はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

金融大手シティ、プライベート・エクイティ・ファンドのトークン化を検証 概念実証に成功 アバランチのサブネットを利用

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

スマートコントラクトが効率改善に貢献

米金融大手のCiti(シティ)は14日、米投資管理会社Wellington Managementと米資産運用会社WisdomTreeの協力の下、プライベート・エクイティ・ファンド(以下PEファンドと表記)のトークン化に関する概念実証(PoC)に成功したと発表した。

この概念実証にはレイヤー1ブロックチェーン、アバランチ(Avalanche)のサブネット「Spruce」が使用されたが、そのスマートコントラクト機能により、従来の資産ではまだ利用できない新たな機能と運用効率がもたらされることが分かった。

Spruceは2023年4月に立ち上げられた金融機関向けの専用ネットワークで、許可されたバリデータセットや独自のガストークン設定など、カスタマイズが可能。Wellington ManagementとWisdomTreeは当初からパートナーとして、オンチェーン取引の執行や決済の有効性を測定するため、Spruceをテストネットとして使用することを表明していた。

関連:仮想通貨アバランチ(AVAX)、Cortinaアップグレードを完了

未公開株ファンドをトークン化

シティによる今回の概念実証では、Wellington Managementが発行する未公開株ファンドをトークン化。基礎となるファンドの分配ルールはコード化されて、トークンのスマートコントラクトに埋め込まれ、エンドツーエンドのトークン転送が行われた。

また、WisdomTree が発行した模擬IDの認証情報に依存するスマートコントラクトを使用した送金や、米清算・決済企業DTCC Digital Assetsとの自動貸付契約の担保としてプライベート・ファンド・トークンを使用する複数のケースも評価された。

シティ・デジタル資産の新興ソリューション部門を率いるNisha Surendran氏は、「スマート・コントラクトとブロックチェーン技術により、インフラレベルでルール適用の強化が可能になり、データとワークフローが資産と共に移動できるようになる」と指摘。次のような抱負を語った。

プライベート資産のトークン化をテストすることは、新たな運用モデルを開拓し、より広範な市場に効率性を生み出す実現可能性を探ることにつながる。

現実資産のトークン化の取り組み

シティは声明で、プライベート市場は10兆ドル(1,500兆円)の資産クラスであるにもかかわらず、標準化と透明性が欠如している上に、複雑で手作業のインフラに頼っており、流通と運営が非常に非効率であると批判。シティが提供している多様な製品とサービスを強化するため、革新的なデジタル資産ソリューションの開発を続けていると説明した。

今回の実験の成功により、既存の銀行システムとの互換性を維持しながら、管理された環境でトークン化されたPEファンドの発行と保管が可能なことが示されたと、シティは主張する。

シティのマネジングディレクター兼デジタル資産責任者のPuneet Singhvi氏は、この概念実証の結果を踏まえ、この分野でサービスを提供すべきかどうかを評価し、今後数週間以内に決定する予定だと、ブルームバーグのインタビューで語った。

シティは昨年9月に、ブロックチェーンとスマートコントラクトを活用し、現実資産(RWA)をトークン化する新サービス「Citi Token Services」の開発・実験を発表。預金管理や貿易金融に導入することを想定しており、機関向けの新しいデジタル資産ソリューションの提供を目指す。

シティのサービスのグローバル部門を統括するシャーミール・カリク氏は、同サービスの開発は「リアルタイムで常に接続が可能な次世代の銀行サービスを機関の顧客に届ける」という同行の取り組みの一つだと述べた。

シティは、ブロックチェーン技術を用いて、既存のインフラをアップデートする方法を模索しており、今回の実験はその流れを汲むものだ。

シティグループは、トークン化市場が2030年までに720兆円(5兆ドル)規模に成長する可能性があると推定。一方、ボストン コンサルティング グループは、トークン化されたRWAは2030年までに最大16兆ドルの市場規模になる可能性があると見ている。

RWAとは

「Real World Asset(現実資産)」の略。ブロックチェーン上でトークン化されるRWAには不動産、アート作品、トレーディングカード等の実物資産、株や債権等の有価証券などが含まれる。

▶️仮想通貨用語集

関連:金融大手シティ、RWAのトークン化ソリューションを開発 ブロックチェーン技術を活用

JPモルガンの取り組み

米金融大手JPモルガンチェース(以下、JPモルガンと表記)は昨年10月、ブロックチェーン基盤の担保決済システムの稼働を開始した。

米資産運用最大手ブラックロックのマネー・マーケット・ファンド(MMF)の1つをデジタルトークン化し、デリバティブのOTC取引の担保として、英金融大手バークレイズに送信。今後は、JPモルガンの顧客が、株や債券など他の資産も担保に使えるように拡充していくと述べた。

また、同行はブロックチェーン基盤の入金システムも開発していることが明らかになっている。

関連:RWAトークン化推進へ ブラックロックMMFの担保決済開始

さらにJPモルガンは11月に、シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)の官民連携イニシアチブ「プロジェクト・ガーディアン」で、WisdomTreeが提供するファンドの募集や償還の概念実証を行うと発表。ブロックチェーンやスマートコントラクト、トークン化の技術がポートフォリオ管理の自動化にどのように役立つのかを実験することが目的とされている。

関連:JPモルガンがRWAの概念実証でアバランチ活用 AVAX前日比+22%

RWAのトークン化は、昨年来大きな注目を集めており、金融機関では、スイス金融大手UBSがマネーマーケットファンドのトークン化実験を開始。同じくスイスのBacked Financeは、Baseチェーン上でブラックロック提供の米短期国債ETF「IB01」をトークン化し、年5.36%の利回りを提供している。

関連:現実資産トークン化に投資家の関心が集まる理由、リアルワールドアセット(RWA)とは

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/22 土曜日
13:02
コンヴァノがビットコイン戦略から本業回帰、AI・ヘルスケア事業に注力へ
コンヴァノが仮想通貨ビットコインを最大約2万BTC取得する計画を取り下げ、成長中の事業へ軸足を移す。業績予想を上方修正しており本業成長を重視する戦略転換となる。
10:55
米当局がビットメイン製品を国家安全保障リスクで調査、トランプ関連企業も1万6000台使用
米国土安全保障省が中国メーカーのビットメインを調査し、機器がスパイ活動や電力網破壊に使用される可能性を指摘。トランプ大統領の息子たちの会社アメリカン・ビットコインも1万6000台を購入した。
10:05
コインベース、ソラナのミームコイン取引所「ベクター」を買収
コインベースがソラナ基盤SocialFiプラットフォーム「ベクター・ファン」を買収すると発表した。年内に取引完了予定で、ソラナエコシステムへの参入を拡大し、すべてを取引できる取引所の構築を目指す。
09:35
ベセント米財務長官、ビットコインバーにサプライズ訪問 仮想通貨業界への影響は
スコット・ベセント米財務長官がビットコインバー「Pubkey DC」を訪問し、仮想通貨コミュニティで話題になっている。業界関係者の反応と今後の影響を解説する。
08:25
NYSEがグレースケールのXRPとドージコインETF承認、25日上場予定
NYSEがグレースケールのドージコインとXRP ETFの上場を承認し、11月25日に取引を開始する。今週はビットワイズのXRP ETFやフィデリティのソラナETFも上場し、アルトコインETF市場が急拡大している。
07:45
「仮想通貨財務企業などの上場後の事業の大幅変更について対応を考える必要」JPXのCEO
日本取引所グループの山道CEOは、ビットコインなどを保有する仮想通貨財務企業への規制強化は現時点では検討していないと説明。一方で、事業の大幅変更については対応を考える必要があるとも述べている。
07:05
個人マイナーがビットコイン採掘に成功、1億8000万分の1の確率を克服
極めて小規模な個人マイナーがわずか6TH/sのパワーでビットコインブロックの採掘に成功し、約26万5000ドル相当を獲得した。確率は1億8000万分の1で、近年最も幸運なソロ採掘となった。
06:25
トム・リー率いるビットマイン、初の配当実施もイーサリアム保有の含み損は6250億円超 
イーサリアム最大の企業保有者ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズが11月21日、2025年8月期通期で純利益3億2816万ドルを計上し、大手仮想通貨企業として初めて配当を実施すると発表した。しかしイーサリアム価格下落で含み損は40億ドル超に達している。
06:02
金持ち父さん著者キヨサキ、3.5億円分ビットコインを売却し広告事業投資へ 以前の姿勢から一転
『金持ち父さん貧乏父さん』の著者ロバート・キヨサキ氏が11月22日、約225万ドル相当のビットコインを売却し、外科センターと看板広告事業に投資すると発表した。以前の「売らずに買い続ける」発言から一転した。
05:45
マイケル・セイラー、指数除外懸念に反論「ストラテジーはファンドではない」
ストラテジー社のマイケル・セイラー会長は主要株価指数からの除外懸念に対し「我々はファンドではなく上場事業会社だ」と反論した。
11/21 金曜日
17:25
米ビットコインETF、1週間で大規模な資金流出が2回
11月20日、米ビットコイン現物ETFは9億300万ドル(約1,395億円)の純流出を記録し、史上2番目の規模となった。1週間前の記録を更新。ブラックロック、グレースケール、フィデリティの主要3ファンドで流出の大部分を占め、全ETFで純流入ゼロという異例の事態に。
16:38
予測市場が急成長 カルシ(Kalshi)が1500億円調達と報道も
予測市場カルシが2ヶ月で評価額2倍超の110億ドルで10億ドル調達。取引量は10月に過去最高の44億ドルを記録。競合ポリマーケットも120億〜150億ドルでの追加調達を協議中で、予測市場への投資が加速。
16:33
暗号資産(仮想通貨)の申告分離課税が実現したら?押さえておきたい税務のポイント|Aerial Partners寄稿
仮想通貨の申告分離課税が現実味を帯びてきた今、投資家が知っておくべき税制変更のポイントを解説。税率の一定化、損益通算、特定口座の導入可能性など、制度導入後の注意点と準備すべきことをわかりやすく紹介します。
16:10
CAICAテクノロジーズ、JPYC決済ソリューションの提供を開始
CAICAテクノロジーズが日本円ステーブルコインJPYCの決済ソリューション提供を開始。企業向けにコンサルティングサービスと決済モジュールを提供し、ステーブルコイン決済の導入を支援する。
16:03
ナッジ、ステーブルコイン決済・還元対応クレカ「HashPortカード」発行開始
HashPortとナッジが日本初となる後払い型クリプトクレジットカード「HashPortカード」を発行開始。ステーブルコインJPYCで決済・還元が可能で、利用額の0.3%をJPYCで還元。年会費無料、カード発行手数料2,500円。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧