「商品の特徴やリスクの理解が困難」
米証券取引委員会(SEC)は20日、スタッフ向けの広報を発表。金融の専門家が複雑な商品やリスクの高い商品を消費者に推奨する際には、「厳重に精査」するよう推奨した。
「複雑な商品やリスクの高い商品」の中には、暗号資産(仮想通貨)も含まれている格好だ。
SECはそうした商品の場合には、個人投資家の最善の利益に貢献すると考えられる合理的な根拠を見出すことが困難になることがあると述べた。それらの商品の特徴やリスクについて深く理解することが難しいとしている。
SECは、精査を徹底すべき商品の例について次のように説明した。
高度な精査が必要となり得る商品の例としては、インバース型又はレバレッジ型の上場商品、マージン取引、デリバティブ、仮想通貨証券、ペニーストック、私募債、資産担保証券、ボラティリティ連動型上場商品、リバースコンバーチブルノートがあるが、これらに限定されない。
前提としてSECは、投資アドバイザー、ブローカー・ディーラーなどの金融専門家が、個人投資家に助言する前に、その投資戦略を理解し、それが投資家の最善の利益になると考える必要があるとしている。
また、投資商品について理解することとは別に、助言を受ける個人投資家が、その商品の複雑さやリスクを許容できるかどうかを判断することも必要となる場合があるとも続けた。
ただSECは、個人投資家が、その商品と合致する取引目的を持っていたり、金銭的損失リスクに対して許容度を有していても、その商品が当該投資家にとって、ただちに「最善の利益」になるわけではないと留保している。
関連するすべての事実と状況に基づいて、最善の利益になると考えられる「合理的な根拠」がなければならないとする形だ。
米証券取引委員会(SEC)とは
1934年設立。公正な取引の確保と投資家保護を目的としており、インサイダー取引や企業の不正会計、相場操縦などを防止する。仮想通貨が有価証券に該当するかという判断も行う。SECは「Securities and Exchange Commission」の略で、日本では「証券取引等監視委員会」が近い役割を担っている。
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多くの仮想通貨を証券とみなすSEC
SECは、今回のスタッフ向け通知でも「仮想通貨証券」と名指していたように、仮想通貨の大半は有価証券に該当するとして、取引所などに対して未登録証券を提供しているとして提訴してきた。
17日にも、仮想通貨取引所Bittrexと同社の前CEOらが、事業登録せずに有価証券の取引・仲介・清算サービスを提供していたとして訴訟を起こしている。
アルゴランド、Dash(DASH)、オーエムジー(OMG)やその他の銘柄が有価証券にあたると申し立てる格好だ。
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こうした動きを批判する議員もいる。米下院金融サービス委員会のPatrick McHenry委員長(共和党)は、下院金融サービス委員会に所属する共和党の全議員の意見としてSEC委員長宛に書簡を送付。
SECは実行可能なプロセスを提示しないまま、仮想通貨取引プラットフォームに事業登録を強制していると批判。「デジタル資産企業の活動には、有価証券の提供が含まれていない」とも意見した。
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