RWAのトークン化を推進へ
米金融大手JPモルガンチェース(以下、JPモルガン)は、ブロックチェーン基盤の担保決済システムの稼働を開始したことがわかった。
米資産運用最大手ブラックロックのマネー・マーケット・ファンド(MMF)の1つをデジタルトークン化し、デリバティブのOTC取引の担保として、英金融大手バークレイズに送信した。今後は、JPモルガンの顧客が、株や債券など他の資産も担保に使えるように拡充していくという。
OTC取引とは
OTCは「Over The Counter」の略で、直訳すると「店頭」の意味。証券会社や銀行などで「店頭カウンター越し」に取引を行うなど、取引所を介さない売買を指す。
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今回の内容は、担当者にインタビューした「ブルームバーグ」や、情報を入手した「CoinDesk」らが11日に報じている。
JPモルガンが今回利用を開始したソリューションは「Tokenized Collateral Network(TCN)」。「Collateral」という英単語には「担保」という意味がある。
そして、TCNが基盤としているのはJPモルガン独自の「Onyx Digital Assets」。Onyx Digital Assetsは、暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)の技術を基盤にした、資産をトークン化するプラットフォームである。
Onyx Digital AssetsチームのトップTyrone Lobban氏は、以下のようにコメントした。
Onyx Digital Assetsのブロックチェーンを活用すると、1日ではなく、ほぼリアルタイムで担保を移動できる。
この技術は、ロックされていた資産を解放することによって、効率性の向上につながるだろう。
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JPモルガンの取り組み
従来の金融資産などの現実資産(RWA)をトークン化する動きは、最近増えている。JPモルガン以外では今月、スイス拠点の金融大手UBSが、マネー・マーケット・ファンドをトークン化するライブテストを開始したことを発表した。
従来の金融機関の中で、JPモルガンはブロックチェーンの活用に積極的に取り組んでいる。最近では先月、ブロックチェーン基盤の入金システムを開発していることが報じられた。
入金用のトークンを活用する仕組みを構築して、国際決済の処理を速めることが目的。このプロジェクトはまだ初期段階だというが、基盤の大部分が開発済みだと1人の情報筋が明かした。
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