご参考までに、計算式も添付しておきます。

出典:ICE

計算式は難しいですが、ユーロの比重が大きいことはご理解いただけたと思います。つまり、USDXは、ユーロと米ドルの為替レートに大きな影響を受けます。

USDXは先物取引が行われていることに加えて、約15秒ごとにリアルタイムで算出されていることから、投資家が最も利用しているとみられます。日経通貨インデックスや、FRBやBISの米ドル指数は、1日1回しか発表されません。

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では、本記事の最後に、実際にUSDXの数値を見てみましょう。

3.米ドル指数の見方

以下が、ICEの米ドル指数のチャートです。「TradingView」というツールで表示しています。

TradingView 拡大可

本記事執筆時点の数値は「104.584」で、これまでの推移は画像の通りです。現在は、2022年10月を境に下落傾向にあり、米ドルは6通貨に対して弱くなってきていることを示しています。

上記は全期間のチャートで、かなり上下に振れてきたことを示していますが、どの時期も経済的な背景があります。本記事では、直近で高水準にあった今年10月ごろの背景をご説明します。

この時のUSDXは、2002年以来、約20年ぶりの高水準まで上昇していました。為替レートについて、円安ドル高が大きく進んでいたことは、ニュースで報じられていた通りです。

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この時に米ドルが買われていた大きな理由は、中央銀行の金融政策の違いです。米国ではFEDが金融政策で金利を通常よりも速いペースで上げていました。一般的に金利が高い国でお金を運用した方が利益が出るため、日本円などが売られ、米ドルを購入する動きが急増したのです。

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本記事は米ドル指数の概要を解説することが目的のため、その他の理由も知りたいという方は、以下の記事を参照してください。現在は、FEDが利上げ幅を縮小し始めています。

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4.まとめ

米ドル指数は数値自体はシンプルですが、為替レートだけではわからない状況を把握する時に、1つのツールとして活用できます。

例えば「円高ドル安」の時に、円が買われているのか、逆に米ドルが売られているかを判断するために活用が可能。この時、米ドル指数が下がっていれば、主要通貨に対してドルが売られていることがわかります。

また、米ドル指数が上がっていれば、米ドルは円以外の主要通貨に対して買われていますが、米ドル以上に円が買われていることがわかります。

単純に円高ドル安といっても、以下の2つの場合があるということです。

  • ドルが売られていることによる円高
  • 円が買われていることによる円高

為替レートに米ドル指数のような指標を合わせると、為替レートの予想に活用が可能。各通貨の価格変動の要因が通貨ペアのどちらにあるのかを判断することができ、マーケット分析に役立ちます。

特に米ドルは世界の基軸通貨であるため、投資家から米ドル指数は注視されています。今回興味を持たれた方は、他の米ドル指数の数値や、計算に使用される通貨の違いを確認してみるなど、理解を深めてみてはいかがでしょうか。

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