連邦取引委員会より6,500億円の罰金
米司法省や、米証券取引委員会(SEC)、米商品先物取引委員会(CFTC)、連邦取引委員会(FTC)など複数の米当局は13日、破綻した暗号資産(仮想通貨)融資企業Celsius Network(セルシウス・ネットワーク)を訴えた。
連邦取引委員会(FTC)は、セルシウスのアレックス・マシンスキー共同設立者らが、顧客資産約5,500億円(40億ドル)以上を不正に流用していたと申し立てている。また、顧客資産について保険に加入していると騙り、財政状況についても隠していたと続けた。
FTCは、セルシウスに約6,500億円(47億ドル)の罰金を科した形だ。ただ、セルシウスが破産手続きの中で顧客に資産を返還できるよう、猶予も与えられる。
セルシウスはスリーアローズキャピタル(3AC)などが債務不履行に陥った後の2022年6月、「極端な市況」を理由に顧客資金の引き出しを停止。その後7月に、米連邦破産法11条(チャプターイレブン)により破産申請を行っていた。
司法省の刑事告発
また、マシンスキー氏は13日に逮捕・起訴された。マシンスキー氏は、ニューヨーク州の地方裁判所に出頭し無罪を主張している。
マシンスキー氏は、同氏の妻らが、保釈の代わりに担保として当局に約55億円(4,000万ドル)を預ける手続きを行った後に、いったん保釈される予定だ。パスポートは没収され、移動可能地域はニューヨークに限定されることになる。
米司法省は、マシンスキー氏を、顧客を騙した罪および、セルシウスの独自トークンCELを価格操作した罪で、元セルシウス最高収益責任者のロニ・コーエン・パボン氏をCELの価格操作の罪で起訴した。
司法省によると、マシンスキー氏らの意図に従って、セルシウス社は、CELの価格を下支えするために、顧客資金をCELの市場購入のための資金として使用した。この事実を顧客に開示してはいなかった。
CELの価格を人為的につり上げることで、マシンスキー氏らは自身が保有していたCELを売却することで多額の利益を得ることができたという。訴状によると、マシンスキー氏は、CELを売却することで個人的に約58億円(約4,200万ドル)の収益を手にしていた。
マシンスキー氏らは、証券詐欺、商品詐欺、電信詐欺、市場操作などに問われており、これらの罪が認められた場合、懲役は最大20年となる。
米SECの申し立て
米証券取引委員会(SEC)は、セルシウスとマシンスキー氏を、証券詐欺などの違反行為で訴えた。
セルシウスが「無担保融資やリスクの高い取引は行わない」など、投資家に対して虚偽の主張を行っていたと指摘。また、利回りプログラムが未登録証券法とみなされるものだったこと、CELの価格操作なども列挙している。
SECは、マシンスキー氏が公開会社の役員や取締役になることの禁止、民事罰、不正利益の放棄などを求めている。
米CFTCの申し立て
さらに、米商品先物取引委員会(CFTC)は、セルシウスが顧客を獲得するために、高い利益や安全性などを偽り、詐欺や重大な虚偽の説明を行ったとして告発した。
また、セルシウスが商品(コモディティ)プールの運営者(CPO)として活動していたが、未登録で行っており商品取引法に違反していたとも指摘。賠償、民事上の罰金、永久的な取引と登録の禁止などを求めている。