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メタプラネットの次なる成長戦略 ビットコインとデジタルクレジット構想|WebX2026

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WebX2026 | セッションレポート

メタプラネットの次なる成長戦略 ビットコインとデジタルクレジット構想

奥野晋平 × 小村和輝

ビットコイン・トレジャリー企業として資産を積み上げてきたメタプラネットが、次の一手として打ち出すのが社債・優先株を通じたデジタルクレジット戦略だ。株式会社Progmatの齊藤達哉氏をモデレーターに、メタプラネットの奥野晋平氏、メタプラネット証券を率いる小村和輝氏が、その具体像を語った。
齊藤達哉

齊藤 達哉

モデレーター
株式会社Progmat 代表取締役 Founder and CEO

2010年、三菱UFJ信託銀行に入社。デジタルアセット基盤「Progmat」等を立ち上げ、2022年に独立会社化。2023年10月の創業より代表取締役CEOに就任。

奥野晋平

奥野 晋平

株式会社メタプラネット
執行役 資本市場 IR

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の投資銀行部門で約20年、エクイティ・ファイナンスや資本政策に従事。個人投資家を経て、ビットコイン活用のデジタルクレジットに関心を持ちメタプラネットに参画。

小村和輝

小村 和輝

メタプラネット証券(旧Siiibo証券株式会社)
代表取締役CEO

ドイツ証券やブラックロック・ジャパンを経て、Siiibo証券株式会社を設立し代表取締役CEOに就任。現在はメタプラネットグループに参画し、ビットコインを中核とした金融プラットフォームの構築を推進。

ビットコイントレジャリー戦略の到達点と次の一手

これまでトレジャリー企業として歩んできた中で、次の一手がなぜデジタルなのか、なぜWeb3なのか。齊藤氏の問いかけに、奥野氏がメタプラネットの現在地から語り始めた。
奥野晋平
メタプラネットは、約2年前からビットコイン・トレジャリー戦略として資金調達を繰り返し、ビットコインを積み上げてバランスシートに蓄積する取り組みを続けてきた。結果的に5,000億円を超える資金調達を行い、バランスシート上の約5,000億円弱に相当するビットコインを積み上げるに至っている。数量ベースでは4万3,000ビットコインで、世界の上場企業として第3位、日本国内ではナンバーワンの保有量となっている。
今後もこれを2兆円、3兆円規模までひたすら資金調達して積み上げていきたい思いがある一方、この半年間はマーケット環境が簡単ではない状況が続いている。そうした中での次の一手として、想定より早くWeb3関連の新しいテーマを仕掛けていくことにした。5,000億円規模のバランスシートを裏付けとして、社債や社債型の優先株を新たに市場に発行していく。我々は上場会社の発行体という立場から、株や債券の発行にセキュリティトークンやステーブルコインを積極的に使い、この2、3年で日本の資本市場に大きな改革をもたらしたい。

なぜビットコインで資金調達するのか、海外の優先株モデル

続いて齊藤氏は、証券発行を担うメタプラネット証券の位置づけを小村氏に確認したうえで、なぜデジタルクレジットなのかを奥野氏に尋ねた。
小村和輝
旧社名から「メタプラネット証券」に変更し、正式にメタプラネットグループに参画した。もともとは企業の発行する社債を専門に扱うネット証券として7年前に創業し、日本の社債・クレジット市場の開拓を行ってきたが、この市場が抱える最大の課題はハイイールド市場がないことだ。発行体は銀行融資によるデット調達に頼る構造が大きく発展しており、社債市場は発行額・格付けともに狭い範囲に限られている。当社は私募という仕組みを使い、無格付けや非上場企業の社債を発行してきたが、メタプラネットグループへの参画により、これまで弱みだった情報発信力や事業基盤をさらに発展させていきたい。
奥野晋平
なぜビットコインかというと、資産運用の上でビットコインは長期的に価値の保存手段として最適だという前提に立って、ビットコイン・トレジャリー事業を進めている。ビットコインは24時間365日トレードされる点でWeb3との親和性が高い一方、日本の株式市場はすごくアナログだ。たとえば3月決算の企業の配当は、株主締めから配当金の着金まで2、3ヶ月かかる。株主名簿を締めて税額を確認し、郵送で案内するという一連のフローに時間がかかっているためで、Web3を使えば極論T+0の決済も実現できる。バランスシート上の資産としてのデジタルアセットだけでなく、その調達手段である負債や株式についてもデジタル決済で効率化することで、投資家にとってよりフレンドリーな金融商品を提供できると考えている。
奥野晋平
海外の先行事例としては、ビットコイン・トレジャリーで圧倒的なナンバーワンの地位を築く米Strategy社が、毎月配当、直近では月2回配当の優先株「STRC」を発行しており、優先株市場の中で発行量が大きく伸びている。またStrive社は日割り配当の優先株を発行済みだ。米国は決済ルールの違いから彼らはWeb3がなくても日割り配当を実現できるが、日本でこれをやろうとすると証券ルールの変更に何年もかかる。そこでトークン化やステーブルコインでの決済を使い、アメリカの先行事例が実質的に実現していることを日本でも実装していきたい。

3段階で描く実装ロードマップ

具体的なアプローチをさらに深掘りするよう齊藤氏が促すと、奥野氏は3段階のステップを提示した。
奥野晋平
大きく3つのステップがある。フェーズ1は、ビットコインを裏付けとした利回り4〜6%程度の優先株や社債を発行し、投資家にまずこうした金融商品に慣れてもらう段階だ。フェーズ2は、齊藤氏らと進めるセキュリティトークンや、JPYCを使った決済によって、利払いの頻度をより高めていく段階。フェーズ3は、流動性をつけてマーケットメイクし、セカンダリー市場を形成していく段階で、これが一番のチャレンジになる。当社は発行体自体が上場会社であり、日々のディスクロージャーと継続開示によるガバナンスが効いている点が強みで、この面での課題は少ないと考えている。
齊藤達哉
海外でも発行体自体が関与しないまま株トークンと称して流通しているケースが多いなか、メタプラネットは発行体自身がしっかり関わっている点が大きな強みになる。

メタプラネット証券が担う役割

金融商品取引業のライセンスを持つメタプラネット証券の立場について、齊藤氏が小村氏に問いかけた。
小村和輝
ビットコインは「デジタルゴールド」として価値保全の地位を確立しつつあるが、伝統的な金融機関の審査基準ではこれを資産として評価できず、リスクマネーが流入しづらい構造がある。リスクを取っていただく投資家に新しい商品を提供するのが証券会社の役割で、その中でもポイントとなるのがインカムゲイン型の商品だ。これまで暗号資産への投資は現物購入かエクイティ参加しか選択肢がなかったが、一定の利息が入るクレジット商品という新しい選択肢を導入したい。
発行体はメタプラネット以外にも様々検討しており、ステーブルコインやセキュリティトークンを用いて、現在半年ごとが主流の利払いを月次、さらに日次にまで拡大していきたい。発行体の開拓はメタプラネットのコネクションを通じて進めていきたい。

リスク管理と投資家保護の両立

攻めた構想の一方で、投資家保護の観点をどう両立させるか。齊藤氏の問いに、奥野氏、小村氏がそれぞれ答えた。
奥野晋平
ビットコインは歴史的に高値から7、8割のドローダウンを経て再び高値を更新してきたボラティリティの高い資産だ。厳しい局面で償還期限を迎えると資金繰りリスクが生じるため、商品性と財務戦略で大きくコントロールしている。過度なレバレッジはかけず、純資産の10〜20%程度に抑制しており、現時点ではビットコインがさらに8割下落しない限り、社債の裏付け資産はカバーできる設計だ。また米Strategy等の優先株は償還期限がなく、基本的には配当を払っていけばよい商品設計になっている。配当原資は、メタプラネット証券と共同で構築する新しい金融プラットフォームの手数料収益など、事業収益で賄い、ビットコイン価格の変動に左右されず配当を継続できる体制を目指す。
小村和輝
我々が守ろうとしているのは適合性の原則にしっかり則ることだ。ネット証券としては特殊だが、金融資産額と投資経験に基づく基準を設け、その基準を超えた投資家のみに商品を販売している。広く売るわけではないからこそ、非上場企業の債権や今後の新しい商品などについても、判断できる投資家に対して販売するという整理ができる。ここはしっかり守っていきたい。

セッション総括

小村氏は「ニュースレターで情報発信を続けていく。ユーザーの声を直接、SNSでも受け付けたい」とし、採用ポジションをオープンにしていく方針も示した。
奥野氏は「今回初めてWebXに参加させていただいたが、来年、再来年と振り返ったときに、今日話していたことが実現していたと言えるような進捗をこの1年で進めていきたい」と締めくくった。
ビットコインを裏付けとした社債・優先株の発行から始まり、セキュリティトークンやステーブルコインによる決済効率化、そして流動性形成による市場拡大へ、今後の進捗が注目される。
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